「どのように鑑賞すべきか迷ってしまう…。」夏の砂の上 うさぎさんさんの映画レビュー(感想・評価)
どのように鑑賞すべきか迷ってしまう…。
酷暑続きで、家にいても暑すぎるので涼みに映画館に足を運んだ。
特にこの映画に思いれがあったわけではないが、心に刺さった作品。
どのように感想を表現しようかと迷ったすえに、映画・COMの解説を読んでしまう。
愛を失った男、愛を見限った女、愛を知らない少女…
なるほど、そのように鑑賞すればよかったのかと感じ入った。
男の身の上に降りかかる不幸の連鎖。5歳の息子を不注意から亡くし、誇りをもっていた職場は閉鎖、妻には見限られ、同僚の男に寝取られる。前職の親しい先輩の死。寝取られた同僚の妻からの罵詈雑言。新しい職場では、事故で指を三本も失ってしまう。そのうえ、やんちゃな妹の娘(姪っ子)を預かることになる。たんたんと描かれるけど、どれも精神に相当な負担がかかる出来事ばかり。自分ならどうだろうと思ってしまうが、オダギリジョーの演ずる小浦治は…。ほんとに人がいい。
100分あまりの映画では描き切れない部分は、鑑賞者の感性で補うしかないから、ぼさっと見ているわけにはいかず、小説なら、もっと、姪っ子優子と治の交流も書き込んでくれてわかりやすかったのだろうと思う。
松たか子の中年女性の疲れっぷりの演技は秀逸すぎて、一瞬だれだかわからない程。愛を見限った女に対する、愛を知らない少女の心の動きもとても興味深い。
少女が言う。こんな街をでてどこかへ行こう…。治の我慢し続けて来た感情の爆発。そこへ酷暑で雨が降らない長崎に、雨が降り、爆発した心情が鎮められ、きれいに流され、また新しい明日が始まる。新しい世界が開ける。
禍福は糾える縄の如し。他人がとやかく言うことではないし、自分にしかわからない世界、幸福があってもいいのである。
オダギリジョーがお子さんを亡くされていたことを後から知った。
