「これから伝説になる者の物語」バレリーナ The World of John Wick てんぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
これから伝説になる者の物語
アナ・デ・アルマスを主人公に据えたジョン・ウィック外伝。
ストーリーラインはジョンシリーズに準拠した復讐譚だが、因縁付けられシーンからじっくりと描いていたジョンの1作目とは違い、こちらはOPからアクションのつるべ打ちで異常にテンションが高い。
このOPシーケンスで暗殺教団ルスカ・ロマの残虐な所業を見せつけることで「こいつらはいくらでも死んでいい」と観客に思わせる手際の良さが大変良い。
修行パートも楽しい。そういえばジョンは最初から伝説の怪人だったのでこういう修行の場面が無かった。その点、本作は修行を通じてイブが強く成長する描写が挟まることで「伝説の再来」という原典シリーズのテーマを「伝説への挑戦」という形にうまく転換している。
主人公描写は意図してなのか偶然なのか、イブとジョンはけっこう対照的な描かれ方がされている。
過去の功績や友情を盾に知り合いを片っ端から頼りまくるジョンに対し、イブはずっと単身突撃型。何事も己の腕っぷしで解決していく。やっている事は大体同じなのに見た後の印象がまるで違うのは不思議だし面白い。
ダメージの受け方にもキャラクター性が滲む。ジョンは伝説のわりにけっこうボコスカ被弾する印象がつきまとうが、イブは〝どれだけやられても立ち上がる〟タフネスに不屈の意志が宿っている。どちらもダメージはHPで受け切るタイプのキャラクターだが、この受け止め方が違うのが面白い。
アクション面でも過去のジョンシリーズを踏襲しつつ差別化をしようという工夫が随所に見られ、特に銃器を使った近接格闘術いわゆるガン・フーは様々なバリエーションでもって魅せてくる。
標準的なガン・フーを始め、グレネード式近格闘術、スケート靴格闘術、レストランのお皿しばき合い対決、火炎放射器ファイト、日本刀アクションなど盛り沢山で満足度が高い。
原典主人公のジョンとはストーリー中盤ですれ違う程度に共演。外伝作品らしいチラリズム・・・と思いきや終盤でガッツリ登場。ちゃんとキアヌ。イブとの実力の違いを見せつけつつ、「協定があるから教団を狙うのはやめろ」などと諭してくる。コイツどの口でそんなこと言ってんだ?観客の誰もが「ジョンがこの子を止められる訳ない」と思ったことだろう。
案の定イブを見逃すジョン。ついでに陰から手助けもするジョン。そのついでに暗殺教団ともバタバタ戦うジョン。全く期待を裏切らない男:ジョン。
総じて、とても楽しい映画だった。新たな伝説の幕開け感が満載で、きっと続編もあるだろう。楽しみ。
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