劇場公開日 2025年7月4日

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「個々気になる点はあるが、隣国の事情は日本にも活かされている」消防士 2001年、闘いの真実 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 個々気になる点はあるが、隣国の事情は日本にも活かされている

2025年7月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年156本目(合計1,697本目/今月(2025年7月度)5本目)。

 一応、「もとにしたフィクションです」という断り書きはでますが、大筋において実話であり(固有名詞が変わったり、一部の省略があるなど。後述)、この意味でドキュメンタリー映画の意味合いも持ちます。

 映画内で主にカットされている事情として、当時(2001年)は日本が就職氷河期であったのと同じように韓国も経済的に厳しい状況で、映画の最初のほうに描かれているようなヤケになって放火するような事件は後を絶たず(これは究極論としては社会経済、政治の話になる)、それに付随して消防士の方々が色々巻き込まれた、という事情は存在します。

 また、韓国でこのような事件がいくつも起きたため(いくつかの事件は完全にカットされている)、特に地下鉄(韓国にも地下鉄はあります)での放火事件のときには、座席等の繊維の燃え移りが激しく被害が広がったということが後から明らかになり、日本はこの事件をもとに各地にある地下鉄(市営民営問わず)の類に基準改正がされるようになるなど、本事件(の一連のもので、映画には描かれていない部分)が日本に与えた部分はかなりの部分があり、ただ単にどちらが早かったか遅かったかということに過ぎません。

 そうしてみた場合、本映画はある程度フィクションですと断っていても、日本における消防行政がいかにして変化をとげたかという点について、実は「韓国の色々な事件を参考に法改正・基準改正がされている」ことは紛れもない事実であって、こうした点には触れられていないものの、日本においてこの映画を見ることの意味はそこにあるのだろう、というところです。

 採点上特に気になる点はありませんのでフルスコアにしていますが、やや文字(字幕)が小さいので、眼鏡をかけているなど視力が弱い方は前のほうの席推奨です(ドキュメンタリー映画なので、ややひやっとするシーンはありますが、火災シーンが大半ですので、怖がるようなことにはなりません)。

yukispica