劇場公開日 2025年11月7日

旅と日々のレビュー・感想・評価

全168件中、1~20件目を表示

3.0言葉の向こう側にあるもの

2025年11月15日
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鑑賞方法:映画館

脚本家の主人公が、言葉で表現することの限界を感じ、自分には才能が無いと自信喪失するまでの、夏の海パート。

亡くなった恩師からもらったカメラをきっかけに旅に出て、言葉の向こうにある美しさや豊かさを知り、その力を信じることができたことで心を再生させていく、冬の旅パート。

自然の音と美しい景色、人との交流、その時の表情が、言葉に頼らなくても雄弁に語りかけてくると気付いた時、主人公は言葉だけの力で何かを作ったり、組み立てたりするのではなく、ありのままを見せることで伝わることがあると知ることができた。

この作品は、同じ気付きを主人公を通して、私たちにも気付かせてくれる作品になっているのが、観る側のコンディションによっては、退屈でつまらないと感じてしまうかもしれない。

ストーリーを楽しむというより、繊細な物語の奥にあるメッセージを受け取り、こちら側から汲み取ろうとする気持ちで観る作品だと思った。

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AZU

4.5旅や人生の本質をとらえた宝物のような映画

2025年11月27日
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鑑賞方法:試写会

率直に思った。なんと豊かで、自由で、私たちを普段とは違う思考の場にいざなってくれる作品なのかと。小難しいことなど何もない。しかし構造は驚きに満ち、無駄がなく研ぎ澄まされている。つげ義春の原作をベースにこれほど奥深い旅の本質に触れられるとは。旅、それはもしかすると「人生」とも言い換え可能なものかもしれない。加えて、シム・ウンギョンという人はどうしてこれほど面白いのだろう。彼女が物思いに耽るたび、熟考の末に脚本を書き出すたびに我々の心は静かにふるえる。そして、何気ない表情とセリフを通じてこの脚本家とにわかに重なっていく。まるで私たち、脚本家、彼女の劇中劇という3つの世界が並存して繋がっているかのよう。言葉から遠く離れてもすぐに追いつかれる世の中で、私たちはそれを振り切るように旅を続け、その果てに各々にとっての秘密の場所を見つける。あの入江や雪国の宿のように、私にとってこの映画こそがその場所だ。

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牛津厚信

3.0かっちりとした画づくりが印象的

2025年12月2日
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鑑賞方法:映画館

都会のアパートの一室で、考えをめぐらしていた主人公が鉛筆で1行書く。するとそれが映像になり、後から1本の映画になっていることがわかる入れ子構造。つげ義春の2つの漫画作品を原作にしているが、主人公を脚本家にして、前半の創作パートと、後半の実体験パートをつなぐ構成が秀逸。
その中で印象的なのは、丁寧でかっちりとした画づくり。トンネルを抜けた海岸、夕闇の中の二人の長回し、雪原を横切る二人のロングなどなど。スタンダードサイズのせいもあって、50年代のクラシカルな雰囲気も感じた。
しかし、前半と後半をつなぐのに「脚本の才能がない」と言わせるのは、それまでの映像を自己否定しているようで、どうもピンと来ない。映像の力に比べて、脚本は無力に感じたということか。「言葉にとらわれている」という独白も、その後の旅の体験につなげるためのセリフにとどまっている感じ。言葉と映像をめぐる物語になるのかと思ったが、タイトルどおり素直に、人生と旅についての作品と受け止めればいいのだろう。
シム・ウンギョンのたどたどしい感じは、起用した狙いどおりなのだろう。河合優実のほのかで妖しげな色気、堤真一の山親爺ぶりが良かった。
後味は良いが、物足りなさも残ったのは、三宅唱監督の新作という期待の高さがあったためか。

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山の手ロック

3.5何かに囚われる不安な人々を描くつげ義春の世界

2025年12月2日
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夏の海の場面から始まる。若い男女が出会い、訥々と言葉を交わしてその交流が近づく。言葉が失速したりすれ違ったり、繊細な交流を河合優実と髙田万作が見事なタッチで演じている。やがて夏は不穏な空気と共にバランスを崩し、それは映画の一片であることが明かされる。上映が終わりシム・ウンギョン演じる脚本家の李は、質疑に応じて「私には才能がない」と溢した。なるほどこれは、「言葉といかに向き合って人は生きることを前に進めていくのか」と言う映画なのだと分かる。それに、つげ義春だし。李は「旅でもしてみれば」と勧められ、場面は一転して大雪の冬の田舎に変わる。ここにマタギのような人里離れて暮らすべん造という男が登場する。かなりステレオタイプに作られていたので最初はこの章も映画の一片か、李の思索の一部かと思ったが、何と現実であった。謂わば“言葉を探す旅に出た”李ににべもなく立ちはだかったのは、言葉を拒絶するただただ人当たりの悪い男だった。言葉探しに静かに奮闘する李を演じるシム・ウンギョンの健気で真摯な姿に大きな共感を覚えるが、彼女の旅はあえなく頓挫してしまう。作中の夏の映画の場面が余りにも繊細に言葉と対峙して心を掴まれてしまったので、冬の場面は梯子を外された感が強い。でもこれもまたつげ義春かとも思う。もしこのべん造という男を言葉にガッツリと向き合う俳優が演じていたならどうなっていただろうか…。柄本明さん…松重豊さん…年齢は関係ない、黒崎皇代くん。

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flushingmainst

2.5自信のない脚本家の女性の創作世界と現実の旅。 創作の世界は息苦しか...

2025年12月1日
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鑑賞方法:映画館

自信のない脚本家の女性の創作世界と現実の旅。
創作の世界は息苦しかった。現実の世界は美しかった。
つげの世界は嫌いじゃないなと思いながら観ていたのに、後半寝てしまった…どのくらい寝たのか、ちょっとだけなのか、がっつりなのか…

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邦画好き

3.5降り積もる雪

2025年12月1日
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鑑賞方法:映画館

癒される

雪国の真っ白な雪が美しい。

他に選択肢がなかったけどあの宿屋で、あの主人と泊まる勇気がすごい。

不自由な宿屋で、雪深い自然の中で世俗と遮断され自分と向き合って心の洗濯が出来たんだね。
行ってみたいな。

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いちごのチョコレート

4.0俳優を役の人物に昇華させる監督の技量

2025年11月30日
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鑑賞方法:映画館

知的

癒される

自分にとっての2024年のベスト作品は、三宅唱監督作の「夜明けのすべて」だった。
その監督の新作ということで、ほとんど情報を得ないままに映画館で鑑賞。
面白かったかと聞かれれば、「面白いわけじゃないけど、退屈でなく気持ちが楽になった」と答える。それは言葉をツールとする脚本家の主人公がモヤモヤと感じていた鬱屈感と敗北感が、冬の山奥の風景、そこに暮らす男の人生に触れ、言葉の呪縛から解き放たれるセラピーのような旅を共有する作品だ。

「夜明けのすべて」で圧倒的だったのは、監督の作品内の全てを「整える」技の素晴らしさだった。
監督が作品制作の過程で判断する全てを通して、これ見よがしなカメラワークや人物演技の整合性の無い起伏をきちんと排除して、作品を見事に「整えて」いたのだ。その中でよく知っているつもりだった俳優が今まで見たことない演技を引き出され、役の人物として作品に「存在」することになった。「夜明けのすべて」では、光石研がそうだった。そしてそれができる三宅唱監督の技量に感服したのだ。

新作の「旅と日々」では、堤真一の新たな真髄が引き出されていた。登場してしばらくは正面アップを意図的に(多分)避けられていたこともあって、堤真一と分からなかった。声色、動き方、表情、すべて今まで知っていた堤真一ではなかった。訳あって一人で山奥の宿屋(単に自宅のようだが)を営む初老の男がそこに居た。俳優が登場人物に昇華していた。見事だった。

原作については知識がない。セラピーのような内容に関しては、原作自体が持っているものなのかも知れない。しかし映画作品としての「整い」方は、紛れもなく三宅唱監督の技量の賜物だと思う。彼は今の日本映画の宝である。

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Butchman

3.5自由きままな旅をしたくなるような映画

2025年11月30日
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鑑賞方法:映画館

一部の映画館でしか上映していない作品。
万人受けはしないかもしれないが、旅の本質を教えてくれるような心の琴線に触れる映画だった。

あのような宿は現実的ではないですが、ファンタジーとして面白かったです。

個人的には、最近このような静かな映画が好みになりつつある。

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ももか

2.0旅先での出会い

2025年11月30日
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鑑賞方法:映画館

短編漫画を原作に製作したドラマでシム・ウギョンと河合優実が共演している注目の作品。浜辺のシーンを含めた前半は今一つ面白みに欠ける印象でしたが、冬の山奥のシーンはなかなか面白くて堤真一の存在感が素晴らしかった。旅先ではどんな出会いがあるか分からないところが旅の魅力でもある。

2025-175

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隣組

3.5劇中劇の方が印象に残る

2025年11月29日
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鑑賞方法:映画館

脚本家の話だが、
その主人公が書いた脚本の映画が前半を占める。
その主役は、映画界ではフテほどよりも以前から注目されていた河合優実さん。
このパートは『夏』の話である。
行き詰まり感のある夏独特の気怠さが何とも言えないいい味わいである。
雨もいかにもである。

一方、本編は『冬』の話をコミカルに描く。
シム•ウンギョンさんは『サニー』の頃から好きな俳優さんだが、
今回は夏パートのアンニュイな感じが好き。

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重村牧男

3.0靴下の穴

2025年11月29日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

幸せ

とある脚本家の日常のストーリー

とてつもない大きな出来事はなく

淡々とつづく映画

宿を取らず旅する脚本家
インバウンドでなかなか宿に泊まれず
最終的に
雪深い山奥の古民家な宿に泊まる

東北訛りの堤真一のおじさん役が面白い

二人が寝転んで会話するシーン好き

映画の中の台風直撃の海のシーンは
本当に大変そうでした

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アプソ

3.0こういう映画をもっとみたい

2025年11月29日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

癒される

この作品のシム・ウンギョンさんもよかったです。私は「新聞記者」ではまりましたが、堤真一さんのボロ宿で、シム・ウンギョンさんが暇そうに寝っ転がって話すシーンなんかは最高でした。画面サイズがスタンダードなのは、この映画の雰囲気に合っているように感じましたが(特に海や山の自然描写など)、私のような昔の人には違和感はないのですが、若い人は映画館でこのサイズの画面を見るのは違和感があるのではないかと気になりました。あと、河合優実さんの水着姿を見れたのももうけものでした。

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ならの月

2.5演者は良いのに…

2025年11月28日
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難しい

原作なのか、脚本なのか、わからないが、ストーリーがイマイチ過ぎて、面白くない。
せっかく、良い演者を起用しているのに、もったいないと感じた。残念…。

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一風♪

4.0以前にもオムニバスがあったつげ義春作品

2025年11月27日
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 つげ義春自身は自分では陸軍の軍帽を被った少年が出て来る以外は戦争を連想させる事は作品に描いていないのに、それを元に戦時下の話になったのが気に入らなかったらしい昭和51年にNHKで放送した「紅い花」のようなオムニバス作品。河合優実が出演するので見に行ったが脚本家兼2部のヒロインを演じたシム・ウンギョンが脚本を書いて大学の授業で学生相手に見せた劇中劇の演者だった。「紅い花」と違って原作を読んでいないので「紅い花」のように原作を大いにいじっているのかどうかは分からない。河合優実の役名が渚なので「ふてほど」で仲里依紗の役名と同じなので変な感じ。「かぞかぞ」のようなコミカルな演技も当方にとって河合優実という演者の名前こそ覚えなかったが強烈な印象を残した「神の子はつぶやく」のような母親にカルト教団の教義を叩き込まれたが父親の死をきっかけに家出してキャバ嬢を経てSMクラブで緊縛師に縄で縛られる(河合優実の腕に縄の跡があったので本当に縄で縛られていたのが分かる)までに至る演技も出来る人が淡々とした演技も出来るのが気に入った。シム・ウンギョンを見たのは4年前の「群青領域」だけだがエンディングロールを見るまで堤真一とは分からなかった田舎の古びた宿屋の主人との実質的に2人だけの演技もなかなかなものだ。ただし冬の温泉宿で2人が温泉宿の元妻の家にある鯉の養魚場から一匹盗むシーンで、あんな雪が積もったところなら水を入れた桶に鯉を入れたら凍ってしまうのに気が付かなかったところがイマイチ。

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大阪マフ

4.0河合優実さんのファンだったけど

2025年11月26日
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いい映画だった。ユーモアもあり謎もあり、
例えるならメジャーリーガーやスタジアムロックアーティストのような堤真一さんがこんなに深みのある役者さんだったなんて嬉しすぎます。警察と一緒に去る場面言葉は発さないけどの演技、印象に残りました。今年ベスト。河合優実さんのファンとして見たけど俳優陣全ての人が素晴らしかった

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ヨッシー

3.0「私は言葉に捉われている。 言葉から離れるのが旅かもしれない。」

2025年11月26日
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「私は言葉に捉われている。
言葉から離れるのが旅かもしれない。」

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koyas

5.0日本映画史上最高傑作

2025年11月26日
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僕は日本映画の中でいちばんお気に入りの監督は清水宏なのだが、今作は清水宏的なものを強く感じた
闊達で快活でユーモアがある。美しいという言葉の持つ堅さも、艶かしいという言葉が持つ冷たさもない。
幽かにかおる夢幻が現実と溶け合う様子がひたすらに心地よい。
しかし、多くの人が言及してるように今作は小津のように徹底された物の配置がなされており、如何に最近腑抜けた映像ばかり観ていたかを思い知らされる。
今作は本物だ。本物の映画だ。小津安二郎、清水宏のような本物の映画だ。

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悠

4.0言葉探しの旅

2025年11月25日
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知的

癒される

言葉についての映画なのだが、劇中の言葉としての物語はほぼ無いといっていい。
前半の夏の海で若い男女(高田万作、河合優美)が出会うパートは日本で仕事をする韓国人の脚本家、李(シム・ウンギョン)が脚本を描いた劇中劇。後半は脚本家の李が冬の雪国を旅するパートの2部構成となっている。
どちらの旅もセリフは少なく物語性はほぼ無く、海、風、嵐、一面の銀世界、しんしんと降る雪、鄙びた宿、偶然の出会いといった旅の情景や体験が淡々と描かれる。つげ義春の漫画が原作で、夏は「海辺の叙景」冬は「ほんやら洞のべんさん」を元にしている。そもそもつげの漫画も劇的な展開が希薄なので、原作通りといってもいい。
旅とは日常(日々)からの解放で、言葉からの解放でもあるのではないか。旅の本質とは体験であり出会いであり、醍醐味は想定外のアクシデントだ。思い出して欲しい、友人に旅の話をする時、話したくなるのは決まってアクシデントの話だ。
映画でも夏の海に行ったのに台風に遭遇してしまったり、大雪の中どこも宿が空いていなかったり、泊まれたのはとんでもない鄙びた宿でとんでもなくおかしな主人だったりとアクシデントの連続で、これこそ旅だ。
主人公の李は夏の海の映画上映会のあとのインタビューで「自分の才能に自信を持てていない」という。三宅唱監督が脚本家を韓国人にしたのは外国人からの目線で日本語という形ではなく言葉の本質を見つめるためではないか。李は自信のない言葉の本質を見つけるために旅に出る。
体験に基づかない言葉は薄っぺらい。今、日常は表層的な言葉に溢れている。そうした言葉から解放される旅に出たい。そういう感情が湧き立てられる映画だ。

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kozuka

2.0入っていけずでした。

2025年11月25日
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前半から映画の中に入っていけずにウトウト。後半はさらにリアリティがないことに馴染めずで入っていけなかった。

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khapphom

5.0温かさと寂しさと癒やしをもたらす美しき名画

2025年11月24日
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かなり評判が良くないから、恐る恐る劇場に来た。三宅監督の前二作は大好きだが、今回は眠くなるのを覚悟して観た。
見終わって、こんなに美しい映画をかつて見たことがあったろうか、と思った。最近なら自分の中では「コット、はじまりの夏」以来かな。単なる映像美というのでなく、余計なものが一切削ぎ落とされて、ピュアそのもの。心の芯のようなところに入り込んでくる作品。人の心に寄り添うことをひたすら追求した映画で、その純度が高いから、究極の美しさを感じたのだと思う。優しくて、あったかくて、そして孤独だった。さらに、夏の海と冬の銀世界が対比されていて、それも美しさを際立たせていた。すごく気に入った。温かさと寂しさで、心の中が一杯になった。最後の方は、心が満たされて脚本を書き始めた主人公にぼくの心が乗り移ったようで、ポロポロと泣いた。癒されたと感じた。
パンフレットを買ったけれどまだもの足りず、劇場内のポスターをスマホのカメラで撮ったが、まだ足りない。もっとこの映画と繋がっていたい、と思いながら劇場を出た。
自分はつげ義春のことは何も知らず、この映画が原作に近いのか遠いのかは分からないけれど、監督は、自分が表現したいものが、この原作を通すことで表現し易くなる、或いはこの原作の世界が土台若しくは下地にあれば、その上に自在に自分が描きたいものを描ける、そう思いながら作ったのではないか。その位、監督の感覚と原作の相性の良さを感じた。
シム・ウンギョンの演技が、悩める脚本家という設定にピシャリとハマり、彼女が生み出したドラマの中のキャラクターが河合優実というのも、どことなく主人公と遠からずの雰囲気で、自然に受容できた。たった一人、俳優としての器用なテクニックを求められた堤真一は、その技術でぼくらを完璧にあの雪深い世界へ連れて行ってくれた。
三宅監督がリアルさを追求すると「ケイコ、目を澄ませて」のように、ストイックで誠意の塊のようなド直球のドキュメンタリー風にもなるし、「旅と日々」のように、ちょっとぼんやりとして、孤独とユーモアに満ちたファンタジー風にもなる。そして、各映画祭での実績が物語るとおり、両作品ともに、エンターテインメントとしても一級品である。その力量や懐の深さに感服するとともに、こんなに気持ちを癒やしてもらい、心から感謝している。
最後に、今をときめく河合優実さんの水着姿(彼女は着やせするのですね!)という意外なプレゼントも用意されていて、もう、何から何まで文句のつけようがない名画だった。

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コウチャン
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