「これは、ただのレース映画じゃない。──華やかさの陰で命を削る男たちの物語。」映画「F1(R) エフワン」 シネマ紳士さんの映画レビュー(感想・評価)
これは、ただのレース映画じゃない。──華やかさの陰で命を削る男たちの物語。
F1って、正直あまり知らなくても、この映画を観れば「なぜ世界中が熱狂するのか」がなんとなく分かる。
それくらい、映像と音が圧倒的だった。
マシンの振動、コーナーへ突っ込むスピード感、エンジン音のうねり。
すべてが身体にまで響いてくるような臨場感で、まさにスクリーンに吸い込まれるような感覚。
IMAXで観たこともあって、コクピットの中から観た景色に思わず息を呑んだ。
そして何より、ブラッド・ピットが演じる“ベテランドライバー感”が見事で、余裕と貫禄、過去を背負った男の哀愁、でもどこか少年のような危うさも残していて、終始、絵になる。
ただ、物語としての展開はおおむね予想の範囲に収まり、恋愛や経営問題のサブストーリーも広がりきらず、やや浅めに感じた。
テンポも後半にかけて緩やかになり、長尺ゆえのだるさも否めない。
それでも、F1という華やかな舞台の裏にある「孤独」や「覚悟」みたいなものはしっかり伝わってくる。
実際のレース映像を使っているだけあって、現場の“温度”が感じられるリアルな空気感もあった。
スポーツ映画というより、“F1という世界で生きる人間たちの群像劇”といったほうがしっくりくるかもしれない。
そして何より、ブラピのかっこよさに、惚れ直す覚悟を持って観てほしい。
• 世界へ入り込む度:★★★★☆
• 感情ゆさぶられ度:★★★★☆
• エネルギー消費度:★★★☆☆
• 配信でも観ます度:★★★☆☆
• 人にすすめたい度:★★★☆☆
【制作エピソード】
ジョセフ・コシンスキー監督によれば、伝説のドライバー・ソニー役を務めたブラッド・ピットは、F1マシンを実際のコースで操るために通常3〜4カ月の厳しいトレーニングが必要とされる中、初期段階から優れたドライビングセンスを発揮していたという。監督はその理由について、日頃からオートバイに乗っていた経験が、車の運転感覚にも好影響を与えたのではないかと語っている。
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