「バイキングたちの異様なまでの屈強さが印象に残る一作」ヒックとドラゴン yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
バイキングたちの異様なまでの屈強さが印象に残る一作
名作アニメーションシリーズの実写化という期待は十分に叶えてくれる内容です。もちろんメイソン・テムズはじめとした若い俳優陣は単にアニメーションのキャラクターに実在感を与えているだけでなく、それぞれの個性もしっかり打ち出しています。
実写とCGが融合した映像は、もはやどれほど高度な映像を観ても誰もあまり驚かなくなっている現在の視点から観ても、十分に高い水準を維持しています。
何よりも圧倒されるのは、北欧の峻厳な景観!針のように聳え立つ岩山の間を縫うように飛行する場面は、2D上映であっても思わず身をすくませてしまうほど。加えて、丹念に造形されたドラゴンが蝟集する様も、「こういう映像をいっぺん観てみたかった!」という満足感をもたらしてくれます。大きさの尺度が狂ってしまって、途中から規模感がつかめなくなってしまう難点はあるけれども。
ヒックの成長物語としての要素が前面に立っているため、ドラゴンと心を通わせるようになる過程は意外とあっさりしています。また個性的なヒックの友人、ライバルとのやり取りもまた、彼らの人物像を引き立たせる巧みな演出はあるものの、一つひとつの描写にはそれほど時間を割いてはいません。
それらが全体のスピード感につながっているんだけど、アスティ(ニコ・パーカー)の戦士としての葛藤についてはもう少し時間を割いて描いても良かったんじゃないかと。
ドラゴンとバイキングの戦いは、その暴力性からいっても間違いなくおびただしい数の死傷者が出ているんだけど、年齢層に配慮したのか露骨な流血表現は最小限に収められています。
えげつない暴力描写が当たり前の昨今のダークファンタジー作品と比較して少し物足りなく感じるかもしれないけど、実写版において世界観を保つという意図ではこうした調整は妥当ではないかと。
その代わりと言っては何だけど、自らの体格の何倍もの大きさがあり、しかも火を噴くわ空を飛ぶわのドラゴンに立ち向かうバイキングたちの屈強なこと!もはや人間の域を超えてますな…。
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