「スマホに寄生された現代人 ✕ コロナ禍の先の見えない不安や焦燥 = 対話が失われた世界"まぜるな危険"」エディントンへようこそ とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
スマホに寄生された現代人 ✕ コロナ禍の先の見えない不安や焦燥 = 対話が失われた世界"まぜるな危険"
異様に高まった緊張状態の中で誰もが孤独や苛立ちを感じては、誰かと繋がろうとリアルでないオンラインの社会に依存し、何かと戦い、状況は混沌を極め、それらがやがてリアルに取って代わって喰った…。スマホに寄生された現代人が、自分の意見(正義・主義主張)と思って、そこまでして守り"誰かと"戦ってきたものは何だったのだろうか?それぞれの事実が錯綜しながら、結局のところ空虚な独り相撲みたい。
シンプルにして考える保安官、ペドパス市長との泥仕合な市長選が今始まる!この土地じゃない、俺の問題じゃない!堰を切ったように誰もが何かと戦っていたコロナ禍の混乱は、スマホ(Facebook・Instagram etc.)を通してこんな町にまで…。でも、何と戦っているのか?分断され病んだ現代社会を象徴するネット社会こそが、視野が狭くなる原因。"同じ考え"(本当に?)の人と容易くつながれるSNSの危険性と中毒性。自分の世界に閉じこもって凝り固まるな。ヤケになって、"そうだ"と決めつけてかかるな。
誰もが認めるであろう豪華キャスト。メインの対戦カードである2人に加えて、やはり圧巻のエマ・ストーン、そして途中参加でこんな強い面々の中でも食われることなくしっかり場をかっさらうエセ・イエスでマンソンみたいな胡散臭いカルトゴッドのオースティン・バトラー。作品前半・中盤までの題材に忠実なテンションの積み重ねから一転、アリ・アスター節全開の後半戦へ怒涛の雪崩込み。予想打にしない展開には驚かされながらも面白かった。ホアキン・フェニックスが走ったら、とりあえず面白くなる!
ファーストカットから示されるのは、見えない敵との虚しい戦い。ロックダウンされて誰もいない通りで、不満は怒りとなって噴き出し大爆発!踊らされて、狂って、壮大なガス抜きから通りに飛び散る火花は、やがて熱狂の炎へと火に油を注ぐ…!!そうしたコロナ禍以降の混沌としたカオティックな世界の状態を、一つの町を舞台にまるで縮図のように描いて、観る者に問いかけてくる。厄介な前作『ボーはおそれている』よりわかりやすく面白かった。
