「子供たちの宇宙」ふつうの子ども ミドレンジヤーさんの映画レビュー(感想・評価)
子供たちの宇宙
公開最終日に滑り込んで観賞。
そもそもは「人間のクズ」がいっぱい出てくるドラマが好きなんだけど、今回は逆。
なんだか、どこか歪んでたり打算的だったりもするけど、自分なりにそこには「そうありたい」という前向き思いがあったりもする。
(この先、多少のネタバレが入りますのでご注意下さい。)
まずは主人公の男の子唯士を演じた、嶋田鉄太くん。
もうこの子の佇まいや表情がものすごく良い。時々、くたびれた中年サラリーマンにも見えてくる。そんな広がりのある演技だった。
そして、唯士と3人組となる環境活動の女の子、心愛と、最後まで勝手なあの男の子、陽斗とは別に、主人公と駄菓子屋デートをするあの女の子、メイ役の長峰くみちゃん。
もう、あの子はなに?(笑)
あれ、全部監督の演技指導なの?
というくらい、可愛らしくて魅力的で、でも切なくもあった。(レゼだったら「心臓もらっちゃう」なのに、メイちゃんだとああなるんだね。)
基本的にはずっとコミカルに話は進む。
前半は「子供たちの宇宙」の中での話だったものが、どんどんエスカレートして大人を巻き込んだ現実社会に侵食していき、ある一線を越えたところで、大人達と対峙しなくてはならなくなる。
「小学生」という世代を考えれば、本来親を呼ばれて散々説教されて「はい、おしまい」となるところが、まったく怯まない瑠璃、話にならない陽斗、そして、ちゃんと正直に答える唯士。
あのシーンは泣けた。
だって、ホントに唯士は結局他の2人に振り回される形で活動に巻き込まれていったワケだし。
そこでカッコ付けずにちゃんと自分の気持ちを自分の言葉で唯士が語った時、母親役の蒼井優に「お母さん、あなたの教育は正しかったよ!」と言いたくなった。
加えて、それぞれの親にはそれぞれの思惑や教育方針がある。別に、誰が間違ってるということもない。
そしてラスト、コントロールできないレベルに広がった「子供たちの宇宙」は、またもとの規模に収束し、唯士たちは少しだけ成長して、またその世界に戻っていく。
映画を観ていて、「この物語はどこにいくんだろう」という感じの楽しさがある。
基本的にはコメディなので、何か怖い事が起きるワケではないはずのに、じんわりホッコリ子供たちの生活と平行して、裏にピリッとした危うさも含んでいるのがすごく楽しかった。
これは観ておいてよかった。
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