映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!のレビュー・感想・評価
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タイトルがネタのように見えるがとても大切なこと。
今年153本目(合計1,694本目/今月(2025年7月度)2本目)。
原作ありの映画なので仕方がないないなという部分はありますが、パンツうんぬんは論点になっておらず(一応、一度は出てくる)、ここ最近、令和元年くらいから取り上げられるようになった人権意識、人権上の差別問題をコメディ的に扱った映画です(明確に「ここで笑って」という部分は少ないですが)。
原作がおそらくそうであるように、LGBTQの問題を主に扱っていますが、ほかに「男性、女性の仕事の在り方」や「いわゆる、パワハラ・モラハラ」等、ここ最近特に聞くようになった事項について、こういう問題があるよというように扱った映画というのはやはり良いのでは、といったところです。
どうしてもタイトルが原作タイトルに沿う必要があるため、今週は特に本命枠が多く、ネタ映画か?と思われてしまうとちょっともったいないな、という印象です。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.2/いわゆる退職代行について)
このこと(最近、何かと話題になる)も取り上げられるところ、一般的に退職代行は紛争性を帯びることになるので、弁護士以外が行うと弁護士法に触れうる(当然、行政書士、司法書士はもちろん、社労士でもアウト)ところ、実際問題として、解雇の意思表示自体はそれによって左右されず(行政法規の違反の有無は、個人の契約には何ら関係しない、というのが最高裁判例)、特に会社のやめるやめないは、民法上は2週間前で成立します(債権各論に「雇用」というカテゴリがあり、実はそこで規定されている。労働基準法には「従業員から辞める場合」には規定がない)ので(会社の就業規則でそれより長く規定していても、法体系上は民法のほうが上で、退職するしないでモメている時に、2週間か1か月かでモメることに実のある議論がない(=1か月から2週間を引いた、2週間は「暦計算」なので、土日も含まれるので、実質10日ほどしかない。裁判を起こすのも10日では不可能))、このことは表立って問題になることはない(あまりにも無茶苦茶な退職代行であればともかく、実際にそれらを訴えたところで、「人が辞める辞めない」は、その人にとっては職業選択の自由論という憲法論になるので、このことを問題にした「解雇無効」ではなく「退職無効」を争った裁判自体が見当たらない)ものの、何らかの配慮は欲しかったところです。
(減点0.2/心裡留保について)
心裡留保は、善意無過失の相手方には対抗できません(93)。
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シリアスなのにどこかくすっと笑える、元気をもらえる作品でした
今の時代にピッタリの映画
『おっさんずラブ』ほど現実離れした話ではなかった
テレビドラマは観てなくて、「パンツ」が絡む家族物語であることから、性教育にも関わる筋書きを想定したが、セクシュアルマイノリティやジェンダーに関わる内容であるものの、『おっさんずラブ』ほど現実離れした話ではなかった。若い男性俳優の区別がなかなかつかず、主人公との愛憎が分かれていて、戸惑った。息子の学校関係の話も、明るいばかりで、そうそう良いことばかりなのだろうかとも疑問に感じた。野球を続けられなかった女性が少し痛ましい。漫画家志望の娘との関係性も、痛々しいが、仲良く終われて良かった。「九州水族館」というのは、観覧車やバス停から、鹿児島のようでもあり、福岡のようでもあった。
性別も世代も考え方が違っても大切なこと
本作は、同名コミックが原作で、2024年に放送されたテレビドラマの劇場版です。原作未読ですが、ドラマは現代に生きづらさを感じるさまざまな世代に寄り添う良作だったので、本作もちょっと興味があり、公開2日目に鑑賞してきました。夕方の上映回だったのですが、なんと観客は自分だけ!大スクリーンを独り占めというのは本当に気持ちがよく、勢い評価もちょっとだけ甘くなってしまいます。
ストーリーは、昭和の価値観で会社でも家庭でも周囲に自分の考えを押し付けてきたものの、ゲイの大学生・大地との出会いを機に自分をアップデートすることができた沖田誠が、かつて自分のパワハラが原因で退職した元部下・佐藤が取引相手として現れたことで、改めて佐藤と向き合っていく姿を描くとともに、「好き」に向かって真っ直ぐに歩み始めた誠の家族や大地のその後の姿を描くというもの。
そんなに難しい話ではないので、テレビドラマ未視聴でも本作のストーリーは十分に理解できると思います。しかし、ドラマのその後を描く作品なので、登場人物の背景を知らないと、作中で一喜一憂する姿に共感しづらく、本作を十分に楽しめないかもしれません。
それでも、「好き」を貫く大切さと難しさを通して、今の時代に生きづらさを感じている人の存在、その一方で、みんなが生きやすい世の中にするためのルールや新常識に適応することの必要性が、しっかりと伝わってきます。世代も性別も考え方も違っても、互いを理解しようと歩み寄ることが大切だと自然に思えてきます。説教くさくなく、ありふれた日常を通して描くことで、それぞれがそれぞれの立場で悩み苦しんでいることが伝わり、誰の心にも優しく沁みるのではないかと思います。
常識も価値観も時代とともに大きく変化するのですから、その時々にそれを受け入れ、自分の働き方や生き方をアップデートしなければいけないのは当然のことです。その昔、自分も不用意な言動で周囲の人を傷つけた記憶があり、今となっては謝罪の機会ももてず、後悔だけが残っています。せめてこれからは、もっと相手の気持ちに寄り添えるように努めたいと思います。長い時間をかけて培われた自分の考えを変えるのはなかなか大変なことですが、精進していこうと思います。
キャストは、原田泰造さん、中島颯太さん、城桧吏さん、大原梓さん、富田靖子さん、東啓介さん、松下由樹さん、渡辺哲さんらドラマ版キャストに、曽田陵介さん、トータス松本さん、池田朱那さん、山崎紘菜さんらが加わっています。中でも富田靖子さんの脇での立ち回りが、地味に涙を誘います。
時代に対応できると将来も幸せになれるね。
ドラマも予告編も観てないので、設定は全く知らなかったが、原田泰造が主役という事なので、かなり笑えるんじゃないかと想像しながら着席。まずは家族と食事しながらのやり取り。仲良さそうだったね。原田泰造演じる沖田誠が勤めている会社の部下が突然退職してしまう。その原因はパワハラのせい。おっさんの自分としては、普通に仕事をしてた様にしか見えないけどね。それから現れた昔の部下の佐藤、何で昔居た会社に仕事の依頼をしたのか、分からなくてモヤモヤ。ずっと仕事関係のストーリーかと思っていたが、違ってた。妻、息子、娘、友人の生活問題の解決だらけだった。大きな流れは無く、ショートストーリーの連続だった印象。とにかくミュージックが感情とマッチしていて良かった。何より原田泰造の表情がとても楽しかった。パンツの話はドラマ観てないから意味分からなかったけどね。
【”世代が違う、性別が違う。考えも価値観も違う。けれども相手の生き方を理解しよう!”今作は新しい価値観の中で生きる人達の姿をコミカルなタッチの中で描きつつ、発するメッセージは結構深い作品である。】
ー 私はドラマを一切見ないので、ドラマ化の映画だけはある程度事前にフライヤーなどで、情報を仕入れる。
最初は今作のタイトル“おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!”って何なんだ!と思ったのだが、今作を観て納得のタイトルであったよ。
でね、オイラのパンツはね。<以下、強制自粛>ー
◆感想<Caution!内容に触れているかな?>
・沖田誠(原田泰三)が、且つては昭和風の熱血営業マンであり、”LGBTQ"なんて、俺の周りにはいない!”とか言ってしまう、バリバリのパワハラオヤジだった事が、新人佐藤を飲み屋に連れて行く過去シーンから分かる。
だが、彼がそんな過去の自分を深く反省し、性別により様々な制限がある事に疑問を持ち、生きる息子翔(城桧吏)の生き方を否定しない現在の姿や、自分の描きたい漫画と読者が求めるBL漫画を描く自分に悩む娘、萌(大原梓)の姿なども、上手く描かれている。
・印象的だったのは、そんな萌に大きな影響を与えた、中学まで野球をやって居ながら、高校に女子野球部が無いために、母に言われて茶道部に入った女子高生が、或るイベントで高校生男子ピッチャーが本気で投げたボールを見事に打つシーンは、結構沁みたな。
・あとは、誠の妻美香(富田靖子)が推しのグループを応援するために、パートから正従業員になった時に、年下の女性に”皆の前で褒めちゃ駄目”とか”イキナリ、電話するのは駄目”とか、"オイラの会社ではあんなことはやらないなあ。でも営業相手にその女性の上司と思われたりするシーンはあるあるだなあ、とか思いながら観賞続行。
■一番良かったのは、且つての部下佐藤が、今は誠の営業相手であり、いまだに傷が癒えない姿を見た誠が、深く過去の自分の”覚えていない自分の行為”を悔いる姿と、佐藤が、ぎっくり腰になった誠を病院に連れて行った時に、翔や萌や美香の心配する姿を見て”この人は、且つての自分を激しく叱責したパワハラ男から変わりつつあるのではないか”と気付く過程や、その後の彼自身がゲイで有った事が分かるシーンも、ナカナカであったな。
<今作は、”自分らしく生きる。そして自分の考えを尺度に他人の生き方を否定しない。”という事を軸に、新しい価値観の中で生きる人達の姿をコミカルなタッチの中で描いた結構深い作品である。
”世代が違う、性別が違う。けれども分かろう!”というメッセージが響く作品である。>
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