「割愛出来ぬ自己愛。」渇愛 やさんの映画レビュー(感想・評価)
割愛出来ぬ自己愛。
石川野乃花氏の鏡越しの自問自答に心が震えた。
出来る見込みのない映画を夢見て12年間シコリ倒した監督、俳優たちはそれにすがる信者だ。自主制作という民間療法に着いて行くしかない構図は、作中施設と利用者の関係に似ている。
うんこ出さなきゃの前に、作品が無きゃ食っていけない映画業界で、情熱頼みの一発勝負。
完パケは美しいけれど、カットされた部分を想像すると早紀のSOSは台詞だけでは無い気がしてくる。
心と身体の対話が噛み合わないジレンマに魂が疲弊していく摂食障害という病。
社会は、当事者の見えないト書きにこそ気付かなければならない。
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