「独特のリアリズムとリズム」アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
独特のリアリズムとリズム
基本的に前情報ゼロで観るが、
本作は、
メインビジュアルの人と木が、
なんとなく、イェジー・コジンスキー(youtuveで話題にしてます)の、「チャンス」に似てるので、観た。
驚いた!1915年オスマントルコ・・・!
主人公の意としない状況に、
巻き込まれていくのは似ているが、ベクトルが真逆だ。
言葉が通じないという状況を逆手に取り、
そのもどかしさや切なさを、動作や表情で表現している。
シナリオ、演出、そしてキャラクターたちの芝居は、
言葉の壁を超え、感情の機微を雄弁に物語る。
登場人物たちの表情や仕草、
目の動きひとつひとつが、
彼らの内面を映し出す、
これは、現代の映画製作において難易度の高い挑戦であり、
見事に成功していると言えるだろう。
また、安易にハッピーな展開に流されない、
独特のリアリズムに満ちた展開も本作の大きな魅力だ。
不条理で、残酷な現実が連続して突きつけられるが、
それらを乗り越えていく登場人物たちの姿、
このリアリズムの文法は、
ロシア文学から多大な影響を受けている可能性を強く感じさせる。
そこには、大国の狭間で生きる人々のたくましさや、
逆境に立ち向かう人間の普遍的な姿が描かれているかのようだ。
劇中に登場する文化的な要素も、
この映画の奥深さを形作っている。
ゴラニはゴラン・ブレゴビッチ(あくまでもゴラン、ゴラニという語感からだが劇伴の曲調の類似性は見逃せない)
胡弓のような細い弦楽器、
そしてドクトル・ジバゴを連想させるバラライカのような楽器の登場は、
映画の背景に広がる複雑な歴史と文化の融合を示唆している。
四方を小国と大国に囲まれた地域の複雑な背景が、
映画の文法、リズム、音楽、
そして使用される楽器にまで色濃く影響を与えているのが、
随所から見て取れる。
これらの要素が単なる雰囲気だけではなく、
物語の深みを増す重要な役割を担っている。
まさに「発掘良品」という言葉がふさわしい一本だ。
言葉に頼らない表現の可能性を追求し、
独自のリアリズムで人間の普遍的な感情を描き出した。
給仕のおじさんが、どことなく、ピーター・セラーズに似ていた。
素敵なレビュー、嬉しい。おこがましくてごめんなさい、なんだか取っても嬉しいです。レビューの全ては無知のためわからない部分も有ります。でもガッツーンときました。ありがとうございました
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