「【ドツボの時に拾う神がいてくれること】」愛されなくても別に abuさんの映画レビュー(感想・評価)
【ドツボの時に拾う神がいてくれること】
毒親、最低、ドツボ、不運……。
最悪を測ったらキリがないのかもしれない。
「それぐらいの不幸なんて大したことない」
――そう言う人は多い。
けれど、その人にとっての痛みはいつだって100%で、他人には計れない。
不幸を競うことにも、理解してもらうことにも意味はない。
この映画は、その一点を丁寧に描いている。
信仰でも、親でも救えない痛みがある。
逃げ出した先で、ほんの少しでも“助け合える誰か”に出会えること。
それがどれほど人生において大切なことかを、静かに教えてくれる。
毒親を断罪するでもなく、カタルシスで終わるわけでもない。
登場人物たちが、ただそれぞれの人生を歩き出す――
その一瞬を切り取ったような、切なくて儚く、美しい物語だった。
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