劇場公開日 2025年7月4日

「独立後のビジョンが見えない」ハルビン じろぞうさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0 独立後のビジョンが見えない

2025年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

シナ山の戦い? 森辰雄? 聞いたことがないと思って調べたけど、何も出てこない。
モデルと思われる人さえ分からない。

歴史的事件を題材に、実在の人物を主人公にしながら、創作エピソードを多用するのは良くない。
「このような事があったと思われる」という空想で印象操作。慰安婦や徴用工の映画とかと同じ手法。
確信犯でしょうね。

韓国は戦後の戦争責任を免れるために、「朝鮮は植民地であり、戦争被害国である」という立場をとったので、「朝鮮人は常に迫害を受け、日帝と戦い続けていた」という主張が必要になる。
今後もこのような映画が作られ続けることでしょう。

独立を目指す気持ちは尊いと思いますが、その先にどのような国を目指していたのか。
この映画ではそれが全く描かれていません。

独立後、どのような政権を誕生させるつもりだったのか。
仮に日本が朝鮮の独立を認め、投資したインフラを寛大に全て譲渡してくれたとして、それを維持、管理、運用できる人材はいたのか。

東洋平和論を説いたアンの何らかの思想が聞けるかと思いましたが、全く触れられませんでした。
先のビジョンも無く子供のように独立を願っても、応援したい気にはなれません。
単にテロリスト称賛映画になっています。

伊藤博文はこの映画が描く時代の40年以上も前にイギリスに渡り、世界の民主主義や憲法を学びました。映画なら『長州ファイブ』を観て欲しい。
伊藤のような人物が日本には山ほどいて、明治維新を成し遂げました。

同じことが出来る人材が、当時の朝鮮にどれだけいたのか。
仮に日本が手を引いていたら、内戦になってロシアが攻め入っただけではないでしょうか。
実際に1950年にそうなりました。

清やロシアよりは日本に頼った方がマシだと考え、併合に協力した人たちは、「親日反民族行為者」として現代になってから罰せられ、汚名を着せられています。
当時の視点に立って冷静に考えないと、韓国の戦後は永遠に終わらない。
いつまでも歪んだ歴史観を持ち続けることになる。

伊藤が「ここ(ハルビン)は清国の領土でしょう」と問い、ロシア外相が「では朝鮮は誰の土地だ?」と返す場面があります。韓国の映画としてはなかなか突っ込んだシーンだと思いました。
韓国では多くの人が観た映画ということなので、どう受け留めたのかが気になります。
このシーンだけでも、当時の政治情勢で朝鮮が独立を維持することは難しいと解るのではと思います。

ChatGPTに「日本が朝鮮を併合しなければ、現在の朝鮮半島はどうなっていると思いますか」と訊いてみました。
回答されたシナリオは4つ。

①ロシアの衛星国(可能性:高) 親露政権、後にソ連化の可能性も
②中国の影響下(可能性:中) 清国の属国的立場の継続
③独立国家として存続(可能性:低) 自主改革は困難、政情不安定
④冷戦で南北に分断(可能性:中〜高) 別の形で分裂の可能性大

じろぞう
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