劇場公開日 2025年9月5日

「こどもはこどもであり、小さいおとなではない」ふつうの子ども chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 こどもはこどもであり、小さいおとなではない

2025年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

学生の時、「こどもはこどもであり、子供ではない」と講義で聞いた  大人の「お供」あるいは「従属物」として封建的に考えられてきたが子供が、こどもも一人の人間として尊ばれることはもちろん、大人にはない独自の心と体の発達過程が存在する、とその講義では習った
親の思い通りにこどもは発達成長しないばかりか、時に純粋な正義感、仲間意識、突飛な自己主張の一方で、とてつもなく可愛かったり、依存的だったりもする  大人と同じ「ヒト」でありながらも、また我々一度経験してきた期間なのに、こどもという生物は複雑なものである
呉監督前作の「きみはいい子」でも、学級崩壊・ネグレクトを子育てに悩む若い教員、母親の視線から描いていたが、こどもの持つかわいさ、残酷さ、未熟さがしっかり伝わってきた  大きな事件に発展した本作で描かれる「事件」も、掘り起こしてみれば「こども」、「ふつうのこども」が持つ特徴に他ならないし、3人の母親の受け止め方・対応も「ふつうの母親」像に違いない  おとなとは別の生き物である「こども」が、「こどもらしく」描かれ、演技をされていた3人の様々な表情、とてもよかった (9月6日 テアトル梅田にて鑑賞)

chikuhou