「デザインや設定はいいがストーリー展開が微妙。」アズワン AS ONE 赤猫さんの映画レビュー(感想・評価)
デザインや設定はいいがストーリー展開が微妙。
「星と翼のパラドクス」というかつてあったアーケードゲームが原作のオリジナルアニメ、とのことだが、原作はほぼ知らずにロボアニメと言う理由で視聴。
端的に評価するとビジュアルはいいがキャラの行動とアクションの場面選択がいまいちでノリきれない映画。
まずキャラクターの行動だが脚本の都合感が強くてしっくりこない。自分を信じるというテーマが強く推されていたが、自分を信じるというか他人の話を聞かない、となってる場面が目立ってうーんとなる。特に5秒の説明で解ける誤解が原因で瞬間的に仲違いさせる展開。これよく見かけるけどマジ萎えるのでやめてほしい。
敵方も行動の根拠に博士の過去研究を採用してるくせに現在の最新研究で失敗が予想されてるのを告げられても行動やめないのが意味不明。望みの違いで対立するんじゃなくて単に現実見てないだけのやつになってるので最終戦闘に気分をノセられなかった。あいつら本来戦う理由ないだろ。
ロボアニメとしての戦闘シーンの状況チョイスもいまいちで盛り上がりに欠ける。2国間で多数のロボ同士が睨み合ってる設定なのに戦うのは戦闘用ではなくデブリ破砕用装備の非戦闘用機体かつ、狭い竪穴内での1対1戦闘のみなのでロボ戦闘シーンとしての外連味みたいなのは出せてない。結局主人公とヒロインの精神同調による無尽蔵エネルギーでゴリ押し再起動展開繰り返すだけだったのも☓。機体のビジュアルは良かったのでもうちょっとロボ戦闘の醍醐味を魅せられるシチュエーションを用意してほしかった。
他の部分についてはまずキラキラした独特な3D作画が特徴的だが、その辺は良好に機能しており、ビジュアル面の出来は良かったと感じる。巡星が地球とは違う異星であるという雰囲気を出せていてフル3Dへの忌避感というデメリットを踏まえても効果的だったと思う。キャラクターも顔は作画ということもあり違和感は少なかった。
声については芸能人声優が採用されているが主人公のキャラに沿った声なのでそこまで違和感はない。……流石に終盤のキメどころの叫び演技は声に力なさすぎてずっこけたが、他は問題なし。ストーリー展開上フューチャーされる歌をキャラがちゃんと歌えるという利点が勝っていたと思う。
設定面は巡星人と地球人のリアライドでエネルギーが発生する、と言う部分だけ飲み込めれば原作未履修でもほとんど引っかかるところはなかった。唯一最後に主人公が持ってた結晶はどこから来たんだ、と映画を見た時は思ったのだが、後で確認したゲームの方の設定を踏まえればこの後地球には大量にリアライド用筐体がばらまかれる(タイムリープ設定がある以上時系列のズレは問題にならない)ようなので入手機会はいくらでもありそう、と納得した。この点に関してのみ原作知識の履修が必要かもしれない。(※タイムリープものにおける最初の地点問題という根源的疑問はスルーするものとする。)
総じてビジュアルや設定はいいが、ストーリー展開のために絵的な見栄えを置き去りにしたり、キャラの行動に無理を強いた結果満足度が下がった映画、という評価。惜しい、というのには根幹部分に問題がある気もするが、惜しい映画。
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