「狭く曲がりくねった坂道を行く」夏の砂の上 humさんの映画レビュー(感想・評価)
狭く曲がりくねった坂道を行く
大雨のあと
港を抱くような高台の眺めに
ぎらぎらに照りつける真夏の太陽が
その足元をふらつかせ
喉をカラカラにさせようとも
心の傷の痛みほどのものではない
どこか孤独でおしまいのわからない時間を刻む人たちが
それでも
どうにか前を向き
生きている
どこかの猫がひょいと目の前を渡るのを一歩待って佇む
不器用な男のやさしさが
別れる妻にかける最後の言葉に溢れる
精一杯が沁みてきて
この心をギュッとかなしく握る
太陽の
厳しくもあり
やさしくもある
両方を感じながら
狭く曲がりくねった坂道を行く
この物語は
そんな人生の誰にも気づかれない時を思わせる
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