中山教頭の人生テストのレビュー・感想・評価
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渋川清彦の演技が見事❗️
中山教頭の人生テストを観たが、予想以上に良かった。椎名先生の代役で中山教頭が臨時担任を担当したが、大変な業務の中生徒と向き合う姿勢は失わなかった。中山教頭の思いが生徒に伝わった。校長試験も同時進行。改めて、学校の大変さを痛感。渋川清彦の演技は素晴らしかった❗️夜明けのすべて、箱男の演技が物凄く良かっただけに今回も見事。
教頭はつらいよ
自分の仕事だけでなく、地域の苦情を受けたり、蛍光灯の交換をしたり、担任代理を務めたりと、何でも屋の教頭は、校長の命を受けてハイかイエスか喜んでと役目をこなす。人が良く、不器用な人の役が渋川には似合う。校長試験の仕組みや校長が公金を横領するなど、有り得ないこともあるし、実際の教頭の仕事の大変さは、こんなものではないなど、事実とは異なることはある。しかし、渋川の困った顔を見ているだけで楽しい。ただ、黒川先生は何だったのかが疑問。
とにかく教頭は大変だ
舞台は山梨県の田舎の小学校。何でもかんでも雑用を押し付けられる教頭の中山先生は、ひょんなことから5年生の臨時担任を持たされることになり、校長試験の勉強もままならなず……。
校長、教員、生徒、教育委員会、そして保護者や近隣住民といった諸々のステークホルダーたち、そして家庭内では娘との関わりの中で葛藤する中山先生の姿はおかしくもあり、哀しくもある。
学校の現場としては、それはありな得ないだろうと思える話と、よくありそうと思う場面が交錯して描かれる。
中盤過ぎまで、こんな話を若い連中が観ていたら、そりゃあ教職に就こうなんて考える大学生は激減して、教員不足はますます加速されるだろうな、と思いながら観ていたのだが、最終的にはわりといい話に着地していた。
ただ、そんな感じに着地させてしまって良いのだろうか?という懸念も拭えない。学校の問題は社会全体が抱えている問題であり、それを学校に押し付けて自分は知らんぷりみたいな人間が多いことが最大の問題なのではないか。教師であろうがなかろうが、あるいは大人だろうが子どもだろうが、一人ひとりが抱える自分の弱点や苦悩、問題点にもっと対峙してもいいのかも知れない。
ルールに従ってさえいれば人生を間違えないという訳ではない。ポスターにある「先生や大人がこうしなさいって言うことは全部まちがってる」というセリフには劇中では「君がやりたいと思うことは全て正しい」という続きがある。先生が生徒に言うセリフではあるが、ちょっとするとこれは中山先生が自分自身に語りかける言葉だったのではないだろうか。そして、自分のやりたいと思うように行動することが正解なのかこそが彼の人生テストなのだろう。
学校のリアルがここにある
渋川清彦主演で学校がテーマになっていることから興味を持ち鑑賞。
冒頭から、絶え間なく次々と起きる教頭を取り巻く怒涛の出来事に圧倒された。
些事ではあるものの、ひとつひとつに対応する中山教頭に感服する次第である。
とはいえ、ちゃんとしているのは中山教頭となぜか担任をはずされた椎名先生だけっぽい。
椎名先生の後任の黒川という教師はもう存在自体が子どもにとってパワハラだ。
こんなヤツいるのか!?と思うほど。ここはリアルなんだろうか?非現実的では?と感じたところ。
正直、観ていてつらいというか、きついというか、息苦しくなる展開に、少々嫌気が差したものの
中山教頭のキャラクターが少しゆるいというか、コメディちっくでもあり、鑑賞に耐えうる流れになっていて
ちゃんと学園ドラマというか、そういう要素も入れていて、安心できるところもあって良かったと思う。
前半の出来事についての謎が解き明かされる後半が実に面白い。
面白いが愛里沙が黒幕だとわかると、ギョッとするというか、
無邪気な悪意ほど恐ろしいものはないなとあらためて感じた次第。
また演じている太田結乃が秀逸だ。教室内で最もビジュアルが映えている子だが、それゆえに黒幕だとわかると
天使が悪魔に見えてしまう。これは最後の最後まで不変であった。
太田結乃は今後も活躍するに違いない俳優になるだろう。本作を機に覚えておきたい(『見える子ちゃん』にも出演している)。
中山教頭の奥さんは4年前に亡くなったという設定だが、
娘との関係性がうまくいっていない最中に、車の中で現れる奥さんと中山教頭とのやりとりが
実にファンタジーではあるが、物語が前にまわっていくために必要な演出だったのだろうと思う。
学校や教育にまつわる組織・人の旧態依然とした体質へのアンチテーゼも感じる社会派なところも良い。
先生たちが見えている世界が全てではない。子どもたちを子どもと侮ってはいけない。
これはいろいろな世界・社会にも通じるのではないか。
因果応報ではあるものの、思いは通ずるというメッセージも込められているかなと。
しかしドッと疲れた。
で、プロテインシェイカーはどうなった?
ルールに頼るということ
前日に同じ11歳を扱った「ルノワール」を観たばかりなので印象を引きずってしまうのだが、本作でもこの年齢の女子が男子を置き去りにして大人になり始め、少女と女性、天使と悪魔が同居している感じをうまく捉えていた。
諦めずに夢を追い続けることが大切、みたいな思考停止に堕する事なく、世の中に不合理や不正義が蔓延しているのを認める所から始めよう、という終業式スピーチは、子供達が社会に出た時に過剰に絶望して折れてしまうのを防ぐためのメッセージで、漫画「夢なし先生の進路指導」を思い出させる。
色々ベタな演出があったり娘との関係描写もイマイチだったものの、スーパー熱血教師を描いて教育現場への過度な期待を煽るようなしょーもない作品でない事だけは確かだろう。
渋川清彦の自信なさそうな演技はなかなかよかったけど、光石研だったらどんな感じだろうと想像してしまった。
ゆるキャラ校長
校長職を目指す頼りない小学校の教頭先生の話。
妻を亡くし中学生の娘との2人暮らしで、娘の為に今より時間を作れるようにと校長職を目指す中山教頭が、休職した先生のフォローの為に5年1組の臨時担任まで務めることになり、様々な問題に直面して行く。
何があったのか良くわからないけれど、元々の5年1組の担任が降ろされて、後任となった先生のちょっとヤバい感じをみせていく始まりから、生徒の中にも問題が…まあ結構黒幕はわかりやすいけれど、散々広げて振りまくって、ほとんどのネタが実はこうでしたで終わりなのはちょっとね。
先生が題材の話しなんだから、そこへの対応がキモだと思うのだけれど。
優しくマジメで、少しどころかかなり頼りない教頭の、変化とかトラブル対応とか向き合う姿とか、面白くはあったけれど、口下手なのはやっぱり損だよね…。
それにしても、何でもかんでも説明会とか、怖いですーとか、今時はこれが普通なんでしょうけど、アホクサ&メンドクサ。
人生テストは続く
運良く、監督の初日舞台挨拶の上映を観てきました!
制作秘話では、実際に試験でカンニングをした教頭の事件があったそうで、それに目をつけた?方から映画化の依頼がきたそうです。この1つの出来事からここまでお話を作れることが本当にすごいです。監督さんが脚本も書かれたそう。
まず流されやすい主人公の中山教頭がとてもいい。流されやすいからといって、自分の意見が無いわけでもない。押し付けでない教頭の気持ちの出し方、魅せ方がうまい。
その上終始小ネタがあって笑いがある。会場は笑ったり泣いたりととても良い雰囲気だった。
しかし教頭先生の任務が激務すぎ&問題が多発。観てる途中でも一体どこに話が着地するのか先が読めなかった。結果としても、全ての話の回収はできていない。が、人生のテストは各々出されていて、教頭以外の問題はそれぞれが向き合って答えを出していくべきだからそのままなのかなと解釈。
教頭自身はズルまでしたのに試験に落ち、校長にはなれなかった。かと思いきや現校長の罪がバレ、思いもよらぬ形で校長になれた教頭。だけど初日の挨拶から躓く始末…笑。中山校長これからもがんばって!と応援したいし、あわよくばその先も観たくなる終わり方だった👏
最後に…亡くなった奥様とのやりとりは愛しさが溢れていた。黄色い車っていうのは何か意味があるんだろうな。勇気があれば監督に質問してみたかった。
演者のみなさまもとても自然ですばらしかった。
金八先生シリーズのように、、、
「中山教頭の人生テスト」は、
まさにタイトルが示す通り、
一人の教頭が直面する様々な試練を通して、
現代社会における教育現場の厳しさ、
そして一人の人間としての生き方を深く問いかける作品だ。
本作が描くのは、
理想と現実の狭間で奮闘する中山教頭の日常と、
その真摯な姿だ。
学級崩壊の危機、
モンスターペアレントからの理不尽な要求、
そして学校組織内部の人間関係といった、
教育現場が抱える生々しい諸問題は、
映画でも既視感のある内容だ、
しかし、本作はそれらを単なる社会派ドラマとして消費しない、
中山教頭は独特のスタンスで対応していく。
そして、
その「独特の展開」をみせるストーリーテリングだけではない、
映像表現の力が、物語のリアリティと深みを格段に高めている。
カメラは、
学校という閉鎖的な空間の中にある「豊かな空間」を巧みに捉える。
手前、中景、奥、さらに「奥の奥まで、丁寧に作られている灯り」は、
単に画角やアングルだけを美しく見せるだけでなく、
登場人物たちの心理的な距離感や、
学校という場所が持つ多層的な人間関係を、
視覚的に表現しているかのようだ。
光と影のコントラストが、教頭の内面の葛藤や、
彼が置かれている状況の複雑さを暗示する。
特に印象的なのは、
学校の撮影という高い難易度に真正面から挑んでいる点だ。
日本の多くの小中学校の校舎は、
学習環境を考慮して、
子どもたち自身の左側から太陽が広く差し込むように設計されており、
撮影には残念ながら様々な制約が伴う。
金八先生シリーズのように左側の窓が無いようにセットをつくると、
多くの問題は解決可能だ。
しかし、
本作はあえて「カメラを窓に向ける」
これは単なる技術的な挑戦ではないと推察される。
窓から差し込む自然光や、
移りゆく天候は、
子どもたちの心境の変化や、
物語のターニングポイントを象徴しているように感じられる。
撮影スケジュールやキャストの芝居が、
天候に左右されることを承知の上で、
この表現を選んだ製作陣の意気込みが伝わってくる。
それはまさに、「中山教頭の人生テスト」という作品の核、
つまり不確実で予測不能な人生そのものを描くために必要なリスクであり、
その挑戦が成功しているからこそ、
本作は観る者に強い印象を残すのだ。
文字数は増えてしまうが、
印象的な撮り方として、
「道の駅までの中山教頭の車のロングショット」も、
彼の孤独な決意や、
一人の人間として歩む道のりを物語るような引き絵だ。
こうした細部にまで宿る映像表現は、
中山教頭という人物への深い共感と、
「全方位で、中山教頭を応援する仕事ぶり」に裏打ちされていると感じる。
スタッフ・キャストが一丸となって、
彼の人生、彼のテストを見守り、
子どもたち、先生たちを、
支えているような温かい眼差しが、作品全体から感じられるのだ。
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