「見事なショットの連続」旅と日々 milouさんの映画レビュー(感想・評価)
見事なショットの連続
これは森を散歩しているとき、ぼんやり歩いているだけでは何も見えないが、こちらの気持ちが整ってくると、森の中にあふれる音や小動物の気配や植物の変化…が見えてくる、あの体験を味わうことのできる映画。いきなりオープニングの小津『彼岸花』を思わせるショットでノックアウトされたのち、『千と千尋』を下敷きにしたような無気力に車の後部座席で外を見上げている河合優美、だんだん暗さを増してくる夜の高台で言葉を交わす2人、大きく波がうねる灰色の海で泳ぐ男と女、等々、等々…。こうしたショットやシーンは、簡単に画面に映っているのでは決してなく、周到に計画して、すぐれた撮影・照明・美術・照明を組織しコントロールして、そのうえで現場で幸運な偶然を呼びこむことのできる、ごく一部の監督にしか撮れません。こういう細部をきちんと見るのが「映画を見る」ということなのだな、と改めて気づかせてくれる静かな作品です。
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