劇場公開日 2025年6月27日

「現実は理不尽だけど、ドライなユーモア満載」フォーチュンクッキー 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5現実は理不尽だけど、ドライなユーモア満載

2025年6月27日
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鑑賞方法:映画館

笑える

主人公ドニヤは、アフガニスタンのカブール生まれ。
米軍基地で通訳として働いていたが、
タリバンの迫害を逃れて米国へ渡り、
今はサンフランシスコ湾岸のフリーモントに住んでいる。

映画の原題は、この都市の名前。
同じアパートには、他にもアフガン人が。

ストーリーは、ドニヤが不眠に悩んでいて、
メンタル・クリニックで睡眠薬を処方してもらいたがっている、
というところから始まる。

話の軸は、以下のごとし。
1.同じアパートのアフガン人たちとの会話
2.いつも夕食を食べに行く食堂のおじ(い)さんとの会話
3.メンタル・クリニックの医師ダニエルとの会話
4.職場(手作りフォーチュンクッキーの工場)の同僚ジョアンナとの会話
5.職場の経営者夫妻との会話
6.そして最後に、真打ち登場(日本版ポスターは、ネタバレじゃん)

これらの中で、
ドニヤの置かれている状況が徐々に明らかになっていくんだけれど、
ドライでシュールなユーモアが、あちこちに地雷のごとく仕掛けられている。
周りの人たちが、微妙に面白可笑しい。

監督で共同脚本のババク・ジャラリはイラン生まれだがロンドン育ちなので、
ユーモアのタイプはブリティッシュかも。
「ニヤリ」「グフッ」って感じのやつ。

根本にはアフガニスタンの、
米国がらみ、そしてタリバンがらみの根深い事情が横たわっているけれども、
そしてそれがドニヤの現実を縛っているんだけれども、
大きな事件は起こらない。

ただ、
真綿で締めつけるような理不尽な現実から一歩一歩
凛々しく前進していこうとするドニヤに、
ちょっとだけドキドキしながら、喝采。

島田庵
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