ザ・ザ・コルダのフェニキア計画のレビュー・感想・評価
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おもしろかったような、そうでもないような…
■ 作品情報
ウェス・アンダーソン監督作。主演はベニチオ・デル・トロ。共演にミア・スレアプレトン、マイケル・セラ、トム・ハンクス、スカーレット・ヨハンソン、ベネディクト・カンバーバッチほか豪華キャスト陣。ウェス・アンダーソンが脚本・原案を手がける。製作国はアメリカ、ドイツ。
■ ストーリー
1950年代、架空の大独立国フェニキアが舞台。大富豪ザ・ザ・コルダは、6度の暗殺未遂を生き延びた男である。彼はフェニキア全域のインフラ整備を目的とした一大プロジェクト「フェニキア計画」を推進しているが、様々な妨害により資金難に陥ってしまう。計画を救うため、ザ・ザは疎遠になっていた娘で修道女見習いのリーズルを後継者として指名し、彼女と共に資金調達の旅に出る。各地の有力者たちを相手にあの手この手で交渉を進めるザ・ザとリーズルは、その道中で様々な事件に巻き込まれる。
■ 感想
そこそこ期待して劇場へ足を運んだのですが、想像とは少し異なる感触の作品で、思ったほどではなかったかなという印象です。
物語の中心は、大富豪ザ・ザ・コルダが壮大な「フェニキア計画」実現のために資金協力を求めて各地を奔走するというもので、この大枠は理解できます。その中で、彼と娘リーズルが繰り広げるドタバタ劇を楽しむという構図なのですが、これがイマイチ楽しくありません。確かにユニークな会話劇と映像美で彩られ、部分的にはニヤリとさせられるシーンもあります。しかし、正直なところ、よく理解できない会話内容も多く、ストーリーラインとして純粋に楽しむという点では、やや難解さや物足りなさを感じます。
そんな中、この旅がザ・ザ自身の内面へと向かう道程であったことも併せて伝わってきます。過去を見つめ直し、亡き妻や娘リーズルへの愛情を再認識し、最終的には私財をなげうって計画を守ろうとする姿に、彼の大きな変容を感じます。それは、彼の傍らで旅を共にしたリーズルにも確かに届き、二人の間に失われていた父娘の絆が静かに紡がれていくのも感じます。そうした温かいドラマが内包されているような気もするのですが、それも心に響くほどのものではなかったのは残念です。
それでも、鑑賞後には「なんだかほっこりする」という感覚が不思議と残ります。ラストシーンに漂う穏やかな空気は、この不器用な父娘の旅路を優しく締めくくり、作品全体を温かい印象で包み込むかのようです。全てが腑に落ちるわけではないですが、なんとなく嫌いにはなれない、そんな余韻が残る一本です。
難解さと快楽の境界線
ウェス・アンダーソン監督の新作から、まず強烈に感じるのはその“レトロ感”。舞台は架空のフェニキアだが、スクリーンに広がるのは1950年代のヨーロッパを想起させる街並み、古い電話機やタイプライター、模型のように作り込まれた建物群である。映像フォーマットも横長のシネスコではなく往年のアスペクト比を選び、パンやズームといった昔のニュース映像じみたカメラワークを多用する。さらに音楽はシンセや低音重視のモダンなスコアではなく、室内楽的な弦が響く。これらの積み重ねが観客に「昔の映画を観ている」錯覚を呼び、作品世界をノスタルジーに包み込む。つまりこの映画は、単なるストーリーではなく「過去の映画を現在に蘇らせたかのような体験」が提供される。
その一方で、物語はきわめて断片的で難解。大富豪ザ・ザ・コルダが巨大インフラ計画を進めるが、暗殺未遂が繰り返され、娘との断絶、母の死の影、宗教的儀式が折り重なる。しかし背景説明はほとんどなく、観客は「なぜ暗殺されるのか」「なぜ娘は父を信用しないのか」を断片的な台詞や象徴的な映像から読み取るしかない。まるで何ページか抜け落ちた小説を読んでいるような感覚で、筋を追いたい人には不親切極まりない。だがアンダーソンは、わざとそうしている。観客に迷子感を与え、その不安や混乱自体を映画体験の一部として組み込んでいる。
絵画の使い方も象徴的。マグリットやルノワールといった実在の作品が壁に掛かる一方、宗教画はほとんどが架空の創作で、「どこかで見たようで、実際には存在しない」不思議な既視感を与える。これによって現実と虚構の境界がさらに曖昧になり、観客は歴史映画を観ているのか寓話を観ているのか判断を保留せざるを得なくなる。宗教画が母子像や受難図を思わせるのは偶然ではなく、父と娘の断絶や贖罪を視覚的に補強する仕掛けと理解した。
こうした仕掛けを“美術館的体験”として楽しめる人には向いている作品と言える。絵画の額縁ごと左右対称に配置された構図を堪能し、模型セットや色彩の退色感に「これは古いフィルムの再現だ」とニヤリとできる人たち。逆に、ストーリーの一貫性やキャラクターの心理描写を重視する観客には、唐突さや冷たさとして跳ね返ってくる。つまり、この映画は「わかる人だけわかればいい」作品であり、そこに割り切りがある。
興行的には大衆的ヒットは望めないが、ウェス・アンダーソンというブランドは世界的に確立している。過去作の『グランド・ブダペスト・ホテル』がインディペンデント映画としては異例のヒットを飛ばしたように、都市部のアートシネコンや映画祭を中心に十分な収益を確保できる。製作費も大作級ではないため、商業的には成立するし、むしろ難解さやレトロ感こそがSNSや批評家の話題を呼ぶ。わからない観客を置き去りにする冷たさを「芸術性」として売りにできるのが、この監督の強みとも言える。
総じて、『フェニキア計画』は「レトロに作られた難解な寓話」である。豪奢な美術と古風な演出を堪能するか、あるいは筋が飛んだと首をかしげるか。どちらの反応も作品の内に織り込まれており、理解不能さすら快楽に転化する。映画館を出て「よくわからなかった」と呟く観客もまた、この映画が描く“わからなさ”を体現している。そういう意味で、これは単なる物語ではなく、「映画とは何か」という問いをレトロな衣装をまとって投げかける実験なのだろうと解釈した。
ウェス・アンダーソンっぽーい
ケイト・ウィンスレットの実の娘さんが💕
「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」(2021)、「アステロイド・シティ」(2023)に続くウェス・アンダーソン監督作。
カラフルで淡い色彩の美しい映像と緩い笑いに気分が良くなり思わず気を失ったことがあるアンダーソン作品。彼の作品には睡眠を促す効果があると思っている。
しかし今作は違っていた。
ベニチオ・デル・トロ演じる富豪ザ・ザ・コルダと彼の後継者にせんとする修道女の娘リーズルの旅にグイグイ引っ張られ気を失う暇は無かった。
物語として優れているのだと思う。
個人的には修道女のリーズルを演じたミア・スレアプレトンが好き過ぎた。大好きなケイト・ウィンスレットの娘さんと知りびっくりした。これから母娘で推していきます。
愛と再生の映画
ウェス・アンダーソン作品は『グランド・ブダペスト・ホテル』と『アステロイド・シティ』しか見たことないにわかです。どっちも大好きです。
相変わらずのウェス・アンダーソン節、最高!!
エレガントでゴージャスな画面は観ていてずっと楽しく、「嗚呼私は今"映画"を観ているな」「この世界に映画という文化があって良かった」と強く痛感する102分。
メインキャラクター3人も愛らしくて、特にビョルンがお気に入りです。チャーミングで可愛い。
ストーリー展開が分かりづらかったり、あの天国みたいなシーンは何?となるものの、「ようわからん」を楽しめるのがウェス・アンダーソン作品だなあと思えます。
(天国シーンはザ・ザ・コルダが死の瀬戸際で見た夢らしい?)
輸血ってあんなポンプみたいな機器でできるんだ。
後味が良い名作
監督の過去作品と同様、映像で韻を踏むような演出やシニカルなセリフなどは本作でも健在である。
キャラクター設定が上手く、欲や野望を剥き出し言動を取る人物ばかりが登場するにも関わらず、彼らに嫌悪感を抱かないで見ることができる。
ストーリー展開にはやや無理があるが、鑑賞後はいい気分で一日を過ごすことができるような作品だと思う。
チャップリン喜劇を彷彿するが…
ザ・ザ・コルダのフェニキア計画
The Phoenician Scheme
まるでオランダ絵本仕立ての喜劇でありそれは悲劇で、チャップリン寓話ではないかと感じてしまった。
富豪は、飛行機が何度も爆撃されても、銃撃されても不死身で、常に平気で嘘をつき詐欺的に相手を屈服させて富を築いて来た悪党と言っても間違いない。
そして、今回は最後の大計画を成功させる為、熱心に修道女になる修練する娘を連れて、潔白で神聖な計画を装う資金集めの旅に出た。
この旅には何度も生死を問われる事件が繰り返されながら、その度に豪華なキャストが入れ替わり立ち代わり、情景がシンメトリーな絵本のコンテ舞台で展開される喜劇。
それはストーリーより、絵本をめくるように画面を楽しみ、最後の最後の「おしまい」まで実験的なエンディングまでしっかり観ましょう。
きっと、ほのぼのとした豊かさが残るでしょう。
よかった良かった…
彼って、誰がさん?
おしまい
レビュー35
(^ν^)
ザ・ザ・コルダのフェニキア計画
The Phoenician Scheme
ウェス・アンダーソン監督がベニチオ・デル・トロを主演に迎え、
ビジネスの危機的状況を打開するべく旅に出たヨーロッパの富豪ザ・ザ・コルダが、
娘で修道女のリーズルとともにさまざまな事件に巻き込まれていく姿を描いたコメディ。
独立した複数の都市国家からなる架空の大独立国フェニキア。
6度の暗殺未遂を生き延びたヨーロッパの大富豪ザ・ザ・コルダは、フェニキア全域におよぶインフラを整備する大プロジェクト「フェニキア計画」を画策していた。
成功すれば、今後150年にわたり毎年ザ・ザに利益が入ってくる。
しかし妨害により赤字が拡大し、30年かけて練り上げてきた計画が危機に陥ってしまう。
ザ・ザは資金調達のため、疎遠になっていた娘で後継人の修道女リーズルとともに、フェニキア全土を横断する旅に出るが……。
共演にはケイト・ウィンスレットの実娘で俳優のミア・スレアプレトン、マイケル・セラ、リズ・アーメッドら、ウェス・アンダーソン監督作に初参加のキャストに加え、トム・ハンクス、スカーレット・ヨハンソン、ベネディクト・カンバーバッチらおなじみの顔ぶれも集結。2025年・第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
ザ・ザ・コルダのフェニキア計画
The Phoenician Scheme
2025/アメリカ・ドイツ合作
近年のウェス・アンダーソン作品を観るたびに、「ウェス・アンダーソン...
不穏で新しい世界
よくわからんかったけど、美と笑いのセンスが凄いのはわかった
ウェス・アンダーソン監督作初体験。
キービジュアルがなんだかかわいいな、おしゃれやな、って理由だけで鑑賞。それがまさかのどストライク!ちょっとよく分からなかったところもありましたが、最後までずっと笑い堪えるのに必死でした。
この監督の特色なのでしょうか?どのカットも計算し尽くされ、洗練された印象を受けました。人物の配置、背景のバランス、配色等、視覚的に楽しませてくれます。ただし、定点カメラによるシーンが非常に多いので、この美的感覚、シュールな絵面が刺さらなかった人にとっては地獄かもしれない(笑)
豪華俳優陣は言わずもがなか。ウェス作品では常連らしいですね。スカヨハ、ベネカンはマーベルシリーズのイメージがあったので「こんなとこで何してんねんw」って感じで最高でした🤣特にベネさんのへっぴり腰よwww
ビル・マーレイは何役だか分からなかった…。分かった優しいお方、教えてくだせぇ…🙇🏻♀️
ストーリーは金策に奔走する富豪と娘のドタバタロードムービーといったところか。ロードムービー…というよりは絵本を読んでる感じかな?背景も人物もあまり動かんのでw正直、細かい設定や状況はなんとな〜くでしか把握出来ませんでした。テンポが良すぎて置いてかれました😇それでも、とにかくシュールでブラックで勢いのあるシーンが多く笑えました。
あんまり面白かったので、ウェス・アンダーソンの作品、他のも観たいと思います😊
シュールな哲学
端正な構図とバカバカしい展開
アンダーソンらしくないアートワーク
【アンダーソンらしくないアートワーク】
本作は、ウェス・アンダーソンのフィルモグラフィにおいて、
良くない意味で異色とも言える作品と言ってもいいだろう。
彼の作品に期待される精緻で装飾的な美術セット、
パステル調の色彩設計、対称性のある構図、
そこに真正面からカメラを置く、
横移動、トラックアップいずれも直線的、
そういった〈アンダーソンらしさ〉は、
冒頭のタイトルバックのレンズワークにこそ感じられるものの、
それ以降は意外なほど控えめで、印象に残りにくい。
アンダーソン作品は『グランド・ブダペスト・ホテル』くらいから、
豊富な製作費で世界観を拡張し、
画面の隅々まで遊び心に満ちたビジュアルの作り込みで、
思いのままに観客を魅了してきた。
しかしその一方で、
美術的密度が物語の進行や人物描写を圧倒し、
世界観とストーリーの乖離を感じさせる傾向も見られた。
その影響もあるのか、
人気に陰りが見えたのか、
興収に影響が出始めたのか、
本作は、絞られた予算を逆手に取って、
そのアンバランスさを意識的に反転させようと試みているようにも見える。
物語の中心には、ベニチオ・デル・トロ演じる主人公とその娘、
そしてルパート・フレンド(『ホームランド』ファンには悪役に見えない)率いる敵という、
非常にシンプルな人物配置でシナリオは進行する。
舞台となる世界は相変わらず抽象的な空間だが、
登場人物たちは最小限に絞られており、
ストーリーの軸は明快だ。
しかしながら、
そのコンパクトさが功を奏しているかといえば、
判断は分かれるだろう。
なぜなら、
物語と登場人物が凝縮された分、
今度は美術やプロップ、
小道具類の面白みに欠ける印象が否めないからだ。
美術が平板であるために(平板なりのアイデアが過去作にはあった)、
画面に奥行きが生まれず、
アンダーソン特有の〈見る楽しさ〉が持続しないのだ。
それでも、
ヌバルおじさんのシークエンス以降では、
アンダーソンワールドが本領を発揮する。
視覚的快楽が一気に加速する。
いつものように斜めからの狙いは意図的に排除され、
過剰なプロップの飾りこみ、
その美しさ、大胆さが前面に出てくる。
エンドロールに至るまでの演出は、
まさにいつものアンダーソン作品と言える仕上がりで、
観客の記憶に鮮烈に残る。
が、
本作にはある種の違和感が拭えない。
美術と物語、
予算と演出のバランスを、
キャスト費と美術費の按分を、
良くない意味で模索する段階にあるようにも感じられる。
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の頃まで立ち戻り、
小規模の予算の中(邦画でいうと中規模)で、
世界観とシナリオ、
そして美術の緻密な作り込み、
撮り方を一体化させていた時代の手触りを、
もう一度追求してみてもよいのではないか、
あるいは、
徹底してキャストのキャラをデオドラントするか、
それでもキャストの人間臭さが残るなら、
いっそのこと、
犬のようなストップモーションアニメにするか、
そうでもしないと、
世界中のウェス・アンダーソン好きの人たちですら、
離れていってしまう、
そんなことを思わせる作品でもあった。
【蛇足】
昨今のウェス・アンダーソン作品の感想を貼っときます。
下記、
フレンチ・ディスパッチ、、、
の時の感想。
いつもの通り、
ピタゴラスイッチのような、
ドミノ倒し(本編中にあった)のような、
おとぎの部屋や、
ハロウィン・タウンのような、
ウェスの左手の法則のような、
数学的定義に落とし込むべく、
公式を反復させるような、
ギミック、世界観で、
カメラは、
世界地図の図法でいうと、
メルカトル図法のような、
正面が大事!
ビルの屋上から斜めのカットがひとつあったが、
基本は2D風正面!
モルワイデ図法的な正しい面積、方位は不要!
で楽しませてくれるのは今回も同じ。
たが!
いつもは、比較的小さな世界観なので、おもしろいギミックを追いかけていると、ストーリーも自然と腑に落ちていく仕掛けだったのだが、
今回は、
レア・セドゥの巻、
シャラメの巻、
誘拐の巻、
それぞれ世界観がデカイので、
仕掛けを楽しんでいるだけ(ウェス作品は本当はそれだけで構わない。)ではストーリーは腑に落ちてこない。
字幕を読んでストーリーを追うのか、ただただビジュアルを楽しむのか、二者択一を迫られた人も少なくないはず。
そういう人の為に、
後半、エンタメバリバリのシークェンスもやっておきます、と、
プロデューサーでもあるウェス。
作品のジャンルは?
と聞かれると、
ウェス・アンダーソンというジャンル、と答えるしかない。
ノーラン、パク・チャヌク、
タランティーノ、、、その人の存在が、スタイルが、
作品が、そのままジャンルだと言える絶滅危惧種監督。
製作基準点、いわゆるK点(建設基準点)超えの高過ぎる絶品度は相変わらず。
少し人間らしさを取り戻したウェス・アンダーソン ✕ 機能不全な家族 = なじみのある題材を『アステロイド・シティ』よりはまだ温度を感じて幾分か取っつきすくなった最近のトーンで
大好きな彼の初期作品群や以前の作品のようには、もう本当の意味では感動できないのかもしれない。それでも親子や巡る旅に、血と暴力(冒頭のチョンパ退場)など、本作には彼を好きな理由やあの頃の作品に通ずる要素が確かにある。ポスト『グランド・ブダペスト・ホテル』モード益々増していく緻密さ(コントロールフリークさ)を今回は少し抑えることで、それ以前の要素にも原点回帰している。
もちろん本作にも『フレンチ・ディスパッチ』から顕著に感じる困惑も、もう彼の作品には初期の作品のようには心満たされたり、感動したりすることはできないのかもしれないという不安も、常につきまとってはいるのだが。とっつきにくさが増す一方で、オシャレの権化として祭り上げられる人気っぷり。けど、今回は劇場で(少なくとも自分の耳には)イビキ聞こえなかったのも、そういう多少の"人間らしさ"回復ゆえだろうか。
前作『アステロイド・シティ』で感じた、ドラマ性と人間らしさの欠如。作品を追うごとにもう人間じゃなくて人形でよくなる徹頭徹尾無表情なデッドパンと撮影で、生きているのかわからない役者陣の統一した演技のトーン。いわゆる共通性もへったくれもない。という内容に反比例するように、一方で豪華さに拍車がかかるキャストという皮肉っぷりと、ウェス・アンダーソンファミーの拡大は冗談かと思ってしまうほど。
内容としては、セットとLEDスクリーンの中で"世界を股にかける"権力者同士のどうでもいい談合。主人公は、奴隷で富を築き、何者か("元スタッフ")に命を狙われながら6度の暗殺未遂を生き延びた大富豪。指を。そして、見逃してほしくないのが永遠のナード枠マイケル・セラ史上最も格好良くて最強のマイケル・セラ?トム・ハンクスとブライアン・クランストンを並んで見られるのって最高!
"計画"が暗礁に乗り上げ、成功から遠ざかるほどにどこかで覚悟を決める必要が出てきて、家族は本当の家族になっていくし、そこでは真相なんてある意味ではよくなるのかもしれない。今その瞬間を一緒にいられることこそが何よりも大事だから。そんなことで考え方が変わるのか分からないけど、権力者達も本当に大事なものに気付いて、利己的・自己中心的な行いを省みたらいいのに。
オシャレで絵画的
オーウェンとともに書いてくれ
ストーリーを凝ろうとしすぎな印象。
自分の理解力が無いからかもしれないが、ストーリーの前提がよく分からず詰んだ。
オーウェン・ウィルソンと一緒に脚本書いてた頃のあんな感じの映画が見たいなあ。
オーウェン・ウィルソンの話になってしまうが、彼には主要キャストとして出演してもらいたいものだ。
彼の軽薄さがウェス・アンダーソン作品に深みを与える重要な要因だと、最近の作品を観て感じる部分である。
本作の感想に戻ろう。
ストーリーは自分には合わなかったけど、画はやっぱり凝ってるよねっていう感じだった。
天井が異様に高いあの部屋の全体を映すことでミニチュアかな?と思わせたり。今作は遠近法みたいなのが多めな印象だった。
あと、ビンタされた目線の先に呆気に取られてるジェフリー・ライトがいるというシュールな笑いを誘うあのシーンがお気に入り。ウェス・アンダーソン作品でお馴染みの「高速パン」とそこに「笑い」をかけ合わせた新たな映像表現を確立している気がした。
なんだかんだでウェス・アンダーソンは好きだし楽しめたので星4。
ウェス監督
いつも通り少し意識とびました。
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