「世界がモノクロでしかないこともあるよね?」フォーチュンクッキー ターコイズさんの映画レビュー(感想・評価)
世界がモノクロでしかないこともあるよね?
クリックして本文を読む
人間を丁寧に描いているというところに惹かれる。誰しもそんなにわかりやすいキャラではなく、超人も超悪人も超人も登場しない自然体で、でもドラマがそこに確かにあるっていうのがいい。こういう作品をみると、日々がモノクロで、砂を噛むようで、眠れなくてでも思い巡らしたくもないような、そんな時を思い出す。きっと誰しもそんな時があって、フルカラーとまではいえないにしてもささやかな彩りを大事にしたいなと思ったりできるわけで。モノクロで描かれるドニアのフリーモントの日々が少しでも色づけばいいなと願うような気持ちになる。
あまり前情報なしにみたので、ジェレミー・アレン・ホワイトが登場して見知らぬ街で懐かしい顔に会ったようにホッとする。彼の不器用な雰囲気がとてもいい。
なんとなくやなやつに見えた精神科医も彼なりにドニアの心を楽にしようとしているのだろうし、クッキー工場のオーナーの妻も、彼女なりに何か変化をもたらそうとしたのだろう(多分)。
個人的には『白い牙』よりも『荒野の呼び声』派なのだけど、ドニヤが白い牙と自分を重ねそれを口に出せたのならそれでいい。彼女の流した涙はとても美しくて、でも辛いものだった。
辛いことを忘れられないでいるのは悪いことじゃない、むしろそれも必要。ただ、幸運をさがしていけばいいんだよね?
コメントする

