「港を出なければ船ではない」フォーチュンクッキー ニコラスさんの映画レビュー(感想・評価)
港を出なければ船ではない
アフガン紛争、ワードはよく耳にしていても、遠い地で繰り広げられていたことだし、詳しいことまでは分かりませんが、タリバンによる行いは、そこに住む女性にとっては命を奪い取られる脅威そのものだし、そこに親米と思われてもしょうがない英語通訳をしていたのであれば、いつまでも心の傷は癒えないし、まだその地に親族がいるのであれば心痛もどれほどのことか、くらいは理解できます。
そんな彼女の日常が淡々と描かれて行くので、単調な繰り返しになるのですが、そこでなんとなくワタシ的には「ああ、これは彼女の心の中のロードムービーなのだな」そんな風に悟りました。
まあ、後半には実際旅に出るのですけれど、周囲の善き人(精神科医やクッキー工場の社長など)に支えられ、前へ進む気持ちが湧いてくる一方善き人でない者(隣人の夫やクッキー工場社長夫人など)に対し、憤怒の気持ちが湧いてきて態度に表すことができるようになったり。
少しづつではあっても現状を変えようとするそんな力を感じさせてくれる作品でした。
とは言え、何かが劇的に変わる訳ではないので、気力・体力が充実している時に腰を据えて観るのがおススメですね。
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