愛されなくても別にのレビュー・感想・評価
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毒親に苦しむ子どもへの渾身のエール!
予告を目にしなかったので、内容は全く知らず、他の作品を観に行ったついでに時間があったので鑑賞してきました。客入りは芳しくなかったですが、現代の親子関係を考えさせる見応えのある作品でした。
ストーリーは、ろくに働かない母親に代わって学費と生活費を稼ぐために学校以外のほとんどの時間をコンビニで働いていた大学生・宮田陽彩が、バイト仲間で同級生の江永雅の不幸な身の上を知り、雅に他の誰とも違う何かを感じるようになった陽彩は家を飛び出して雅と同居を始め、二人の人生はこれまでとは違うものになっていくというもの。
家族、中でも母親に恵まれなかった二人の女性の物語が切なく悲しいです。子どもからすれば選ぶことも、切り捨てることもできない親。ある親は自分の代わりに家事と家計を押し付け、ある親は性接待を強要し、まるで自分の奴隷か所有物のような扱いぶりを見せます。
物語は陽彩を中心に描かれ、ここに雅が大きく絡むので、この二人にスポットが当たりがちですが、実際にはここに三人目の被害者・木村水宝石が絡みます。陽彩たちとは違って恵まれた家庭に育った大学生ではありますが、彼女もまた過干渉な毒親に苦しめられています。経済的に裕福な家庭でも、親が無自覚に子どもを追い込むことがありうることを描いています。
これらどの家庭にも共通しているのが、親からの「愛してる」という言葉。恐らくここに嘘はないのでしょう。しかし、親としての責任を果たすことなく発せられたこの言葉は、無責任な自分を許し、見捨てないでほしいと訴えるだけのわがままな言い訳にしか聞こえません。もはや呪縛です。
そんな毒親をもつ二人が水族館の水槽を好んで眺めていたのは、狭い空間に閉じ込められ、その中で泳ぎ続けるしかない魚に自分たちの境遇を重ねていたからでしょうか。そして、いつか広い海を自由に泳ぎ回ることを夢見ていたのでしょうか。
江永に出会い、木村に出会い、心の中で人知れず不幸のマウント合戦をしていた陽彩が、ついにその呪縛を断ち、母親に家族終了を突きつけるシーンが爽快です。”我が身の不幸を嘆くことなく、誰かに愛されなくても生きていける”という陽彩の強い宣言のようでもあり、毒親に苦しむ子どもたちへの渾身のエールのようにも感じます。自分の人生を取り戻した彼女の未来が明るいものであってほしいと願います。
主演は南沙良さんで、親の虐待により心が麻痺したような陽彩を好演しています。脇を固めるのは、馬場ふみかさん、本田望結さん、基俊介さん、河井青葉さんら。馬場ふみかさんは、メディックの頃から好きな女優さんの一人で、やさぐれた役や裏のある役が本当によく似合うのですが、できればもっと明るく華のある役を演じてほしいです。
クソ親だらけ
大学生の宮田陽彩は浪費家の母親のため学費と家計費を稼ぐ必要があり、学校以外のほとんどの時間をアルバイトに費やしていた。母親から、愛している、という言葉で縛られ、人生に期待することなく、良い就職先得るため大学に通うだけの日常を生きていた。そんなある日、同じコンビニで働く派手な見た目の同級生・江永雅の父親が殺人犯だという噂を聞いた。他の誰かと普通の関係を築けないと思っていた宮田と江永は一緒に住むことになり・・・そんな話。
宮田の母親は大学生の娘に学費も生活費も出してやらず、さらに家に月に8万円も入れさせ、後でわかるが、別れた父親から同じく月に8万円養育費を貰ってて、自分は酒飲んで男と遊ぶクソ親。
江永の母親は父からレイプされてた娘を助けず、離婚後はその娘に売春を強要したクソ親。
木村の母親は2時間おきに携帯に電話してきて、週末には福岡から東京へ様子をみに来る過干渉のクソ親。
ホント、クソ親だらけでゲンナリした。
宮田役の南沙良、江永役の馬場ふみかの2人は感情移入してしまうほど上手かった。
木村役の本田望結は子役の時から芸歴長いんだから、もう少し・・・かなぁ。精神的に参ってる設定なら、もう少しダイエットして撮影に臨んでは?デブ過ぎて気の毒に思えない。で、カルトに走るのもバカらしいし。
南沙良と馬場ふみかが良いので、満足感はある。
南沙良すごいな
南沙良すごいね。
《この子は邪悪》でもすごいと思ったけど、今作はなんか別格ですごいと思った。
スクリーンに居てくれれば、それでいいね。
馬場ふみかは不思議な役者さんだよね。
なんか単に「胸が大きい女の人」って感じになったかなと思ったんだけど、役者さんとして存在感出してくるね。
今作も良かった。途中でちょっと「あれ、河井青葉の演技に似てる?」と思ったけど、まあいいや。
説明をどんどん省いて、キャラ起てと状況説明してくるのうまいね。
それで南沙良と馬場ふみかが置かれた厳しい状況が伝わってくるの。
本田望結も入ってやっていって、色んな感情が自然に流れて面白いんだよね。
それで宗教施設からの帰り道で、南沙良と本田望結がぶつかるんだけど、この辺がヌルい感じだったな。
ずっと描写でやってきたのに、テーマを叫んじゃう感じだったんだよね。
原作だとどうなってるんだろう。
「前を向いていこう」っていうラストだけど、二人が置かれた状況を考えるとあっさりと「良かったね」とは言えない気分だね。
一瞬、ぬるく感じる瞬間があったとはいえ、微妙なところを描ききった良い作品だったよ。
白飛びっぽい画面
暗い話なんだけど、三人の演技で楽しく見れたかな(^-^)
いやぁ~、面白かったです。。
見終わってタイトルの意味もしっかり分かって、馬場ふみか、南沙良の主人公の二人の女の子も凄く良かった。
そして、もう一人の同級生の本田望結も良い感じでした。
二人の女の子がバイト先で仲良くなる。
もう一人の同級生も含めて、親に恵まれない三人。
暗い話なんだけど、三人の演技で楽しく見れたかな(^-^)
この映画を見に行ったのは馬場ふみかが出ていたのが理由。
『恋は光』を見て以来、なんとなく彼女は追いかけてました。
彼女が出ていなかったら絶対に見に行っていないですね。
今回の映画も、笑顔は無く何を考えているか分からない表情。
この顔が彼女の魅力でしょう。。
劇場では、『ひとりぼっちじゃない』、『コーポ・ア・コーポ』に続いての見た馬場ふみか主演の映画。
テレビとかだとあまり感じないけど、映画だと良いんですよね彼女。
色気もあるし、雰囲気もあるし、彼女独自の神秘的な感じもするし。。
良い女優さんになってきたと思います。
南沙良、本田望結も良かったですけどね。
最近見た『ふたりソロキャンプ』でヒロイン役を演じていた本田望結は、こういう役をやっていくべきだと思う。
演技力はあるんだから、かわいい系ではなく演技派女優として頑張ってほしい。。
こういう良い邦画に出会うと嬉しくなりますね。
ホント、近年の日本映画はレベルが上がっていると思います!
ギリギリ。
浪費癖の母を持ち金に苦労しながらもバイト掛け持ちで真面目に生きる宮田陽彩と、父親に犯され、その父親が殺人犯、金に困れば体売ればいいでしょと考えるコンビニバイトが一緒の江永雅と、過保護な母親を持ち宗教にハマる木村水宝石の話。
貯金してる金を使い込まれ、幼い頃に居なくなった父から養育費も貰ってたと知り行く当てもなく家を出る宮田だが、同大学でバイト先が一緒の江永に電話すれば快くウチ来る?と言われ2人の生活が始まるが…。
傷の舐め合いとは違うけれど、似たような境遇で生きてるからこそ解りあえたり、親の愛情受けず生きてきた女子2人と、親に愛されすぎてその愛情を鬱陶しく感じる女子大生3人の不幸度の差。
真面目女子とヤンチャ女子の絶妙なバランス生活、金、メンタルとギリギリで生きながらも日々の生活、宮田の誕生日を大切にし祝おうとする江永の姿も良かった。いつものカルピス割りでね!
生きていくのは大変だ‼️❓生きてるだけで偉いんだ‼️❓
南沙良は大変な環境の映画が多いね、田中圭主演の女子高生に殺されたい、とか。親が酷いと死にたくなるよね、もしくは殺したい。でも、リセット出来ないから、より良く生きていくしか無いんだ。この映画の環境はまだマシだ、馬場ふみかの人殺しの父親と売りを強制する母は、境界線上かな。私も親から大金搾り取られたけど、その金で弟は国立大教授になるんだから良しとしよう、両親が死んだ時はほつとした、殺さずに済んだ。苦しい時は、宗教に縋らず、他人に親切にして自分は最後にしてたらそれだけで幸福になれるよ、経験談。南沙良と馬場ふみかのもがいても生きる姿は清々しい、酷い生き様だが、なぜだか最後は心が浮き立ち、晴れ晴れとした気持ちになった、ありがとうございました😊😭
ごぼうvsびっくり目(可愛い)vsガチムチ
毒親・親ガチャって言葉は嫌いです。
ここ数年、「毒親」や「親ガチャ」などの言葉をよく見かけますが、親の立場からするととても嫌な言葉ですね。昭和の時代にはなかった言葉で、正直言えば昭和の時代の親のほうが現在よりもよほど「毒親」が多かったとも思いますが。。。
平成の30年間で貧富の差は広がり、「一億総中流」などという言葉がいまでは夢のようにも思います。本田望結演じた女の子のように親が裕福だからいいってわけでもないようで、金持ちも貧乏人もそれぞれの子どもには悩みはあるようです。
ただ、もちろん本人たちの努力によることが大きいのですが、この映画の女子大生3人はみんな大学に通えてるっていうのが昭和の時代とは大きく異なるようです。
南沙良演じるヒロインの毒親役の 河井青葉は「あんのこと」に続いての毒親役で、彼女の代名詞にならないことを祈ります(笑)
家族とは?を問うガールズムービーの新境地
全く情報を入れずに鑑賞。
坂元裕吾監督によるガールズムービー的な作品かと
思っていたら、真逆の社会問題に鋭く切り込んだ作品で
正直、面食らった。でも、それは良い意味で。
冒頭からの宮田(南沙良)の母親(河井青葉)による
経済的・精神的な虐待にウンザリ😩
愛してるという表層だけの薄っぺらいセリフには宮田も
私も閉口レベルだ。それに気づかない母親はもはや家族で
はないと思う。
宮田を窮地から救う江永(馬場ふみか)をキツい家族との
過去を背負っているし、命を狙われたりする。
江永を救う宮田の存在が救いになるし、
この二人が二人にとっての家族になっていく姿も見事に
描いている。
本田望結演じる木村も宇宙様という宗教にどハマりし、
その背景には母親による過保護があり、
ある意味、彼女も宮田と江永に救われる。
ラスト近くで宮田が母親に放った一言、
「家族やめます」
は、強烈に母親に突き刺さったに違いない。
終始重苦しい雰囲気の作品ではあったが、
ラストの宮田と江永のショットには救われた思いで、
良い鑑賞後感であった。
ガールズムービーの新境地を見た気がする。
重苦しいテーマだったけど😒
現代社会の問題点をこれでもかっていうくらいに鋭く、そしてリアリティにも富んでいるから、最後まで飽きることなく、観ることができました☺️
この作品を観ていると、少子化、少子化と叫ばれる昨今ではありますが、経済的な理由や子供が嫌いな大人、子育てに向いていない大人が無理して子供を作っても、親子共々不幸になるだけだから、やめれってつくづく思います😌
まだ、本人かどうか確定ではないみたいですが、自宅から死体が発見された某女優さんもある意味、毒親の犠牲者だし、ホントにつくづくそう思います😌
まあ、そうすると、未来がジジババだけの世の中になってしまって、若者が疲弊する一方ですし、それを避ける意味でも、自分も含めて、子孫がいない大人は、誰にも迷惑かけることなく、自分が希望した時に安らかに旅立てる世の中が早く来てほしいと切に願わずにはいられません😞
それにしても、南沙良のお母さん役の女優さんは「あんのこと」でも河合優実のお母さん役を演じていて、いよいよ毒親の女王の地位を確立しつつあるなと思いました😁
かなりストレートな物語
三者三様の毒親からの解放
同じ大学に通う宮田(南沙良さん)、江永(馬場ふみかさん)、木村(本田望結さん)。それぞれタイプは異なれど、毒親のもとで育った共通点がある。この三人の出会いと衝突、交流を通じて毒親からの自立が描かれていく。
宮田は毎日コンビニで夜勤し家計を支えている。母親は恋人を連れ込んで昼間から飲み、臆面もなく情事に励む。まるで映画「あんのこと」だが、宮田はストレスがたまると薬物ではなくトイレの芳香剤に依存している。母親の世話や家事から逃れられない堅気さを象徴しているようだ。
そんな宮田は同じコンビニのバイトで江永に出会う。江永の親は交通事故で死者を出し、江永はその遺族から命を狙われている。父に性的に虐待され、母に買春を勧められた江永の不幸度合いは宮田の比ではない。
二人が互いの境遇を分かち合うなか、登場するのが木村だ。過保護の親から逃れるため新興宗教にはまる木村のことが気になり、宮田と江永は一緒に教祖様に会いに行く。
宮田にとって木村は、「恵まれた大学生」の代表のように映るのだろう、その程度の不幸で宗教にはまっている場合ではないと感情を爆発させる。しかし木村が「不幸の大きさを比べないで」と言い返すのも正論だ。江永も、実は不幸自慢に陥っている宮田を静かに諭す。
宮田が木村を気にするもう一つの理由は、「内心では疑っているのに宗教(母親)にすがりついている」のは同じだから。この衝突を通じて、宮田がひそかに抱えている母親への呪縛が解かれていく。
三者三様の不幸が互いに照らしあう中で、江永が抱える虚無や、その反面での達観した境地、包容力は魅力的だ。「生まれたときからクソな人生」とうそぶく江永の横に座り、たたえる宮田。江永はわりと月並みな褒め言葉に飢えているのだ。
終盤、夏の暑そうな江永の家で、交互に映される二人の飾り気のない寝顔。素の状態を見せ合えるようになった二人の関係を表しているようだ。
前半は、宮田のヤングケアラーぶりの描き方があまりに生真面目で、映画になかなか入り込めなかった。閉塞感を描くためでもあるのだろうか。中盤以降はやはり宗教の話がよいアクセントとなり物語が動き出した。
教祖宅の呼び鈴を鳴らし「73番、木村です」とあいさつするのに対し、江永が「刑務所かよ」と茶々を入れる。このように、人物が自然に動き出すような「遊び」がもう少し欲しかった気がする。
愛されなくても“別に”
愛についての作品でありながら、別に。で締めてるのがリアルでいいなと思った。
共依存からの独立と受け取りました。
宮田、江永、木村。
3人それぞれの経験をコンプリートしてしまっている自分は映画作品に対しての純粋な感想としてこれを投稿できない。
それは申し訳なくも思う。
そして、この3人の苦悩が理解しづらい人たちの評価はある意味正しいのだと思う。
わからない人たちにそれを十分に伝えることが出来ていないということだから。
宮田の芳香剤のくだりはリアルに表現したらリスカ、アムカになっただろうなとか、映像作品にするために表現を変えているであろう部分も見受けられた。
(本当に芳香剤で安心する人もいるだろうけど)
木村の苦しさは分かりづらい人が多いかもしれない。
外の世界での飛び方を教われずに、それどころか挑戦を何度も邪魔されては鳥籠の中に戻され、大切に(笑)育てられたペットのようなもん、なんだと思う。
遊んでる最中に親が出張ってくる子に友達なんかできるわけないし、友達もできなくて親に囲われてたら社会性なんてなんも育たないんだよな。この手の親はそもそも親本人に友達がいないからずれているし。
社会動物として致命的な欠陥だからこそ、コスモ様に縋ってしまったのだろう。
過干渉の猛毒はこういうところにある。いわゆる無敵の人の親に多い。
題材的にはこの作品が評価されてしまうことが悲しくもある。一定の共感を生んでしまっている社会であるということだと思うから。
しかしながら各俳優の演技もよかったと思うし、題材だけで評価されているとも思わない。
最初は堀口って必要か?モブでよくないか?と思っていたけど、舞台装置として機能していたようにも思う。
自分はこの作品が好きです。
見てよかった。
「愛されること」を、否定したいのか肯定したいのかがよく分からない
毒親に虐げられてきた女子大生たちの物語なのだが、母親の復讐のために登場人物の1人を殺そうとする男が出てきたり、愛されることの大切さを説く新興宗教の教祖様が出てきたりと、どうにも話が散漫で、なかなか焦点が定まらない。
台詞の中には、「愛されることは呪い」だとか、「不幸比べをしていると自ら不幸になる」だとか、「愛されなくても幸せに暮らせればいい」だとかの印象的なフレーズがあるものの、どれも表面をなぞるだけで、深みが感じられないのは残念としか言いようがない。
母親から金銭的に搾取されている主人公や、過干渉の母親によって支配されている同級生については、「確かに、こんなことで苦労している若者はいるのだろうな」と思えるのだが、父親が飲酒ひき逃げ犯で、母親に売春を強いられたことのある友人の境遇は別格で、彼女の両親だけが画面上に姿を現さなかったこともあり、リアリティを感じることが難しかった。しかも、そんな彼女が、働きもせずに、1人で大学に通っているという設定は、果たして必要だったのだろうかという疑問も残る。
タイトルや、物語の経緯からは、「愛されなければならないという強迫観念から解放されよう」みたいなことがテーマなのかとも思ったが、その割には、深い愛情で結ばれた主人公と友人のバディムービーになっていて、「人は一人では生きられない」みたいなメッセージが感じられるラストからも、結局、「愛されること」を、否定したいのか肯定したいのかが、よく分からなかった。
【”不幸中毒。けれど毒親に育てられても生きているだけで偉い。”今作は毒親に育てられたが故に死んだように生きていた女子大生二人が偶々出会った事で自分らしく生きる道を見つける希望溢れる再生の物語である。】
■遊ぶ時間も遊ぶ金もない。毒母(河井青葉)のために学費のため、家に月8万を入れるため、日夜バイトに明け暮れる大学生・宮田陽彩(南沙良)。
浪費家で昼間から酒をかっくらい、男を連れ込む母を抱え、友達もおらず、ただひたすら笑顔無くバイトシフトをギリギリまで入れて生きる陽彩。
そんな彼女の日常は、彼女よりも遥かに悲惨な毒親による人生を送っていた同級生・江永雅(馬場ふみか)と出会ったことで徐々に変化して行くのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤の展開は観ていてキツイ。宮田陽彩はいつ寝ているのか分からないくらいに働き、大学に行く笑顔無き生活を送っている。
そして、浪費家で昼間から酒をかっくらい、男を連れ込む母に対し、毎月8万円を入れているのである。
ー 毒母を演じている河井若葉さんは、「あんのこと」でも同様の毒母を演じていたが、実はとても心優しき女性であるらしい。今作でも後半、宮田陽彩に”ゴメンね”と言う姿が説得力があるのだな。
序に言うと、先天的に子供に対し毒を吐いてしまう親がいる事も事実らしい。あんまり、信じたくはないけどね。-
・陽彩が母と別れた父が養育費を毎月入れていた事を知る雨の日のシーン。男としては妻と別れたとはいえもっとしっかり管理しろよ!と思いたくなるのだが、ラスト近くでの父から20歳の誕生日を迎えた陽彩に送られたラインの”生れて来てくれて有難う”と言うメッセージは、チョイ救われたな。
■今作では江永雅を演じた馬場ふみかさんの演技が図抜けていたと思うな。酔っ払い運転で、人を轢き殺して逃げている父、その為に彼女は被害者の息子から二度殺されそうになるし、学内では”殺人犯の子”というレッテルを貼られて生きている。
そして、父と別れた母からは身体を売れと言われていた事も凄い。だが、彼女は生きているのである。例え、水族館の水槽の前で一人閉館時間まで佇み、涙を流していても。
・陽彩と雅の出会いのきっかけとなった、過干渉な母親から逃げるために、新興宗教に嵌る同じく友達のいない木村さん(本田望結)が、観ていて”一番危うい”と私は思ったかな。
今作で新興宗教団体に陽彩と雅を連れて行くシーン。陽彩は、女性教祖様の言葉にぐらつくのだが、雅は決然と教祖様に対し、悪態を付くシーンは爽快だったな。雅が地獄を見て、経験して育って来た事が良く分かるシーンであり、逆に劇中でも言われるように、母親から学費、住居費全てを送って貰っている木村さんが一番危ういと思ったのである。
九州から乗り込んできた母により、木村さんを連れて陽彩と雅は、木村さんの母が運転する車で教団を逃げ出すのだが、木村さんは途中でその車を降りてしまうシーン。彼女は教団に戻ったのだろうな。新興宗教団体って、ご存じのように心に空虚を抱える人が、嵌るモノだが、木村さんは嵌り、陽彩も嵌りそうになるが雅のお陰で、嵌らないのである。
雅の強さを表したシーンでもある。
<そして、陽彩と雅は長年の友人の様に、アパートの一室で同居生活を続けるのである。最早親友の様にね。
陽彩の20歳の誕生日のシーンも良かったな。二人はアルバイト先のコンビニで、酒を買い、明るい同僚の男性から笑顔で”年齢確認をお願いします。”と二人がそれまで何度もお客さんに言っていた言葉を言われ,確認ボタンを押して二人で仲良く夜の道を帰るのである。
そこに入った父からのラインメッセージ”生れて来てくれて有難う”は、娘を持つ男としては実は、チョイ沁みたシーンでありました。
今作は、毒親に育てられながら、死んだように生きていた女子大生二人が出会った事で、自分らしく生きる道を見つける、希望溢れる再生の物語なのである。>
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