「【"英国諜報員の密やかな憂鬱。”今作は組織内極秘情報漏洩者を見つけ出す任務を負う男が愛妻を含めた五人の同僚の誰かの嘘を暴く姿を描いたアクション無きスタイリッシュスパイ会話映画である。】」ブラックバッグ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"英国諜報員の密やかな憂鬱。”今作は組織内極秘情報漏洩者を見つけ出す任務を負う男が愛妻を含めた五人の同僚の誰かの嘘を暴く姿を描いたアクション無きスタイリッシュスパイ会話映画である。】
■倫敦の国家サイバーセキュリティ組織が舞台。
諜報員ジョージ(マイケル・ファスペンダー)は”ブラックバック”と呼ぶミッション遂行を命じられる。”ブラックバック”とは、核のメルトダウンを引き起こすプログラム”セベルス”を盗み出した組織内の情報漏洩者を見つけ出す事である。
そして、ジョージは愛妻キャサリン(ケイト・ブランシェット)を含めた敏腕の同僚5人を調べていくのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤、ジョージが同僚の諜報員フレディ(トム・バーク)、情報分析官クラリサ(マリサ・アベラ)、ジミー(レゲジャン・ペイジ)、精神分析医ゾーイ(ナオミ・ハリス)を招く食事会に提供する食事を、自ら鮮やかな手つきで調理するシーンからスタイリッシュである。
素早い包丁遣いで玉ねぎをみじん切りにし、煮ている肉の内部温度を温度計で測り、煮汁が白シャツに飛ぶと、ササっと着替えるジョージ。だが、表情は沈痛でありながら、その料理に薬を混ぜるのである。
・酒と薬の影響なのか、会話は弾む。フレディとクラリサ、ジミーとゾーイが付き合っている事が分かるのだが、序でにフレディがゾーイと浮気をしている事までバレてしまい、激怒したクラリスはフレディの掌にナイフを突き立てるのである。キャー!
・気まずい雰囲気のまま食事会は終わるが、部屋のゴミ箱に自分が行っていない映画の半券を見つけるジョージの表情は、更に憂鬱になるのである。愛妻のキャサリンは特に敏腕であり、一番怪しいからである。
・上層部のスティーグリッツ(ピアース・ブロスナン)に呼ばれた彼らは、”セベルス”が悪用されると、多くの民が犠牲になる事を説明し、更にジョージに調査継続を指示するのである。
・キャサリンがスイスへの国外出張に行く事をジョージに告げると、彼はクラリサと共に、衛星中継が切り替わる僅かな時間で、妻が怪しげな男と接触する姿を密かに衛星画像で見て、更に彼の眉間の皺は深くなるのである。
だが、彼はキャサリンの4人の嘘発見器での取り調べを行い、ジミーを強引に”釣り”に誘うのである。この辺りで大体分かるよね・・。
■そして、2度目の5人の会食。
料理も酒も無い中、ジョージは調査結果を述べるのである。全てはスティーグリッツが、特に優秀な人間を罠に掛けた事を・・。
所謂、”出る杭を打つ”という奴である。
そして、罠に引っ掛かった男をジョージは射殺し、池に沈め、一方、キャサリンは日本料理店で“活き作り”の刺身を頼んだスティーグリッツの脇にそっと座り、”一言言って”去るのである。
更には、キッチリ、エレベーター内でもスティーグリッツに釘を刺すのである。
・妻キャサリンの嫌疑が晴れたジョージは、ベッドで”情報漏洩の見返りの大金は?”と聞くとキャサリンは”スイス銀行に開設した口座の中よ。”と言い、初めてジョージは笑顔を浮かべ、キャサリンとベッドに倒れ込むのである。
<今作は、組織内極秘情報漏洩者を見つけ出す任務を負った男が愛妻を含めた五人の同僚の誰かの嘘を暴く任務を遂行する姿を描いたアクション無きスタイリッシュなスパイ会話劇なのである。>
