劇場公開日 2025年6月13日

「我々には感覚的に掴みづらい作品かも。」アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0我々には感覚的に掴みづらい作品かも。

2025年6月17日
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鑑賞方法:映画館

アルメニアは黒海とカスピ海に挟まれた地域にある国である。キリスト教徒(アルメニア正教会)が多いアルメニア人による民族国家であるが地図でみるとトルコとイランに接していて古くからペルシャとトルコの支配を交互に受けてきた。第二次世界大戦後に独立は果たすが、今度はソビエト連邦加盟国家としてモスクワの支配を受けることとなった。アルメニア人虐殺は第一次世界大戦前後に東アナトリア地方でトルコ軍が行ったものでこの影響もあってアルメニア人は世界各国へ離散することとなった。という程度の知識がないとちょっとこの作品は何が何だか分からないかもしれない。
「帰還者」がキーワードであり、アメリカに渡っていたチャーリーが故国アルメニアに戻ってくると、そこはバチバチのスターリニズムの教条主義国家となっていた。チャーリーは水玉のネクタイをして公衆の面前に現れたため、帝国主義者、世界主義者(トロッキズムのことだと思う。分かんないよね)の烙印を受け投獄される。彼が、獄内で心を通わせる看守のティグランは元々は高名な画家だったのだけど、教会を描いた廉で絵を取り上げられている。
この辺まで書いてきてゾッとしているんだけど、これって「ミッドナイトエクスプレス」ですよね。不寛容との戦いというか。
でも、監獄自体は、管理が緩いというか、全般に戯画的というか、心が通っているところがホッとします。
映画としては、チャーリーが覗き込むティグランのアパートの様子で話は進んでいくのですが、これがいわゆるワイドスパンのお家でして「裏窓」っぽい。ちょっと最後の方がドタバタして尻切れトンボな印象はあったけど。
アルメニア人の監督がつくった作品です。(アメリカ資本は入っているが)途中、アルメニア自慢みたいなのが突拍子もなく挿入されますがご容赦ください。ちなみにアルメニアコニャックですがアルメニアのブランデーは品質が良いので有名です。確かに厳密にはコニャックって呼ぶのは僭称っていうやつですが、ロシアから東欧にかけては幅広く一般名称として通用します。ほんの10年ぐらい前まではラベルに堂々と印刷してありましたよ。

あんちゃん
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