「やっとこの時を…! ヒックとトゥースと空を飛んできた!」ヒックとドラゴン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
やっとこの時を…! ヒックとトゥースと空を飛んできた!
ドリームワークスの名作アニメーション映画『ヒックとドラゴン』。
ドリームワークス・アニメーションでも最もお気に入りで、いつか劇場大スクリーンで観てヒックやトゥースと空を飛びたいなぁ…と。
結局その夢は叶わず、2019年の3作目を以て映画シリーズは終了。
いやそもそも、アメリカや世界中では大ヒットしたのに、日本では全くヒットせず話題にもならず。『2』なんて衝撃の劇場未公開…! あんなに面白いのに!
何故日本ではウケない? バイキングやドラゴンが日本人には馴染み無い…? だったらファンタジーなんて皆そう。日本の配給会社の宣伝が悪い…? 私にとっては映画七不思議の一つ。他の方のレビューを見ても、アニメ版未鑑賞って方がびっくりするほど多くて何だかがっかり…。
このままこの作品とオサラバかと思ったら、実写リメイク!
今夏、またしてもアメリカや世界中では大ヒット。しかしまたしても、日本では不発…。
が、私にとってはまたとないチャンス! 都合付かずなかなか観に行けなかったが、ようやく。当然地元の映画館では上映しないので隣町の映画館まで。例え観客私一人でも、ヒックやトゥースと空を飛んで来ましたぞ。
話はオリジナル通り。アニメ映画シリーズでヒックとトゥースの出会い、バイキングの長である父や仲間との関係、成長や幾多の冒険、人間とドラゴンの共存を見守り続けた者としては、また振り出しからか…とは一瞬思うが、致し方ない。
実写になって良かった点。
まず、ロケーション。舞台のバーク島。本当に今もバイキングが住んでそうなあの島、よく見つけたなぁ…。美術、衣装、メイク、武器もしっかり再現。
アニメ版を踏襲したトゥースやドラゴンたちのデザイン。なので最初はちょっとデフォルメ感あるが、見ていく内に違和感は無くなってくる。アニメ版で見事だった生物感、実写になってさらに。そしてキュート。
ラスボスのドラゴンの主。もう気分は怪獣映画! 今年は怪獣映画が無かった分、その渇望を満たしてくれた。
ヒック役には『ブラック・フォン』で注目集めたメイソン・テムズ。着実にキャリア積んでるね。
後の仲間たちもフレッシュ&アニメから飛び出してきたよう。アスティ役のニコ・パーカーはタフでキュート。タンディ・ニュートンの娘だったのか~!
監督ディーン・デュボワ、音楽ジョン・パウエル、父親役ジェラルド・バトラーはアニメ版から続投。当然のクオリティー。
そして、やっと劇場大スクリーンで観る事が出来た。飛翔シーン!
空を、雲の中を、岩壁の間を、海上スレスレを、飛翔感浮遊感たっぷりに。
急上昇、急降下、きりもみ飛行…。
風を受けて、風に乗って。
空を飛ぶって、こんな体感なんだろうなぁ…。
やっとやっと! これだけでも遠出した甲斐あった。
また振り出しから…と先述したが、『1』を見るのは久しい。
改めて見ても、やはりいい話。
ヒックとトゥースの種族を越えた友情もだが、ヒックと父、仲間たちとの関係変化。
役立たず、期待外れ、のけ者、変わり者だったヒック。
特に父親とは話も考えも噛み合わない。
ヒックは父親に歩み寄りたいと思っているが、父親の方がヒックを見ようとしない。話を聞こうともしない。
ヒックの言う事は聞くに値しない。
でも、そんな異端の存在の言う事が正しく、突破口となる。
もっと耳を傾けて。話をして。心を開いて。これらは今を生きる私たちへのメッセージである。
最強バイキングの父でも敵わなかったドラゴンの主に、ヒックとトゥース、アスティたちや他のドラゴンたちで挑む。
訓練は落第でも、いざって時に闘えるか、立ち向かえるか。それが本当の勇気であり、力だ。
ヒックとトゥース。策を巡らし、たった一人と一頭でドラゴンの主に勝利する。
その際、あわやのヒックを守ったトゥース。
トゥースに感謝する父。
ヒックと父もわだかまりが解け…。
分かり合えば、歩み寄れば、新たな世界=人間とドラゴンの共存が広がる…。
やはり実写リメイクも面白かった。
こうなってくると、欲が出てくる。
アニメ版がシリーズ化されたなら、実写版も。
無論、続編製作決定。
続編もアニメ版続編と同じ話になるようだが(ヒックの母親役はやはりケイト・ブランシェット…?)、はてさて…?
新たな展開も見たい。
『ヒックとドラゴン』はまだまだ飛べる!
