キムズビデオのレビュー・感想・評価
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キムズビデオ、その運命より魅力が観たかった
オープニング、街ゆく人々へのインタビューや元店員たちの証言。
その誰かが言っていた、変な映画で学ぶ秘密基地の様な存在。
時代の流れで消えていったレンタルビデオというカルチャー、その究極といった魅力を郷愁とともに感じたかった。
ただ映画はその運命を辿る外側が中心で、本当に見たかった内側への切り込みが物足りなさ過ぎた。
うっひょー、山のようなVHSビデオwww やっぱ物理の力よw ミニ...
刺さる人には刺さる それでいいでしょう
面白かった。編集もテキパキとしていて。ニューヨークにある伝説的なレンタルビデオショップ。その店舗内の映像が出てきた時、東京にも似たようなところがあったな、といろいろ思い出す。VHSテープはそれだけでも青春だ。モンタージュされて出てくる見たことも聞いたこともない映画のリスト、映画ってほんとうに世界中に転がってる見果てることのない人たちの残した夢の産物(残骸)なんだな、と思った。
そしてこの懐かしいレンタルビデオ屋は当然なくなってるのだけど、そのビデオを残そうという動きがあって、それが一度着地する。しかもイタリアのあのゴッドファーザーの地元シチリアのサレーミに保管されるという。そんな都合のいい話があるのかと思ってそこを追跡してみると、、ということなのだけど、そこはイタリア人らしいアバウトさで放置され、見るに見かねてそれを奪還しようというシネフィルならぬビデフィルたちの冒険。キム社長もうさんくさいが金持ちはだいたいうさんくさい。この辺の適当な資本家側とマニアックな現場の人たちの差は世界中どこでも同じ。自分たちの行動をだいたい映画作品になぞらえてしまうのもシネフィル的で微笑ましい。うらやましいのはそれらの映像をドーンとはめ込めているところ。せっかくなので引用されている映画の作品名も翻訳したらいいのに。ラストの奪還作戦に出てくるイタリアの仮面文化にあわせて、伝説の映画人たちのお面も微笑ましい。なんかホドロフスキーのリアリティのダンスを思い出した。
よくよく考えたら映画好きでもなければVHSなんかもゴミでしかなく、このドキュメンタリーもシネフィルでなければなんでもない話なのだけど、そこからみたら「たまらないもの」なんだよな。映画館に置かれてた80年代の洋画のVHSテープの箱を見て、もう二度とショップでパッケージの背表紙を見ながらまだ見ぬ映画を持って帰るかどうするか想像する時間はやってこないんだな、と、かつてそれに費やした時間を思った。そのほとんどが自分の青春だった。
タイトルなし
この作品に全力を捧げた愛すべき変態たちが報われる、そんな世の中であって欲しいと感じる。
驚愕のビデオ里帰り計画
かつてニューヨークにあった伝説のレンタルビデオショップ「キムズビデオ」を巡るドキュメンタリーでした。名作・珍作・海賊版を織り交ぜて5万5千本ものビデオを所蔵し、25万人の会員を抱えていた「キムズビデオ」でしたが、時代の流れには抗えず2008年に閉店。本作は、その膨大なコレクションが何処へ行ったのかを探すお話でした。
調べていくとイタリア・シチリア島に移設されていたことが分かり現地に飛ぶと、ビデオは現存したものの保管状態は劣悪。しかも一般に公開されることを条件に移管されたはずが、地元の政治も絡んで非公開の状態になっていることが分かりました。そのため監督はこれをニューヨークに里帰りさせることを思いつき、計画を実行するのでした。
そして本作の肝は全編に渡って挿入される数々の名作。流れに沿いつつ随所に過去作品が使われていて、この編集だけでも一見の価値がありました。
ただビデオをニューヨークに里帰りさせる方法は、映画撮影を装ったとは言え泥棒まがい。チラシには「この物語はフィクションではありません」と明記されているので、これを信ずるならば、よくまあ国際問題になることもなく丸く収めたものだと驚きました。というか、あまりにリアリティが欠如していて、モキュメンタリーを疑いたくなるほど劇的な流れではありました。
そんな訳で、本作の評価は★4.0とします。
素晴らしい情熱。映画としては並。
よい内容だが思い込みが過剰なのが残念。
上映が近場なら見てもいい。高い交通費をかけてみる映画ではないかと…。
撮影者らしきデイビッド氏の心情を、過去の名作を引用して代弁するモノローグが多用される。それがどうもクドくてテンポが悪い。
よい点として後半の奪回作戦の手前までドキュメンタリーとしておもしろい。追跡捜査のようなノリ。そこまではとてもいい。そこまでは…。
個人的に気になる点が2つある。
1つは、数年前に日本でも絵画窃盗でニュースになった『スガルビー氏』をこの映画内では誤植の『"ズカ"ルビ』と表記している。関係者は誰も気にしていないのか。
2つめは、現代のイタリア・サレーミの人たちの扱いがひどい。まるで無責任で能天気な自覚のない悪役のように見える。映画内で描かれなかった部分には多大な協力と苦労があった筈。
もし日本の自治体だったなら、ビデオのようなサブカルはとっくに処分されていただろうし、最初から許可なしで撮影をしているのも問題。放置責任は過去の『ズカルビ』市長にある。事情を把握していない現代のサレーミの人たちにとって、不法進入と窃盗をする撮影者は狂信者にしか見えなかったと思う。もっと中立な目線が欲しかった。
創作入り混じり
他人事ではない
大量のビデオカセット(β、VHS)、レーザーディスク、DVD、HD-DVD、Blu-rayを保有し、ハイビジョンLDとHD-DVD以外は、まだ再生可能という環境を持つ立場とすると、他人ごとではない映画です。
テレビの映画番組を録画したテープの中には、例えば渡辺徹・大場久美子吹き替えの「スターウォーズ」や、レーザーディスクだと、MGMのライオンが出てくる「ニュー・シネマパラダイス」、ヒッチコック本人が自身の特徴ある演出について語るテレビ番組等、やはり現状ではBlu-rayも配信もないものが多数あります。ボチボチ個人的にデータ化はしていますが、何かのキッカケでデータが消えてしまったら、ということも考えてしまいます。
映画は元々映画館で見終わった後、それをコレクションするなんていうものではなかったのに、ビデオカセットやレーザーディスクによって、物理的に保有することができるようになったのが、私のような、またこの映画の監督のような、不幸な人を生み出してしまったのでしょう。
この映画は、フィクションなのか、ノンフィクションなのかと混乱するところがありますが、それは正直に全部見せたら、あまりにも真面目過ぎてつまらないからのようです。見せても面白くない部分は割愛して、面白い部分だけを面白く見せてくれているらしいです。
情報量が多いし、変なところも多いので、1回だけでは把握しづらい感じのためか、映画館では映画本編のVHSが本数限定で売っています。まだ再生できる人は、買って家で見直すのがいいかも知れません。私は買いました。
我が家のコレクションも、キムズビデオ向きのものが多いのではないかと思います。キムズビデオで引き取ってもらえないでしょうかね?
【”ドキュメンタリー”『キムズビデオ』、最高に楽しめた】
1980年代後半から2000年初頭までニューヨークでカルト的な人気を博していたビデオレンタル店”キムズビデオ”があったそうな。
ゴダールから無名監督の作品まで、あるいはアート系からポルノまで、世界中から5万本以上のインディーズな作品ばかりを集めた一大コレクション。しかもかなりの数の海賊版が含まれ、FBIが家宅捜査に入って押収したこともあるという。
経営者は、朝鮮戦争後に渡米・移民した韓国系のキム・ヨンマン。露天の野菜行商からスタートしてクリーニング店経営を軌道に乗せ、やがてその店内で怪しいビデオレンタル商売を始めた。
しかしご想像の通り、ネット配信の普及とともにテープやDVDと言った物理メディアのレンタル市場は急速にシュリンクし、キムズビデオは閉業を余儀なくされ、キムはその膨大なコレクションを一括して引き取って管理してくれる主体を公募する…。
後年、かつてのレンタル会員で今や映画監督となったデヴィッドは、一時は連絡が取れなかったキムを苦労して見つけ出し、コレクションの行方を突き止めた。
名乗りを上げたのは、イタリアはシチリア島の小さな村サレーミだった。文化保護に熱心な市長(厳密には村長だろうが「市長」と訳されていた)が村興しのために受け入れを表明、コレクションを収蔵する資料館を作る企画だ。開館の暁には、かつてのキムズビデオ会員が訪れれば無料貸し出しを保証し、選定した作品をパブリックビューイングで楽しめる映画祭を開催するというオファーだったのだ。
そしてデヴィッドはサレーミへ旅立ち、”ビデオ資料館”を訪れてみたが・・・。
コレクションは10年以上も劣悪な保管状態で放置され、訪れる人もなく、もちろん映画祭など開かれてもいない。万事、当時の市長が政界返り咲きのために話題性のあるネタとして利用しただけであり、しかもマフィアと繋がりが噂される有力者に管理を任せて村の予算を流し込んでいるらしい、ということが見えてきた。
デヴィッドはその前市長、現市長、有力者、マフィア撲滅委員会などに突撃取材を何度も試みるが、市長からははぐらかされ、やんわりと脅迫紛いのことまでされる。
悲憤慷慨したデヴィッドは、ついに仲間とともにサレーミ村の仮装カーニバルの夜に資料館のコレクションを奪還するという暴挙を決意する。
「資料館を舞台にした映画撮影」との名目で市長から許可を取り、ヒッチコックやチャプリン、ゴダールなどの仮面をつけて顔バレしないようにして保管庫を破り、トラック1台に詰めるだけ詰め込んで、夜陰に乗じて密かにコレクションをニューヨークに送り出してしまった。
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・・・とここまで観て、その映画マニアたちの痛快な暴挙を大いに楽しみながら、よくぞこれで本当にマフィアに消されなかったな、と思いつつ、途中から「・・・ん?・・・おかしいぞ」と思い始めた。
最初の訪問でシチリア方言しかわからない村民とのコミュニケーションに苦労しながら探していくあたり、手持ちカメラの映像も含めて真に迫っていてすべてがドキュメンタリー”タッチ”だが、「コレクションを奪った翌朝の空っぽになった保管庫」の光景が映るのを奇異に思う。
なんで? 夜のうちに運び出して逃げたはずでは? のんびり朝の保管庫を撮影している場合ではないでしょう・・・?
これ、帰宅後に調べてみると、キム・ヨンマンもキムズビデオもサレーミ村も実在し、市長が受け入れを表明したがサレーミではないどこか(誰か)が引き取ったことまでは事実らしい。
が、結局コレクションの存在は未だに不明。
もちろん、サレーミに乗り込んでビデオを奪還する話はフィクションで、前市長、現市長、マフィア疑いの有力者もフィクション。
村の闇を暴こうとして消された?マフィア撲滅委員会長の件もフィクション。
あー危うく騙されるところだった(笑)。
しかし、実に楽しいウソだった。
それだけドキュメンタリー”タッチ”の作り方が上手い。映像技術や演出という意味でもあるけれど、ギリギリ「ありそうでもあり、なさそうでもある」ウソを巧妙に組み立てているところが二重に「映画的な虚構」があっておもしろい。
同時に、制作者たちの映画への偏愛が溢れ出ている。
思えば、こうして「映画への愛を表現する映画」というのはどれだけあるだろう。
今までに観ただけでも『ニュー・シネマ・パラダイス』『アイ・ライク・ムービーズ』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『フェイブルマンズ』がそうだな。
他にある?とGoogleGeminiに訊いてみたら、『エド・ウッド』(1994年、ティム・バートン監督)、『グッバイ・レーニン!』(2003年、ヴォルフガング・ベッカー監督)『ヒューゴの不思議な発明』(2011年、マーティン・スコセッシ監督)を挙げてきた。
いつか観てみたい。
映画の神と恋愛
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