「今村昌平の遺したもの」でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男 giantstepsさんの映画レビュー(感想・評価)
今村昌平の遺したもの
ふたつの人間像をみごとに演じ切る綾野剛を堪能できる映画。「日本で一番悪い奴ら」で、覚醒剤を注入し、寄り目になってラリってくる演技に匹敵する名演。かつて、テレビドラマ「ハゲタカ」の鷲津役でアレッ(下手)と思ったことがあったが、あれは演出指導が悪かったのだと改めて確信しました。
ただ、劇中の裁判の過程では、モンスター夫婦(家族)の真実は明かされず、そのモヤモヤ感も伝えたいという映画の趣旨はよくわかりましたが、個人的に消化不良感は否めなかった。家庭内にDVはあったのか、子供を庇うために仕組んだのか、それとも金目当てなのか?500人の弁護団ってどの位金がかかるのか?
なにより、夫(迫田孝也)は、どこまで妻(柴咲コウ)のことを知っていて帯同しているのかがモヤモヤの極みだった。
それと、あのメガネの子をイジメていたくそ餓鬼に天罰が下ることを望んでしまった。
主人公の家族である妻と息子は、出来過ぎな程理想的だった。
監督は、三池崇史。
三池氏に加え「国宝」の李相日監督、脚本家の湊岳彦(「ぼくが生きてる、ふたつの世界」等)、野木亜紀子(「アンナチュラル」「ラストマイル」等)など、現在(いま)の日本映画界・ドラマ界を席捲する方々が、揃って横浜放送映画専門学校・日本映画学校(現在の日本映画大学)の卒業生であることに驚きを隠せない。
この学校の創設者である今村昌平は、映画監督・ドキュメンタリー作家として日本を代表する巨匠であり、数々の傑作を世に送り出しているが(自分の好きな作品 : 豚と軍監、果てしなき欲望、赤い殺意、神々の深き欲望、復讐するは我にあり、黒い雨など)、一方で後進の育成にも尽力している。
三池監督は、「ホイチョイ的映画生活」(馬場康夫監督)のインタビューで、学校にはほとんど行かず、校内の映画館での名画上映会と講演(何と邦画は佐藤忠男、洋画は淀川長治氏が講演者)には行っていたとのことで、それでも卒業され、後に縁あって「女衒」と「黒い雨」で今村組に付いたことがあるという。
一方、李監督は、在学時から仲間を集め卒業製作作品の「青〜chong〜」で、ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを含む史上初の4部門独占を果たし注目を集めている。
今村昌平の遺したものは、途轍もなく大きい