ブラックバッグのレビュー・感想・評価
全110件中、61~80件目を表示
脇の甘いスパイ
職場内での浮気や飲酒時の情報漏洩など、諜報機関の職員の割には迂闊な行動が目立つ。そのせいで序盤の「我々にとって浮気は簡単すぎる亅という台詞に説得力がなくなっている。
また、セキュリティに関わる規則を破る点や、(映像作品の性質上やむを得ないものの)感情がすぐに顔に出る点など、主人公夫婦以外の登場人物の精神面の脆さに少し違和感を覚える。
人物像の設定にやや粗があるものの、90分程度の比較的短い上映時間で複雑なストーリーをうまくまとめた良作であり、スパイや内部の裏切り者といったテーマが好きな人は十分満足できると思う。
下衆な心理戦
「裏切りのサーカス」に似ているとの感想を見かけたので、絶対好きなタイプの映画だ!と直感して観に行きましたが当たりでした。
94分で短め、それほど難解ではなく肩の力を抜いて観れました。
ほぼ心理戦で会話劇なのは想定内。
S.ソダーバーグの映画、それほど意識して好んで観ているというわけではないのですが、見始めるとあーそういえばこんな感じの作風よね!とニヤニヤしてしまう。
今作もカメラワークとか撮影が小洒落てました。
(人物以外の背景がいつもモヤがかかっているような、独特のピントの合い方)
現実の諜報部員って日々の仕事は地味なのに、常に裏切り者の陰に怯えて命の危険と隣り合わせなのはちょっとかわいそう。
夫妻のお住まいのインテリアがお高そうだったり、妻はエルメスのバッグを持ったりしていたのでお給料は良いのかも?
ゆすりのネタがほぼ下半身事情なのがちっさいのですが、意外とこんなもんかもねと思ったり。
GPSトラッキングの顔判別がトロかったり、嘘発見器がアナログなところに妙なリアリティを感じました。M:Iとかはハイテクすぎる〜
マイケル・ファスベンダーとケイト・ブランシェットが夫婦役ですが、スパイっぽさはブランシェットのほうが上。
過去の映画で山ほどそれ系の役をやってますしね。
ファスベンダーは料理してるか釣りしてるシーンばかりでした(笑)が、佇まいが美しいので画面映えしていました。
さて、白髪のダンディ上司を誰が演じているのか最後までわからなかったのですが、ピアース・ブロスナンだったんですね。
自分の中では007のイメージで時が止まっていたので、しばらく見ないうちに貫禄が!
元ジェームズ・ボンドが…て考えると、なかなかニクイ演出です。
ソダーバーグ
恋愛・夫婦生活とは、すなわち権謀術数渦巻くスパイ戦である
新作ごとに題材も作風も変えてくるスティーヴン・ソダーバーグ。そこに毎回共通するのが、物語のスマートかつスタイリッシュなさばき方だ。これこそがソダーバーグ監督の身上でもある。監督業のみならず撮影・編集も担う彼が今回、その持ち味を発揮するのは、一切の派手なアクションを排したスパイもの。しかも室内劇であり会話劇だ。
なんでも監督と脚本家は本作のインスピレーションを、エドワード・オールビーの有名な戯曲「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」から得たのだとか。そのせいか、この映画は一見『裏切りのサーカス』のような“もぐら(二重スパイ)狩り”の話と見せかけて、その実、監督の長編デビュー作『セックスと嘘とビデオテープ』、もしくはベルイマン監督の『ある結婚の風景』の様相を呈してくる。ここが第一の見どころである。
本作のタイトル「ブラックバッグ」とは「秘密が保管されている場所」のことらしい。その真意は「世界を揺るがす国家機密、極秘任務」を意味すると同時に、「夫婦や恋人間で相手に隠している真実」でもあると、徐々に呑み込めてくるわけだ。
ハイライトは前半・後半と二度訪れる。いずれも同じ、ラグジュアリーな居住空間のダイニングテーブルが舞台だ。主要人物たちが顔を揃え、うわべの会話と腹の探り合いを繰り広げる。この場における彼らの「芝居」——もっと端的に言えば「顔芸」が第二の見どころであり、そのスタイリッシュでスピーディー過ぎる描き方が、映画として若干の食い足りなさを感じさせるところでもある。
それにしても、何があろうと動じない、眉一つ動かさない。そんなマイケル・ファスベンダーとケイト・ブランシェットの「能面夫婦生活(?)」にはゾクゾクさせられた。寝室でのエピソードなど詳細は省くが、ここが第三の見どころといえるだろう。
ところで、イギリス政府の諜報機関といわれて真っ先に思い浮かぶのが、ジェームズ・ボンドでおなじみの「英国情報局秘密情報部(SIS)」、通称MI6。だが、本作の登場人物たちが所属するのは「英国国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)」である。「英国政府通信本部(GCHQ)」の傘下機関にあたるこの組織のことは、本作で初めて知った。
初耳といえば、 “もぐら”候補の一人であるナオミ・ハリスは組織専属の精神科医という劇中設定になっている。その取り合わせが少々意外だったが、今や世界の主な諜報機関は精神科医やセラピストを職員として抱えているらしい。言われてみるとたしかに、諜報部員はいつも心理的にキツい業務に従事しているわけで、精神面のメンテは必須だろうと推察するが…。
というわけで、本作から得た教訓=「恋愛・夫婦生活とは、すなわち権謀術数渦巻くスパイ戦である」もそうだが、映画はホントに学びが多い(笑)。
ソダーバーグとブランシェエットというので見たけど、そこまでソダーバ...
ソダーバーグとブランシェエットというので見たけど、そこまでソダーバーグ、好きじゃない。オーシャン11みたいな映画と比べてもダサいし、会話は面白くないし、ブランシェットもそんなに綺麗でもないし。結局、ソダーバーグはオタクなので、オタクのスパイ映画みたいになってる。主人公の性格。特に最初の夕食会、サイテー。ウソ発見器のシーンがよく、これはソダーバーグの得意領域。
ボンボヤージュ それとも グーテライゼかな
スパイ映画は一瞬の台詞や映像のみで、陰謀や伏線の細部までを理解するには無理があります。ある程度の概要把握で割り切り、あとは映画の雰囲気に浸る方が楽しめると思います。何せ映画そのものが「ブラックバッグ」(秘密裏の違法捜査活動)なので。
ジョージとキャスリンの夫妻は、絶対的な相互信頼関係がありそうで、その実、底部に微妙な駆け引きが潜んでいるという、洒落てて謎めいた感じがいいです。水曜日のキャスリンの出発時、「君がスイスに行くのは知ってるよ」と、仄めかしたってことですよね。
「不快な食事会」や「嘘発見器」の描写もなかなか面白かったし、月曜日の仕事帰りに釣りに行き夕飯の食材をゲットする生活、なんとも羨ましい限りです。
Bland
90分台と観やすい尺なのが大助かりで、頭脳戦ミステリーなのも面白そうと思って観たんですが、べらぼうに地味かつ動きがなさすぎる展開であまり好みではありませんでした。
諜報員のジョージが取引やらなんやらで自分の奥さんが怪しいと言われ、なんとかして真犯人を見つけたろうと躍起になる話で、容疑者候補を自宅へ招集→外での諜報活動→嘘発見器で嘘つきを探す→再度自宅へ招集という進み方自体はシンプルなんですが、展開がどうなっているとか、登場人物の感情だとか、何もかも言葉にも仕草にも出てこないので非常にわかりづらかったです。
夫婦がカッコつけながらイチャイチャし、付属としてミステリーがついてくるといった感じなので、そっちがおまけなんだと呆気を取られたのは確かです。
ジョージが優秀なのかおとぼけさんなのか分からない微妙なラインを突きまくるのも悩ましいところで、決めるところ決めたなーと思ったらボロが出たりしつつも、なんとか表情だけ保っている状態でやっているのでカッコよさを感じられなかったのは残念でした。
全体的に動機が色恋沙汰多めなのも気になったところで、そんな狭いサークルの中でわちゃわちゃした色々ともつれていっちゃうでしょう…と頭の良い連中のはずなのにバカっぽさが出てしまっていたなと思いました。
ラストのゲームのシーンの駆け引きもそんなに捻りが無いなぁと盛り上がりきれず、そしてあっさり終わってしまったので、スタイリッシュではあるんですが胸につかえたモヤモヤは結局取れずじまいでした。
スパイ映画と銘打っていながら、ガッツリ室内での出来事をメインに展開していき、多少の爆発が添えられてはいますが、スピーディーなアクションもあるんじゃない?と微かに期待していたものは華麗にぶち壊されました。
食べたことがないのでアレなんですが、魚の活け造りってあんなビチビチ動くの?というところが衝撃的でした。誰か連れていってください。
究極の雰囲気映画じゃないかなと思いました。
好みではありませんでしたが、好きな人は凄い好きだろうなーというタイプの作品でした。
鑑賞日 9/27
鑑賞時間 18:25〜20:05
上品で丁寧、後味も最高
あまり期待してなかったけど超面白かった!!
とにかく上品で無駄がない
派手な演出やアクションは無いが緊張感があって
だからここぞという見せ場がすごく際立つ
スパイものと聞いて、今まで観てきたそれこそ007とか
こないだの『アマチュア』とか
派手なアクションや爆発シーンがあるのかと思いきや
舞台は家やオフィスでの会話劇と一見地味だし
起きている事も最終的に整理するとそこまで複雑な事でないのに
駆け引きや人間関係、真実が分かる順番など
構成の工夫だけでもスリリングで全く飽きる事ない展開。
映画館で見る映画というとどうしても映像が凄いものとか
絵の豪華さを重視してしまうけど
こういう駆け引きや構成を楽しむ映画も
本当に映画館でこそ楽しめるものだと思った。
家だと集中出来ずに訳分からなくなりそう…
かといって絵作りももちろん丁寧で考え抜かれてる感じ。
それにしてもこのラグジュアリーで上品な仕上がりは何なんだ!!
創ったものを見せびらかさない大人の余裕を感じる…
キャストも完璧すぎる!
終わり方も尻すぼみとかただ解決するだけでなく
ワクワクするような感じで鑑賞後の後味もとにかく良い!!
この帰る時にお土産まで持たせてくれるような感じ、
私もこんな大人になりたい笑
アンチ・ボンド‼️
今作はソダーバーグ監督による「男女6人スパイ物語」‼️諜報員マイケル・ファスベンダーに課せられた任務は二重スパイをあぶり出す事。容疑者は組織内のカウンセラー女医、女性情報分析官、そして3人の諜報員。しかも諜報員の一人は愛する妻ケイト・ブランシェットである。そんな6人はそれぞれ複雑な人間関係にあり、夫婦をはじめとする3組のカップルで成り立ってる。そんな人間関係の中で繰り広げられる頭脳戦と心理戦‼️まるでソダーバーグ監督の「セックスと嘘とビデオテープ」のスパイ版とでも言いましょうか⁉️本作にはハリウッドの他のスパイ映画みたいな派手なアクション・シーンは一切ナシ‼️どちらかと言えば「国際諜報局」や「パーマーの危機脱出」みたいな、アンチ・ボンドな作風‼️そういう意味ではイギリス的な感じがします‼️そんなアンチ・ボンドな作品にピアース・ブロスナンがキャスティングされてるのもナイスですね‼️冒頭、ファスベンダーが指令を受けにバーへ赴くシーンの背中のショットからワクワクするし、男女6人が揃う二つの夕食のシーンの会話劇の面白さもゾクゾクさせられる‼️この夕食シーンの会話劇が見せ場のスパイ映画だなんて、なんて素晴らしいんでしょう‼️そして主人公と、容疑者である妻との関係が、偽りの夫婦関係ではなく、真実の愛に満ちてるのも映画の風格を高めてると思うし、鑑賞後の幸福感も高い‼️
3分20秒
英国NCSC諜報員が不正プログラム「セヴェルス」を盗み出したスパイを追う話。
自身の嫁を含む5人が容疑者として挙がる中、自宅に彼らを呼んで料理に自白剤的おクスリを持った食事会が開かれて巻き起こっていく。
嫁にはクスリのこと事前に言っちゃうし、なんだか面倒なゲームからのグダグダ暴露大会になり成果は上がらず、そしてゴミ箱に知らない映画のチケットが…。
えっ、死んだの?えっ、監視した瞬間も漏れてるの?えっ、そこ繋がってるの?えっ、生食は違法なの?それはどうでも良いか…(´・ω・`)
鑑賞中、誰が怪しいとか頭に浮かぶことはもちろんあるけれど、理解力に乏しい上に専門用語にもピンと来ない自分には、会話も展開も兎に角テンポが速くて、言っていることや状況を把握するのに必死。
考えているうちに、あーそういうこと、となることも。
面白かったしなかなか上質なサスペンスだとは思うけれど、難しかったし疲れたw
小説か解説本希望
ケイト・ブランシェット夫妻が勝ちましたってことで良いんだよね。
旦那さんが人智を超えた洞察力で解決したね。
何が起きたのかは分からなかった。
ここまで事件についてが描かれないってことは、そこは重要度低いんだろなと判断して、深く考えないことにしたよ。
ケイト・ブランシェットの赤いジャケットかっこよかったね。
集中して観れば大筋は理解可能だけど・・・
監督スティーブン・ソダーバーグ、脚本マイケル・コープの二重スパイを炙り出すミステリードラマ。
英国諜報部員の破格の年収を思わせるような優雅でスタイリッシュでクールなシャレオツ仕様。
マイケル・ファスベンダー主演の難解な映画と言うと説明されない暗喩がたくさん散りばめられた「悪の法則」を思い出すが、本作は短い尺にもかかわらず、直接本筋とは関係ないが如何にも意味ありげな会話ややり取りで必要な情報を迷彩的に隠し、説明も少なく、コードネームを交えた会話などで鑑賞者の情報処理能力を問うような内容。
さらにファスベンダーやケイト・ブランシェットが全く表情を変えない事も視覚的な情報を得ることができず難解度合いを上げている(ように思う)。
極端に言えば実際は何も起こっておらず、ほぼダイニングや会議室等の屋内での心理的な会話劇なので、頭を使う割には退屈でレビューが低い理由はわかる。
当然頭の悪い自分自身も拾いきれていない情報が山ほどあるはずだが、全て拾えたとしても観終わった後の爽快感や納得感は薄そうなのでもう一度観たいとは思わない。
ストーリーそのものについてレビューするとどうしてもネタバレに繋がってしまうので難しいが、あの夫婦は自分達が嵌められた事以外は基本全て気付いていると思って観るとある程度は整理しやすいのではないかと思う。
特に映画の半券を誰が捨てたかなんか途中からお互いがわかってたように思うしw
英国では「活け造り」がイリーガルってはじめて知った。
一度ちゃんとシメるか、元の姿に戻さなければ良いってことかな?
ヒリヒリする会話劇
エリート諜報員同士が二重スパイを炙り出すために繰り広げる頭脳戦。ジェームズ・ボンドやイーサン・ハントのようなド派手なアクションはないが、それぞれがプロ中のプロのスパイ同士のやり取りにはヒリヒリさせられれる。そして、静かな分、表舞台には見えないところでこんなことが実際に起きていそうだというリアルさが感じられる。
映画的な場面もいくつか差し込まれてはいるが、知的な話に痴的な話題が織り込まれる大人のウィットに富んだ会話劇としての脚本は、いかにも舞台演劇の本番イギリスらしさを感じさせ、実際に舞台上演も可能に思える。
なお、"black bag" はスパイ活動としては「建物などに密かに忍び込んで情報を盗み出す行為」を指すようだが、ここでは「スパイ同士の夫婦が互いにも明かせないほど機密性の高い情報」という意味で使われているようだ。
本編の内容とは関係ないが、2時間超えが当たり前になってしまった時代に、94分という上映時間はサクッと観れてちょうどいい。大体の作品を90-100分くらいで作ってくれないかなぁ。
秘密は棺桶に入らない‼️❓
おもしろいけど
導入が薄くて入り込みづらかったかもしれない。
まずなんでこの5人が疑われたのかとか
そもそもセヴェルスって何?とか
大勢の人が死ぬのは分かったけど
それがなんなのか分かるのはだいぶ後半だし
最初の晩餐会も、誰が諜報員で
誰がカウンセラーで、誰と誰が同僚で部下で……
みたいな関係性がほぼ出ないまま、
本人達からしてもこれは謎メンなんだな〜って
ことくらいしか分からず、
ただもう既に腹の探り合いはされていて
伏線とかももしかしたらあったのかもしれないけど
ふわっとしたままなんか進んでっちゃって
これ妻が一番怪しいんじゃね?ってなりつつも
それも罠で、結局はただの最強夫婦でしたっていう。
キャストはみんなかっこいい&綺麗だし
スパイものにアクションシーンがなくても
全然いいと思うんだけど、
120分くらいあってもいいので
だからこそもう少し導入とか人間関係を
濃いめにしてほしかったな〜と思いました!
なんかちょっと物足りなさが残るというか
もう少し浸かりたかったな。
嘘発見器のシーンとかも
なんとなく置いてけぼりになってしまったので
配信されたらまた観たいと思います。
ハラハラドキドキ感満載。ケイト様の演技は圧巻!
イギリスの諜報部員夫婦のスパイ映画だが、物凄く面白かった。スパイムービーはハラハラドキドキするが、この作品もハラハラドキドキ感満載。
それにしてもケイト・ブランシェントの演技は圧巻。母親役でも、指揮者役でも、女王役でも今回の諜報部員の妻でも演技は素晴らしく圧巻。さすがケイト様!見事。
信頼と裏切りの心理戦
■ 作品情報
監督はスティーヴン・ソダーバーグ。脚本はデヴィッド・コープ。主要キャストはマイケル・ファスベンダー、ケイト・ブランシェット、マリサ・アベラ、トム・バーク、ナオミ・ハリス、レゲ=ジャン・ペイジ、ピアース・ブロスナン。製作国はアメリカ。
■ ストーリー
イギリスの国家サイバーセキュリティセンターのエリート諜報員ジョージ・ウッドハウスは、国家機密である不正プログラム「セヴェルス」を漏洩させた裏切り者を見つけ出すという極秘任務を課される。容疑者は組織内部の5人の人物だが、その中には同じく凄腕諜報員であるジョージの妻キャスリン・セント・ジーンが含まれていた。誰もが怪しく、わずかな情報を頼りに真相に迫っていくメインストーリーは、ジョージが容疑者たちを夕食会に招き、仕掛けられた薬とアルコールの効果で彼らの本音や隠された関係性を探るという形で展開される。
■ 感想
全体的には、人間の深淵を覗き込んだような、ちょっとぞっとするような心理劇という印象です。国家機密漏洩というサスペンスフルな設定を借りつつ、物語の核心にあるのは、夫婦や恋人という最も親密な関係にすら潜む、他者の「裏の顔」や「秘密」といったパンドラの箱です。
アクションシーンは一切なく、冒頭から繰り広げられるのは息詰まる会話劇。観客は主人公ジョージと共に、誰が裏切り者なのか、妻への疑惑とどう向き合うのかを推理していくことになります。時に難解な会話の内容に戸惑うこともありますが、それがかえって、情報が断片的にしか与えられないスパイの世界のリアリティと、ジョージの困惑を追体験しているような感覚を生み出しています。とはいえ、頭の悪い自分には理解が追いつかず、イマイチ没入できなかったの残念です。
鑑賞後、「すべてを知ることが本当によいことなのか?」、あるいは「すべてを知った上でなお続く関係こそが本物なのか?」という問いが、頭に残ります。なんだか、私たち自身の人間関係における信頼と不信、そして隠された真実への探求心について、深く考えさせるかのようです。
ワンシチュエーションならなぁ
全110件中、61~80件目を表示











