「Sour」愛されなくても別に ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Sour
ユーフォの武田綾乃先生の描く物語という事で原作を読む前に映画を鑑賞。
タイトル通りの感じで、それぞれの事情で親に愛されなかった大学生たちを描いており、ユーフォの爽やかさと熱とはまた違った側面を観れて衝撃的でした。
主人公・宮田陽彩の母は浪費家で男は連れ込むわ、娘から生活費をたんまりせびるわ、家事全般を陽彩に全任せとかいうクソみたい母親で共感の余地は一切ありません。
そんな母親の言いなりになっていた陽彩は生活はほとんどバイト三昧、大学でも荒んでいたりとで大変な状況の中で、同じバイト先の江永雅とふとしかきっかけで話し合うことによって関係性が深まっていくという、特殊な友情ものとして積み重なっていくものがとても良かったです。
江永は父親が轢き逃げで人を殺しており、そのまま逃亡している噂が広がり、殺人犯の娘扱いされているという陽彩とはまた違う境遇の毒親がおり、あっけらかんとしながらも中々に重いものを抱えていながら、陽彩の事をしっかり見てくれていて愛おしかったです。
陽彩がノートを見せてくれと頼んだ木村さんもまた違った事情で親に悩んでおり、過保護すぎるという感じで、一見放置や金銭面の悩みじゃないならまだマシじゃない?とは思いつつも、毎週のように家を訪ねてきたり、電話しまくってきたりとかされたら流石にナイーブになっちまうなとは思いました。
自分の決断で家を飛び出し、陽彩の電話によりなんとか助かった江永の家に転がり込んでヌルッと始まる同居生活は極限状態から抜け出した陽彩にとってはオアシスみたいなもんなんだろうなと嬉しくなりました。
宗教にのめり込んでしまっている木村さんが崇拝してる宗教家の元に行って、どう考えても胡散臭いのが出てきて、かなり見透かされた陽彩はコロッと落ちそうになる中で江永がズバッと飛び出て、宗教家を蹴っ飛ばす勢いで反論していく流れは気持ち良かったです。
宗教家が最後の最後に火を注いでいったので、そこに中指を突き立てたのはファインプレーでした。
この流れを見てもやっぱ宗教にのめり込む理由は分からんな〜となったり。
不幸中毒、不幸比べをナチュラルにやってしまっている陽彩は生まれついた環境が染みついちゃっているんだろうなと思いましたし、それぞれの不幸を比べてはいけないし見下しちゃいけないという木村さんの発言にも納得できるものがありましたし、自分の方が不幸だ!と優越感に浸りたくなる陽彩の気持ちも分からんでもないとなったりしました。
不幸を分かりあうって相当むずいんだろうなとなりました。
終盤は抱えてた問題を一気に畳み掛けていくので駆け足感は否めませんが、誰かを思いやる心が生まれた陽彩の成長は感じられましたし、母親へのカウンターパンチを喰らわせたりとスカッとするところも多くあって個人的には大満足でした。
お酒を飲み交わしながら帰路に着くエンドロールがとても爽やかで、これからもやんややんやしながら2人でまったり暮らしていってくれたらなと思う終わり方で良かったです。
生まれた環境って改めて大事だし、人生左右してしまうんだなとなりました。
原作も読んでみようと思います。
鑑賞日 7/9
鑑賞時間 17:15〜19:15
失礼しますm(__)m
江永の中指!良かったですね!
木村は母親から逃げる為に宗教にハマり、ソコに救いを求めていたのに、あの教祖、宮田江永に「親を大切に」なんてよく言えたなと思いました。
胡散臭さしか感じませんが、それでもハマってしまう人がいるのは怖い事ですね(°▽°)
3人が自分の人生を歩んでいけますようにと思いました。