「人の幸せを妬んでいる限り幸せにはなれない…」アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓 さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)
人の幸せを妬んでいる限り幸せにはなれない…
浅学にしてアルメニアの近代史について全く知識がありませんでした。
オスマン・トルコによる虐殺、ソビエト連邦による支配、
強国の都合で振り回される小国の国民たち。
けれどどんなところであっても故国は故国で、魂が帰るところなのかもしれません。
とにかく主人公のポジティブっぷりに圧倒されます。
痛めつけても痛めつけても幸福を見つけ出す主人公に苛つく悪役たちの気持ちも分からなくはないですが
人の幸せを妬んでいる限りいつまで経っても彼ら悪役たちが羨望し、憧れている幸せはかえって手に入れられないということが悲しくなります。
そんな理不尽な暗い状況を描いているのですが、大真面目なゆえに逆に愉快なシーンが背景設定の暗さを和らげる灯火となり、映画の雰囲気を穏やかなものにしています。
独房の模様替えを眺めているだけでなんだか幸福感に満たされました。
アルメニアを舞台にした映画を初めて観ましたが、エキゾチックな異国情緒が興味深かったです。
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