消防士 2001年、闘いの真実のレビュー・感想・評価
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実際の事故に基づいた作品
エンドロールで2020年に消防士が国家公務員になったと知った。
装備品もお粗末ながら、自らの命を賭して人を助けるのに公務員ですらなかったとは。
それだけでも腹立たしい。
この火災事件をきっかけに消防士の処遇が見直されたとしても、モヤモヤが残る。
実話に基づいた作品は考えさせられることが多い。
軍手、って…
【今作は実話を基にした作品である。韓国消防士たちが、危険な任務故家族を想い煩悶しつつも、劣悪な装備で懸命に人命救助に当たる尊崇なる姿に不覚にも涙が込み上げた作品。】
■新人消防士チョルン(チュウォン)は、韓国ソウル市の消防署に配属される。最初は厳しい現場での作業にも慣れず、戸惑うがジンソブ班長(クァク・ドウォン)ら、心優しき上司、同僚たちの元で成長していく。
だが、ある日3階建てアパートで火災が発生し、撤収命令が出る中ジンソブ班長達は、残された人を救出するために、バックファイアーが起こる中果敢に炎に飛び込み、子供を救うが、その際にチョルンが消防士になるきっかけとなったヨンテが殉死してしまう。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作が沁みるのは、登場する消防士達には家族や、恋人がおり、主要人物キャラが抱える心的疲労や家族の煩悶がキチンと描かれている所であろう。
・ジンソブ班長は、定年まで10年なのに、常に最前線で行動し、議員にも劣悪な消防士の服や手袋の改善を申し出る一方で、チキン屋を開業する夢を持つ妻を安心させたいという想いも持っている。
・キチョル(イ・ジョニュク)は恋人が妊娠し、幸せいっぱいだが実は円形脱毛症になっているシーンなど、チョルンだけではなく、皆がヨンテの殉死の心を痛めているのである。
■そして、彼らの行きつけの食堂の無職のバカ息子が、保険金欲しさに自分の家に火を放った事で、彼らは現地に駆け付けるのである。違法駐車している車を、ガンガンぶつけてどかしながら・・。
彼らはそのバカ息子が、中にいると思い、救出作業を進めるがその時に、食堂が入っているビルが崩壊してしまうのである・・。
<ビルの瓦礫に埋まったジンソブ班長を演じた韓国の名優クァク・ドウォンが妻に”済まない…。”と詫びるシーンや、ラストの6名のチョルンが涙を堪えて司会する殉死者の合同慰霊祭のシーンは涙が零れそうになってしまった・・。
今作は、韓国消防士たちが、危険な任務故家族を想い煩悶しつつも、劣悪な装備で懸命に人命救助に当たる尊崇なる姿に不覚にも涙が込み上げた作品である。
いいんだけど、相当なモヤモヤも残る
業務が命がけだから、消防士を扱った映画は熱いものが多い。本作は、韓国で実際にあった火災事故を題材にした映画。20年以上前の設定だということを考慮しても、韓国の消防士の置かれている状況が少し異質に感じてしまう。消火と救助が分業されていたり、手袋が軍手だったり、装備を自腹で購入したり、そもそも公務員でなかったり。しかも消火活動を行うには道が狭すぎる。さらにあれだけ違法駐車されていたら消防車がなかなか現場にたどり着けないよな。そんな環境でもくさったりせず、命をかけて火災現場から救助しようとする消防士の使命感はすごいと感じた。隊員同士の関係性も相当に深い。命を懸けて任務に挑む仲間って絆が強くなるんだろうなとは思うが、あの兄弟のような関係は韓国独自の特性もあるような気がする。ただ、初出動の隊員へのお粗末な指導とか、英雄的だが自分勝手な行動とかが鼻についたのも正直な感想だ。
後半、問題の火災事故に出動する彼らの行動が、明確な時刻とともに描かれていく。なかなかの緊迫感だし、炎の描写もそこそこ迫力がある。ただ、結末がなんともやるせない。あの亡くなった消防士たちは、あの親子に殺されたようなものだ。消防士の使命感と優しさに依存したあの依頼はどうかと思う。いや、あの状況で再度救助に向かう彼らの神経のネジがぶっ飛んでいるだけかもしれない。元々スッキリする終わり方ではないが、余計にモヤモヤしてしまった。このあたりはフィクションであってほしい。
あの親子への妙な怒りがあって、素直に感動できないでいたが、それでも最後は少し感動してしまった。自分はちょろい人間だなと思う。
見る前からおおよその推測はできちゃうんだけど、 ドラマ的な要素と時...
見る前からおおよその推測はできちゃうんだけど、
ドラマ的な要素と時事的問題を重ねられると、
やっぱりぐっときてしまう
『あの頃の幸せだった時間的』な懐古シーンから、
一気にどん底に突き落とすのがうまい
それにしてもこんな、
命かけるような仕事が公務員じゃなかったのってびっくりでした
個々気になる点はあるが、隣国の事情は日本にも活かされている
今年156本目(合計1,697本目/今月(2025年7月度)5本目)。
一応、「もとにしたフィクションです」という断り書きはでますが、大筋において実話であり(固有名詞が変わったり、一部の省略があるなど。後述)、この意味でドキュメンタリー映画の意味合いも持ちます。
映画内で主にカットされている事情として、当時(2001年)は日本が就職氷河期であったのと同じように韓国も経済的に厳しい状況で、映画の最初のほうに描かれているようなヤケになって放火するような事件は後を絶たず(これは究極論としては社会経済、政治の話になる)、それに付随して消防士の方々が色々巻き込まれた、という事情は存在します。
また、韓国でこのような事件がいくつも起きたため(いくつかの事件は完全にカットされている)、特に地下鉄(韓国にも地下鉄はあります)での放火事件のときには、座席等の繊維の燃え移りが激しく被害が広がったということが後から明らかになり、日本はこの事件をもとに各地にある地下鉄(市営民営問わず)の類に基準改正がされるようになるなど、本事件(の一連のもので、映画には描かれていない部分)が日本に与えた部分はかなりの部分があり、ただ単にどちらが早かったか遅かったかということに過ぎません。
そうしてみた場合、本映画はある程度フィクションですと断っていても、日本における消防行政がいかにして変化をとげたかという点について、実は「韓国の色々な事件を参考に法改正・基準改正がされている」ことは紛れもない事実であって、こうした点には触れられていないものの、日本においてこの映画を見ることの意味はそこにあるのだろう、というところです。
採点上特に気になる点はありませんのでフルスコアにしていますが、やや文字(字幕)が小さいので、眼鏡をかけているなど視力が弱い方は前のほうの席推奨です(ドキュメンタリー映画なので、ややひやっとするシーンはありますが、火災シーンが大半ですので、怖がるようなことにはなりません)。
この映画が作られる社会問題というものが韓国にあるとしたら、それは一体何だったんだろうか
2025.7.8 字幕 イオンシネマ京都桂川
2024年の韓国映画(106分、G)
2001年3月4日に実際に起きた弘済洞ビル火災事件をベースに作られた社会派ヒューマンドラマ
監督はクァク・キョンテク
脚本はクァク・キョンテク&キム・ヨンデ&チェ・クァンヨン
原題は『소방관』、英題は『The Firefighters』で、ともに「消防士」と言う意味
物語の舞台は、2001年の韓国ソウル市西部地域
西部消防に配属されたばかりの新人チョルン(チュウォン)は、いきなり事故現場に放り込まれるものの、何もできないまま終わってしまった
彼の所属するチームは、カン隊長(ユ・ジェミョン)を筆頭に、隊長と同期のチョン・ジンソプ班長(クァク・ドウォン)、チョルンを引き入れた先輩のヨンテ(キム・ミンジェ)、ムードメーカーのヒョジョン(オ・デファン)たちがいた
さらに、ヒョジョンの妹ヒョミン(ソ・ミンジェ)と婚約しているキチョル(イ・ジュンヒョク)、犬好きのヒョンス(ファン・ソンジュン)に加えて、救命士のソヒ(イ・ユヨン)たちが危険な現場を顧みずに戦っていた
ある日のこと、ビルの救助に向かった彼らは、崩落寸前の現場の中、懸命な救助活動を行なった
その中で一人の女性(チョン・ヒョギョン)を救うことになったが、彼女の部屋に娘(チョン・ソウ)の写真を見つけたジンソプは、隊長の命令に背いて捜索を続けてしまう
娘を見つけて助け出したものの、ヨンテは建物の崩落に巻き込まれ、救出作業も間に合わないまま、帰らぬ人となってしまった
チョルンは職務できる状態ではなく休職を余儀なくされ、彼はその間に昇進試験の勉強を始める
指揮命令系統が機能していないことに憂慮を覚え、安全な活動を信条としていたが、それは直感で動くジンソプとは真逆の考え方だった
映画は、実在の事件をベースにしていて、モデルがいるのはチョルン、ヒョジョン、キチョル、ヒョンスとなっている
チョルンが最後に読み上げたのはヒョジョンの残した詩であり、キチョルは劇中で助かっているが、実際には亡くなっていた
チョルンのモデルとなったイ・ソンチョンは現在は消防本部の中級幹部となっていて、今でも火災現場に送る人員を指導しているそうだ
実際の事件では、家主の息子が泥酔して帰宅し、家主である母親と口論になった末に、自室に閉じこもって生活情報誌に火をつけた、とされている
その後、火の回りに驚いた息子は逃げ出し、叔父の家に隠れていた
母親は息子が逃げ出したことを知らず、一次捜索を終えた消防隊に対して、息子を探さないのかと抗議を行なったと言う
そこで、10名の消防士が中に入り、そこで建物の崩落が起きてしまった
3人は救助され、6人は意識不明の状態で発見され、そのまま帰らぬ人となっている
その後も要救助者の捜索は行われたが、捜索対象者が早々に逃げていたことが報じられ、ようやく捜索は終了した、とされている
この一連の事件をベースにして、当時の脆弱な消火現場を切々と訴えていて、この事件の前後で大きな転機が起こったと言う
それでも、消防の改革には時間を要していて、劇中のテロップでは20年ほど掛かっているとされていた
その背景に何があったのかはわからないが、記者(ミン・ジョンギ)が嗅ぎ回っていた、慰労金流用などの汚職が関係していたかのような引用がなされていた
装備品を自腹で購入していたと言うのも事実ベースで、嘘のような本当の話がたくさん描かれている
防火服ではなく防水服と言うことだが、これはいわゆる丈夫なカッパのようなもので、そう言った装備への投資というものも遅れていたとされている
映画は、ジンソプと隊長を架空の人物としていて、おそらくはパク・ドンギュ消防長をモデルにしているのだと思う
彼にドラマ性を持たせ、主人公との絡みを濃くする狙いがあり、消防士たる信念の激突というものを描いていた
安全優先では助けられないジレンマと、直感的だけでは犠牲を生むというメッセージが描かれていて、どちらかが正しいというものではない
おそらくは、多くの現場でこのようなジレンマがあり、完璧なものなどないと思う
最終的には現場の判断に委ねられると思うが、「First In、Last Out(最初に入って、最後に出る)」という消防士を象徴するスローガンが生まれるように、過酷な現場で闘う人々には尊敬以外の言葉が見つからない
違法駐車問題から、保険金目当ての放火に至るまで、様々な社会問題が描かれていたが、インパクトがあったのは違法駐車の方だろうか
さすがに押しのけて通るというのは今でもアウトだと思うが、危機意識の欠如が生む常態化した悪癖というものは、改善されるべきだと感じた
いずれにせよ、実話ベースのドラマには「現在進行形の社会問題提起」というものがあると思うので、そう言った何かが韓国内であるのだと思う
それに関しては現地の人しかわからないものがあると思うのだが、日本をはじめとした諸外国が他国の映画を観る場合とは視点も違うと思う
本作から伝わるものは、社会全体の協力体制によってしか救えるものも救えないということで、行きすぎた個人主義云々の前に、違法とされているものを撲滅するところから始めないといけないのだろう
自身の行動を棚上げして権利を主張する人間ばかりだと、いずれは自分自身に帰ってくるのではないか、と感じた
元の事件を調べて驚いた
ソウル市の西部消防署に配属された新人消防士チョルンは、初出勤の日、火災現場で訓練とは異なる状況に戸惑い、隊員たちの足を引っ張ってしまった。落ち込むチョルンだったが、厳しくも優しい先輩隊員たちにより、日々の訓練を重ね成長していった。2001年3月4日未明、アパートで火災が発生し、チョルンたちは現場へと向かった。しかしまたたく間に広がり、懸命な消火活動も追いつかず建物は崩壊寸前に陥り、隊長から撤収命令が下された。しかし、救助者から、息子が中にいる、との訴えにより、再度火の中に飛び込み・・・さてどうなる、という実話に基づく話。
韓国で起きた弘済洞火災惨事事件の実話を基にした作品とのこと。
消防士6名の犠牲者が出たらしいが、実際にはそれだけじゃなく住民10名も亡くなられた様だ。
まるで婆さんの息子を助けようとして6名が無駄死にした様な作品になっているが、一般住民10名が亡くなったのなら話が違う。こんな消防士に都合の良い様な演出にしたらダメでしょ。
確かに火の中に入る人の手袋が軍手とは、と装備や待遇改善のきっかけになった事件なんだろうけど。
いつも韓国映画観て思うけど、ホント自分たちに都合よく改変し歴史を誤解させる様なものを平気で作るな、って呆れる。もっと史実に忠実に作らないと、世界中から嘘つきの国、って思われるよ。
多少の演出は良いけど、これは明らかなミスリードとしか思えない。
ファイアファイターはつらいよ
感情優先猪突猛進
2001年3月4日に発生した「弘済洞火災」を題材にした消防士たちを描いたフィクション。
自宅に灯油をまくかまってちゃんとや事故現場でビビって余計なことしかしない新人に始まって、ソウル市の西部消防署に勤務する消防士たちをみせていく。
2000年代でそんな装備?とか直感優先とか、そういう現場で働いていない自分からしたら大丈夫?なお隣さんの消防士事情にびっくり。
どこまで事実かわからないけれど、アパート火災の行はまだしも、雑居ビルの行はホントにそんな判断で?
亡くなられた方には申し訳ないけれど、こんなの指揮系統がどうとかの問題じゃなく、規範意識や安全意識の低さとか、遵法精神の低さとか、そんな根本のところの問題じゃないか?と思えてしまったし、それまでの流れから傲慢さも感じてしまって素直には感動出来なかった。
命を賭けた闘い
2001年に実際に起きた火災事件を基にした消防士たちの話です。
火が燃え上がる中で人命救助をするのに装備が不十分であったり、狭い路地に車がずらっと並んでいて大事な時に消防車が通れなかったり…映画を見る限り、以前の韓国の消防事情は劣悪だった様子。
それでも消防士たちが命を賭けて人命救助する意味や思いに、グッときました。
新人消防士である主人公のチョルンは態度も発言もだいぶお子ちゃまでしたが、自分のやるべき事を理解して次第に成長していく姿は良かったです。何よりもクライマックスで停車してあった車にぶつかりながら運転したシーンはスカッとしました。
その後法改正があり消防士が公務員になったとの事で、環境は前よりも改善されたそうです。ご飯を食べるシーンも沢山ありほっこりしました。
人を救って生きる資格
ショーン・ペンの「アスファルト・シティ」を観たばかりだったので、実話ベースにしても韓国映画らしい、ホームドラマみたいに仲良しな消防士さんたちだなぁと思って観ていたら、こういう終わり方なんだ。
残された人たちの描写もさらっとしていて、一昔前の韓国映画や予告の東京MERみたいに泣かせにこないから、かえって胸を打たれる。
実際にこの火災事故がきっかけで、消防士の装備や環境が見直され良くなった(公務員になったのは20年後)らしいが、それまでが酷すぎ。
班長さんをはじめ隊員さんたちがヒーロー然としてなく、普通のおじさんたち(キャストが地味だけど良い)なのもよかった。人命救助に命をかける消防士さんたちを讃える作品として、エンディングの歌とともに、派手さはないけれど、とても心に響く映画でした。
フロントライン 医療従事者
アスファルト・シティ 救急救命士
そして今作、まさに消防士
の方々へ感謝。
ディザスター映画でなく、人間ドラマとして非常に優れた出来栄えだ
本作の上映前には「劇場版TOKYO MER」の予告編がながれていたし、数カ月前には香港映画「カウントダウン」という作品もあった。
日本、香港、韓国のアジア救命救助映画がそろい踏みするわけで、日本版は予告を見る限り心配が増すばかりだが、香港版「カウントダウン」はかなりの傑作で香港映画らしくサービスてんこ盛りの力技で泣かせてくるお勧め映画でした。
対して韓国版の本作は、じっくり日常描写やキャラクターの掘り下げをしっかりやり、そこに火災や救命のスリリングな場面をはめ込んでいく、実に脚本の良く出来た作品に仕上がっている。
過度にヒロイックにならず、悩み、躊躇し、苦しみ、怖がる、そんな正直な感情を描いた韓国映画らししい人間味溢れる映画だ。
「カウントダウン」は香港映画らしく、本作「消防士」は韓国映画らしく、実に楽しませ泣かせてもらったので、日本の「TOKYO MER」は果たしてどうなる?
怒り
これを観たら火事の恐ろしさと消防隊に迷惑かけちゃ駄目って改めて思い知る。
やっとの公務員かー。加えて給与増やすべき。
命張ってるんだから。
優しいばあちゃん。。。
でもあんたの息子は生きる資格のないバカ息子だよ。
あの時あんたの勘違いで息子を助けてなんて言うから、何人の犠牲者を生んだ?
ばあちゃん、、、
あんたは最高に優しい大事な婆ちゃんだけど、あんな息子に育てて、さらにかばい、あの時迷惑ん考えたらあんな事言っちゃ駄目だよ。切り捨ててよ。
それが親ってもんだよね。
それでも腹が立つよ。
可哀想より怒りがたつ。
映画としてはもう少しエンタメに寄ってくれても良かったと思う
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