劇場公開日 2025年7月4日

  • 予告編を見る

「馬場ふみかちゃん最高〜!」愛されなくても別に ゆみなさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 馬場ふみかちゃん最高〜!

2025年10月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

呪い。

簡単なあらすじ。大学生の陽彩(南 沙良)は、浪費家の母親に学費と家計を渡すため学校以外のほとんどの時間バイトに明け暮れている。男を連れ込み家事もしない母親の『愛している』という言葉で縛られ、絶望のなかで人生に期待することなく生きている。
そんなある日、同じバイト先で働く派手な見た目の同級生、雅(馬場ふみか)の父親が殺人犯だという噂を耳にして、他の誰かと分かり合うことはできないと思っていた陽彩と雅の距離が少しずつ近付いていく。

いや、これ私は好きだった!
まず馬場ふみかちゃんがめちゃくちゃ良かったよ。当たり役かと思う。かっこよかった。

前半はもう見ていて苦しくてね…大学生の陽彩の日常は学校バイト家事で覆い尽くされていて、全然ない睡眠時間まで母親のメシの為に起こされて、作ったものは食わずに出かけていく母親見て後ろから刺してやろうかと思いました(言葉が悪いですねごめんなさい)。娘から金巻き上げて家に男連れ込んでセックスして、とにかくやりたい放題なのにいちいち『陽彩、愛してる』って言うんですよ。マジで愛してるが呪いの言葉すぎて笑えない。

陽彩の同級生でコンビニバイトが一緒の雅は、バイト中もイヤホンつけたままだったり男にだらしない印象で、始めは無気力女子っぼく映るんだけど、父親が殺人犯って言う噂から陽彩は彼女に興味を持つんですよね。

陽彩は母親の性行為などを目にしているからか誰かと触れ合う事もできなくて、雅は家庭環境から性行為を一種の道具として捉えているような気がする。正反対の2人を結びつけたものが不幸であり、初めて穏やかな感情をもたらすのが2人で過ごす時間だと言うのは感慨深い。雅が『女じゃなくて人間としてみてくれる』って言う場面があるんだけど、いかに今まで女として性搾取されてきたのかと思うと悲しかった。あと陽彩は雅が自分より不幸だから分かり合えた部分もあるかと思うんだけど、物語の中に出てくる『不幸を比べてはいけない』って言葉も響いたな。

愛を振りかざして子供を都合良く使う大人たちの中で、雅の『愛されなくても別に』と言い放つ強さは陽彩に希望を与えたと思うし、血の繋がりや愛が無くても、寄り添う誰かが居れば生きていけるって思わせてくれるラストがとても良かった。いい映画。

コメントする
ゆみな