「やはりコンセクエンスから逃れられないのがこの世界」バレリーナ The World of John Wick ソニー・クロケットさんの映画レビュー(感想・評価)
やはりコンセクエンスから逃れられないのがこの世界
キアヌ・リーブス主演のジョン・ウィックシリーズ初のスピンオフ作品、今回はスタエルスキ監督は製作側に、キアヌは共演と製作総指揮として参加をし主演はアナ・デ・アルマス演じるイヴが父親の復讐を果たす物語となっている。
物語としてはジョンウィックシリーズの3作目と4作目の間を繋ぐ作品でありこれが実質の遺作となったシャロン役ランス・レディク最後の出演となる。
幼い頃に謎の組織に自宅を襲撃され父親を殺害されたイヴはニューヨークコンティネンタルホテルの支配人ウィンストンに引き取られルスカロマに入所をし殺し屋としての訓練を受け成長し任務を遂行していくうちに父親を殺害した組織の手がかりを入手するがその組織はかつてルスカロマと敵対関係があり今は相互不干渉の協定を結んでいた組織とわかりディレクターからは止められるがコンティネンタルホテルのウィンストンより情報を入手し独り東欧へと旅立つ・・
ジョン・ウィックシリーズは既に殺し屋として出来上がっていた主人公の復讐劇であるがバレリーナは幼い頃に父親を殺害され殺し屋として成長していく過程を描いており何処となく日本映画の修羅雪姫や女囚さそりの世界感に近い雰囲気がある。
メイキング映像として彼女自身がトレーニングしている姿が動画サイトに載っており格闘技は87Elevenのスタンスチームでトレーニングし射撃訓練はシリーズ通してタラン・バトラーが担当しておりキアヌ以上のスキルを見ることが出来る。本家のジョン・ウィックは銃と格闘技を融合したガンフーが売りであるがこのバレリーナではガンフーはもちろん、手榴弾やクレイモアの爆発物を使用したグレネードフーがありあの近距離で爆風から耐えるために狭い空間上で緻密に計算されたアクションを展開している。更にアクション終盤では火炎放射器を使用したファイアーフーも披露しておりアナ自身が防火服を着て防火ジェルを塗りアクションを熟すシーンは必見、しかも実際に人間に向けて噴射しているのでリアルに人が燃えているが無論スタント役の人はちゃんと防火服やグローブをしてるが実際に人を燃やすのはワイズマン監督の拘りだろう。彼女自身のアクションの中心はほぼその場にあった銃器や道具、鹵獲したモノで行われており使い方としては非日常な使い方が多くでも地味に確実にダメージを与える攻撃である。でも地味に1番痛々しいのがイヴと刺客がお互いに皿を近距離で投げつけて割合うシーンが1番リアリティあるだろう。
実はこの作品で惜しくもカットされたシーンがありジョンとイヴの父親が旧知の仲だったことがわかるシーンとセリフがあり『パラベラム』と『コンセクエンス』をつなぐという重要な役割を果たしていたそうだがそのシーンはジョンにとある日本人が日本語で話し掛けジョンも日本語で答えるそうだが円盤発売時にその未公開シーンとして収録されている事を期待したい。そしてキアヌ演じるジョンが物語の中でイヴとどう関わるかは劇場にて確認をしてもらいたい、やはり伝説のババヤガには誰も叶わない、彼のコンセクエンス、彼女のコンセクエンスはやはり自分自身から逃げ切れない事。それはこの物語の中で自分自身が証明しておりそのコンセクエンスからは自身の死以外からは永久に逃れられないのである。その物語の結末はこれからのイヴの成長により決められるのだろう。