「子どもたちの「無駄な動き」が素晴らしい!」ふつうの子ども あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
子どもたちの「無駄な動き」が素晴らしい!
子どもたちの世界を描く作品は映画にせよドラマにせよ無数にあるわけだが、なるべく子どもを子どもらしく見せたいとどの演出家も考える。でも、やはり脚本がある限りどうしても子どもの演技に制約をかけてしまう。だから、あ〜大人に言われてあの様に演じているんだろうなと観客にも見抜かれる。どうしてもあざとくなるのである。
もちろん、本作が「子供に演じさせる」リスクをすべて回避できているわけではない。でも、まず主役の唯士を演じる嶋田鉄太君のボケっぷり。この作品は彼のどアップで始まる。実に何も考えてなさそうでとてもいい。徹頭徹尾、無表情というか、顔の演技は最小限で、身体全体でくねくねと感情表現する。新米のママを演じる蒼井優とのコンビも絶妙。
残念ながら唯士以外の主役2名は、役柄自体が類型的でそこまでの魅力はない。
ただ、そこをカバーしても余りあるのがほかの子どもたち。学校でも公園でもじっと眺めていればよく分かるが、子どもというものは始終動いていてかつ全体の3割ぐらいは無駄な動きをしている。この作品では子供たちの無駄な動きをそのまま残しておりそこが実にチャーミングである。
中でも、虫好きのメガネの少年(役名忘れた)と、メイちゃん(長峰くみという子役らしい)が素晴らしい。特に、メイちゃんは、歩く→無駄な動作→止まる→無駄な動作→しゃべる→無駄な動作、というように、生命活動のほぼすべてに無駄な動きが付随する。彼女をみるだけでもこの映画を鑑賞する意義がある。
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