「製作費280億円のF1映画、見ない選択は「ない」」映画「F1(R) エフワン」 ごまさんの映画レビュー(感想・評価)
製作費280億円のF1映画、見ない選択は「ない」
スピードとメッセージが交差する3時間
F1を題材にした映画と聞けば、誰もが思い浮かべるのは、
あの迫力のオンボードカメラ、そして息を呑むようなクラッシュシーン。
そう、ある程度は「予想できる」世界です。
でもこの作品、予想を超えてきます。
F1は権利関係が非常に厳しく、映像化には莫大な費用がかかると言われています。
そんな中、この映画はなんと280億円という驚異的な予算で制作。
「お金をかければ良い映画ができる」とは限りませんが、
F1のリアルを描くには、それだけの覚悟が必要だったのでしょう。
そしてその覚悟は、映像のクオリティだけでなく、物語にも宿っています。
観ていて少し驚いたのが、黒人ドライバーがチームメイトとして登場すること。
さらに、ピットクルーに女性がいるシーンも。
現実のF1では、黒人ドライバーはルイス・ハミルトンただ一人。
女性のピットクルーも、ほとんど見かけません。
だからこそ、「なぜ?」という違和感が生まれます。
でも調べてみると、納得の理由が。
この映画には、ルイス・ハミルトン本人が技術監修として参加しているのです。
彼はF1界で多様性を推進する活動を続けており、
映画の中でも「あるべき姿」を描こうとしたのだとか。
つまりこの作品は、ただのレース映画ではなく、
リアルと理想の間にある“未来”を描いた作品なのです。
3時間という長尺ながら、スリリングな展開と美しい映像に引き込まれます。
F1ファンはもちろん、そうでない人にも響くメッセージが込められた一本。
「F1って、こんなに深いんだ」
そんな気づきが得られる映画です。
ぜひ劇場で、体感してみてください。