RRR ビハインド&ビヨンドのレビュー・感想・評価
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最新の映画作りと昔気質の絶対君主的監督術が融合
本編『RRR』を監督したラージャマウリが、メイキングドキュメンタリーまで監督してしまうという、結構珍しいパターンだと思う。なので客観的に俯瞰で見るというよりも、スタッフ、キャストのコメントも交えつつ、大掛かりな見せ場となったシーンの舞台裏を次々と見せていく解説編で、一昔前ならDVD-BOXの特典ディスクになっていた感ある。
ある意味でクライマックスの連続みたいな本編の中の、特に目立つシーンを数珠つなぎにしたような構成になので、撮影現場の大変さに驚かされるだけでなく、本編のいい感じのダイジェストになっていて『RRR』を再見したような気持ちになれるのもお得。
しかしラージャマウリがいかに自分にも周りにも高いハードルを課して、コダワリを追求しているのがわかり、ある意味で昔ながらの絶対君主的な映画監督として、もう日本やハリウッドではありえないようなタイプなのではないか。事前にシュミレーションを繰り返して必要な絵を決めたうえで撮影に臨むスタイルは昨今のハリウッド大作に近いが、やはり人間の熱量みたいなものは映画に宿るのだなと思ったりした。
総ての道はアクションに通ず。 インドの映画力は世界一ィィィ!
植民地時代のインドを舞台に、友情と使命の狭間で揺れる2人の闘士、ビームとラーマの活躍を描いたアクション映画『RRR』(2022)の制作舞台裏に迫るドキュメンタリー。
監督はS・S・ラージャマウリ。
○出演
S・S・ラージャマウリ…『RRR』監督/脚本。
ラーム・チャラン…A・ラーマ・ラージュ役。
2022年、その圧倒的な面白さで世界を席巻したインド映画『RRR』。全世界興行収入は約130億ルピー(200億円くらい?)で、これはインド映画史上第4位の興行収入記録とされている。第95回アカデミー賞では歌曲賞を受賞するなど、世界的な評価も高い文句無しの傑作である(ちなみにこの年のアカデミー作品賞は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』である。確かに『エブエブ』は良い作品だが、『RRR』ほどの熱烈なブームを巻き起こしたのかと問われると…)。
本作はS・S・ラージャマウリ監督や主演を務めたN・T・R・ラオ・ジュニア&ラーム・チャラン、作曲家M・M・キーラヴァーニといった主要俳優やスタッフに焦点を当て、彼らが如何にして『RRR』を作り上げたのかを映し出して行く。
ちなみに、Netflixでは『モダン・マスターズ:S・S・ラージャマウリ』(2024)という作品が配信されているが、これはラージャマウリの初期から現在に至るまでのキャリアを振り返るというドキュメンタリーである。本作と併せて鑑賞すれば、より『RRR』の深みを覗く事が出来るでしょう。「監督は頭がおかしい」とぼやくNTRや、「撮影がキツすぎて、ナートゥを聴くと蕁麻疹が出るようになっちゃった」と嘆くチャラン兄貴の姿は必見です。
鑑賞して思うのは、インド映画界の元気の良さ。エキストラの人数や火薬量、CGのクオリティーなどは日本映画のそれを遥かに上回る。
なにより、撮影日数の潤沢さが業界の体力を表しているように思う。コロナ直撃により一時的にストップしていたとは言え、2018年11月から2021年の8月まで、撮影期間が約3年もあったというのは中々に驚く。日本映画なんて2〜3ヶ月くらいしか時間が取れないのに…。
ラージャマウリはキューブリックの様に何度もリテイクを繰り返すことで作品の完成度を高めていくタイプの監督。その拘りゆえ、NTRに掴み掛かられるというピリッとした場面が本作に映し出されていたが、1シーンに15日以上かけるというラージャマウリ流撮影術は、インド映画界の懐の広さがなければ実践出来ない。それによって映画の完成度がここまで高められているのだから、やはり映画には「早い、うまい、安い」の吉野家流は通用しないのだ。
IT大国インドなだけあり、やはりCGの技術は素晴らしい。だが、『RRR』の素晴らしさはそれに驕る事なく、ミニチュア、セット、そして生身のアクションを駆使して映像を作り上げているところにある。
特にNTRとチャラン兄貴の体の張りようは凄まじい。2人の出会いのシーン。水中で固い握手を交わすあの印象的な場面を、まさか本当に演じていたとはっ!!
近松門左衛門曰く、芸は「虚実皮膜」である。嘘と真実の間にこそ、芸術の真髄は姿を見せる。
猛獣が大暴走するという大嘘をCGで描き込みながら、逃げ惑う人々の視線や挙動には細心の注意を払う。セットやエキストラはCGで水増しするが、肉体改造やシンクロダンス、二心一体の肩車合体などは徹底的に生身の役者に叩き込む。大嘘は付くが小嘘は許さない、その姿勢が『RRR』の持つ奇妙な説得力の秘密なのだと思う。
ラーマvs群集、ビームvs虎、運命の出会い、ナートゥダンス、英領事館への殴り込み、鞭打ち、肩車、ラーマ覚醒、そしてエンディングと、各名場面の裏側を映画の最初から順番に解説していくというシンプルなスタイルで、『RRR』のベストアルバムとしても機能している。その為、「メイキングになんか興味ないよ🥱」なんていうライトなファンでも、本作を観ればあの『RRR』の感動を再び味わう事が出来るはず。
もし3時間というランタイムを理由に鑑賞を躊躇っているという人が身近にいれば、いきなり今作から布教してみるというのも一つの手かも知れない。
製作陣の人柄を知る事が出来るのも今作の鑑賞ポイント。ラージャマウリ監督の映画に向き合う姿勢とキラキラとした瞳は、彼が幼少時代から憧れているというスピルバーグ監督にそっくり。アカデミー賞という晴れやかな舞台でスピルバーグやジェームズ・キャメロンと言葉を交わすラージャマウリ監督の姿を見て、この映画が世界的に評価されて本当に良かったとつくづく思えた。
印象的だったのは作曲家のキーラヴァーニさん。彼がアカデミー会場でカーペンターズの「トップ・オブ・ザ・ワールド」(1972)の替え歌を歌った事は知っていたが、まさか作曲したリチャード・カーペンター本人がそのアンサーソングを歌っていたとは!その事を語るキーラヴァーニさんの感極まった表情に、こちらまでもらい泣き😭
映画の制作現場にはハラスメントが蔓延しているというイメージがあるが、ラージャマウリ組からはその様な気配が全く感じられない。基本的に親族で構成されているからだろうか?
とにかく、製作陣や俳優陣の面々の人柄の良さに、ほっこりする事が出来ました。映画を作るならこういう現場で働きたいっ!
「映画にメッセージは込めない」と明言するラージャマウリ監督。日々の憂さを晴らすために観るのが映画なのだから、作り手の思想は不要。徹頭徹尾エンターテイメントを貫く、というのが監督の信条である。
だが、だからといって監督の作品がただの空騒ぎではない事は『RRR』を観れば一目瞭然。これは「メッセージを込めない」という監督の強固な意志が、既に1つの断固たる思想として映画に反映されているからに他ならない。
メッセージ性を込めない代わりに描かれるのは、アクション!アクション!!アクション!!!の連続。この怒涛のアクションシーンが、「映画は娯楽である」という監督のメッセージを百の言葉よりも雄弁に語っている様に思う。
とにかくインド映画界のパワー、そしてラージャマウリ率いる凄腕集団の才能を存分に浴びる事が出来た。インドの映画力は世界一ィィィ!できんことはないイイィーーーーーーッ‼︎
こういう環境なら、新たな才能が次々と生まれて来ても不思議ではない。アニメか安い映画しか作れなくなった日本からしてみれば羨ましい限りである。
再び『RRR』の熱を浴びる事が出来たのは嬉しいのだが、気になるのはやはりラージャマウリ監督の新作。
もはや監督の映画力はスピルバーグにも引けを取らないと思うのだが、その撮影スタイルから制作に時間がかかってしまうのがネック。「マハーバーラタ」を題材にした超大作を作ろうとしているという噂もあるが、まだ撮影が始まっていないのだとすると、映画の完成は一体いつになるのやら…。ドキュメンタリーなんて作ってないでサッサと新作に取り掛かってくれよ!…と言いたくなってしまうのは自分だけだろうか?
何にせよ、ラージャマウリ監督は高齢化が進む映画界における最後の期待の星(といっても51歳なんだけど)。これからも応援し続けますので、なんとか国内未上映未配信未ソフト化の過去作を日本でも観られる様にして下さい🙇
「RRR」を映画館で見て本当によかったと再認識させてくれる一作
「RRR」は映画館で見た回数が一番多い映画で、ある意味で完全に満足しきっていたのですが、本作を見て「RRR」の魅力を再認識して改めてスクリーンで見たくなりました。
というか、映画のメイキングを見て泣いたのは初めてです。
アカデミー賞のくだりなどは、映画本編より号泣してたかも。
ありがとうラージャマウリ監督。
ありがとう「RRR」に関わった全てのスタッフ。
そしてこんな映画を日本に届けてくれたツインの方々にも本当に感謝します。
とりあえず「RRR」を上映している映画館を探します。
『RRR』の舞台裏と世界の熱狂を追う
「RRR」が好きな人なら必見のドキュメンタリー映画。 本年度ベスト!
ドキュメンタリーなので点数は付けないけど見所満載な作品だった!
集客率100%も納得。
ドキュメンタリー映画にメイキングシーンも加わり満足度は高め!
本編は2022年の10月に劇場で鑑賞したけど昨日観た事の様に思い出す(笑)
思ったら以上にVFXなどを多用した作品だったって感じ。
本編で観た迫力あるシーンがかなりショボい(笑)
VFXがどれほど凄い技術なのかが良く解る感じだった。
橋の上からビームとラーマが飛び降りるシーンのメイキングがショボい(笑)
トラックから猛獣が飛び出すシーンもショボい(笑)
釘の付いたムチで打たれるシーンも全然痛そうじゃない(笑)
ショボいシーンが満載なんだけど、
本編とメイキング映像の全く違った感じが印象に残る。
そして映画作りの楽しさが伝わってくる感じだった。
本編で迫力あるシーンも、撮影時はコミカルな手法で撮影していたシーンも多め!
その方法が面白い!
圧巻だったのはナートゥダンスのメイキング映像。
2人の踊りがシンクロするまで何度も撮り直したらしいけど完成したシーンはやっぱり凄かった!
インドやアメリカで上映した時の観客が熱すぎる!
スクリーンの前に出てきて観客がナートゥダンスを始めるシーン。
日本では考えられない(笑)
いまだに日本で上映している事にも驚いた。
終盤のアカデミー賞、歌曲賞の授賞式のシーン。
カーペンターズのTop of the Worldの替え歌で感動の涙が出るとは思いませんでした( ´∀`)
そりゃ面白くなるわけだ!
こだわり抜いて、妥協せず、やれることはすべてやり尽くし答えを出す。ここまでやって面白くないわけがない!
インド映画といえばアホみたいに湧き出るエキストラ(失礼)。意外なことに奥の方の人間はCGを使っている場合もあるんですね。それでも参加しているエキストラは数百人!スタントマンも一つのシーンで何十人も出演していると。そのエキストラ達、スタントマン達にも当然衣装、小道具などがあり、撮影前の準備、打ち合わせ、撮った後のチェック等…考えただけでも気が遠くなるような作業の数々。あれだけの数の人間を統率する監督のエネルギーは凄まじいものがあります。
アクションシーンに対する監督の熱が伝わってきます。「何か意味のあるシーンは全てアクションに置き換えている。例えばビームとラーマが出会うシーンは、別にカフェとかで偶然出会ってもいいかもしれない。でも、観客に印象付けるためにはやはりアクションだ!」みたいなこと言っていました。なるほど!物語に引き込まれるわけだ!ラーマとビームの格闘シーンでは実際に殴ってしまうほどの力の入りよう。メイクじゃなく、実際に流れた血もあったとか…😇ヒー
アカデミー賞受賞の瞬間は観てるこっちも嬉しくなっちゃいました。カーペンター氏とのエピソードには涙🥲エエ話や…。日本での反響を取り上げてくれたのも凄く嬉しかった!日本市場を特別に思ってくれてる証拠ですね。監督!まだ上映してますよー!🥳
繰り返される「監督には明確なイメージがある」という言葉。そのイメージを実現させる為に試行錯誤を繰り返し、リテイクに次ぐリテイク!「RRRとは撮り直しのことだ。Retake!Retake!Retake!」みたいなこと言ってましたね(笑)いや、本当、凄まじい熱量で撮影された作品であったことが伝わったし、その熱を共有出来たような気分にさせてくれたのが何より嬉しかったです。😭アリガトウ…
でも!エンディングのメイキングはもっと見たかった!私、ナートゥよりエンディングの方が好きなんよ(笑)
RRR好きなら必見‼️
Top of the worldで泣ける
メイキングなのに泣いちゃったよ
2025年劇場鑑賞116本目。
エンドロール後映像有り。
パンフレットないのでマイナス0.5。
もちろん当時鑑賞して満点つけたRRRのメイキングです。ナートゥの動画は毎日何回も見てたので50回は見てるんじゃないでしょうか。
失礼ながら思ったよりインド映画の印象と違って緻密に作られてるんだな、という感想と、数百人のエキストラを何日も拘束するスケールのでかさ、しかもそういうシーンがいくつもあるという凄さにびっくりでしたが、上映後の反響で日本が出てきたのも嬉しかったですし、アカデミーの後の出来事では自分も泣いてしまったのでそりゃ本人はさぞ泣くだろうな、と思いました。
それでいて本編の内容はほぼ分からないよう作られているのでこっちから観て本編観るのもありかもしれませんね。
ただドキュメンタリーとしてはそこまで工夫されている感じはしませんでした。
70点ぐらい。メイキング
本当は観る気なかったんだけど、高評価ぽかったんで『RRR』のリバイバル上映を観る前に観ました。
監督や他のスタッフ、主演の2人などが、作品について語っています。
興味深かったのは、監督が語ったインド国外の反応について、特にアメリカの反応に驚いたようで、
歓声をあげたり、ダンスを踊るアメリカ人たち、が収められています。
日本での人気にも言及されていて、作品が愛されていくことやロングランについて嬉しそうに語ってます。
ずーっと、やってましたよね(笑)ずーっと(笑)異常なぐらい(笑)すごいロングランだった(笑)
授賞式でスピルバーグやジェームズ・キャメロンと会えたことも喜んでいて、キャメロンと嬉しそうに話す監督の姿も収められています。
他にも、瞳に映る群衆や涙と血が混じることなど細かな演出の部分についてだったり、
ナートゥダンスをシンクロさせることが大変だったとか、橋でロープを使う例のシーンのこととか、裏話タップリです。
『RRR』未鑑賞の方はネタバレに抵触するので、ぜひ『RRR』本編を観てから観て下さい。
メイキング以上の映像がうれしい。
話の順に名場面のメイキングが紹介される。分かりやすくてとても良いが、名場面満載が故、一場面が早口で短い、もっと見たい。
ただ近年配信にシフトしているのでディスク版が売れない。ディスク版の売りの一つがメイキングなどの特典映像。本作は今回劇場公開されているが、本来特典映像の類い。(RRRは3時間あるので1枚に本編しか入らないが)
映画本編で無いし、一般にあるドキュメンタリー映画とも違うので同条件で評価はできない、だから4点を満点として評価します。
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と書いておいて「5.0」になっているのは?
映画メイキングの後に、インド本国のみならずアメリカ日本での熱狂ぶり。そしてアカデミー賞受賞(歌曲賞)での巨匠との交流、さらに’Top of the world’の替え歌とリチャードのアンサー。
インド映画は日本でもアメリカでもまだまだマイナーな存在。その中でリチャードが応えてくれたこと、それだけでも満点を飛び越える快挙なんです。私には。カーペンターズは私の洋楽の、いや音楽を聴くようになった原点なのだから。
やきもち
トップ・オブ・ザ・ワールド
RRRを再度鑑賞。
興奮さめぬまにメイキングの今作を。
RRR面白いはずだわ。
監督を信頼して任せるプロデューサー、ついていくスタッフとキャスト。
もちろん、信頼されるべきビジョンと才能が監督になければならない。ラージャマウリ監督はそれに加えて、妥協しない強い意志と皆んなに慕われる人柄があるんだろう。
ベクトルが同じ方向に向いているのが、このドキュメンタリーからよくわかる。
アカデミー賞の歌曲賞を取ったあたりは泣けてきたし、アメリカと日本での公開・観客の反応には、この映画のスタッフになったみたいに嬉しかった。
このドキュメンタリーを観たら、もう一度RRRを観たくなった。RRRを観たらもう一度このドキュメンタリーを観たくなるだろうな。
貸し切りの鑑賞もったいなかったな。こんなに面白いのに。
やっぱりRRRはサイコーだ!
ラージャマウリ監督が素晴らしい
これ1本で十分に見応えある映画でした。構成がとてもいいので本当に面白く笑ったし泣けた。「RRR」のアクション(スタント&映像&編集)、ダンス(歌曲&振付)、衣装&ヘアメイク、美術、照明と満遍なく上手く焦点が当てられ、スタッフとキャストを統括し力を引き出すラージャマウリ監督の想像力と創造力と統率力と笑顔に圧倒されました。ウクライナでの撮影、コロナ禍による休止期間、様々な言語が話されている国であるインド、と世界共通の問題にも思いを馳せることができました。
北米の「RRR」映画館観客の反応が自由で羨ましかった。でも日本での反響が大きかったことも言及されていて、日本には日本人なりの楽しみ方があるんだ!と嬉しかったです❗️
まんまと術中に
目を見張る大規模なアクション映像と強い駆動力を生む音楽で、2022年に公開されるや日本でも大ヒットし、インド映画初の米アカデミー賞(歌曲賞)を受賞した『RRR』が如何にして撮影されたかを記録したメイキング作品です。
RRRが苦手の人ならば本作を観て「見直した」となる事はないでしょうが、RRR好きの人ならば間違いなく皆、「あのシーンはこうして撮っていたのか」「えっ、あれはCGではなく実写だったのかぁ」と唸らされ、最後には胸が熱くなること請け合いです。そして、またRRRが観たくなってしまいます。そんなファンを目当てに、本作公開に合わせてRRRもリバイバル上映されているんですよね。まんまと術中にはまるのは悔しぃけど、やっぱりまた観てしまいそうだなぁ。
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