劇場公開日 2025年7月4日

「事実を知ると、見方が変わる」夏の砂の上 ななやおさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5事実を知ると、見方が変わる

2025年7月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

なんの前知識もなく、タイトルと出演者が気になって鑑賞。

観終わって最初に思ったのは、

「これ、雰囲気映画なの? 結局何が言いたいん…🤫」

満島ひかりさん、松たか子さんという、主役を張れる実力派のお二人を脇に配し、主演は雰囲気俳優の代表格・オダギリジョーさん。

年齢を感じさせない若々しさと整ったお顔立ちは、無精髭や不造作なロングヘアで隠しても、まったく隠しきれない。

オダギリジョーさん扮する主人公・小浦治には
・子どもを不慮の事故で亡くす
・誇りを持っていた仕事を失う
・妻に不倫される
・大切な仲間の死
・そして、自らの指を3本失う事故…

という、人生の5連不幸パンチが容赦なく襲いかかる。

──なのに、舞台となる長崎の映像は、どこまでも静かで美しい。

そして私の中に生まれた違和感。

「こんな不幸が一度に襲ってきた人が、あんなにも静かで美しい“佇まい”でいられるのか?」

どうしてもリアリティに欠けて感じた。
そう思った時点では、正直これは“雰囲気映画”だと思ったのです。

しかし家に帰ってから、映画について調べてみて、オダギリジョーさんが、かつてご自身のお子さんを亡くされたことを知り、思わず言葉を失いました。

「この役に、彼がどんな思いで向き合ったのか──」
それを知ったとき、私の中でこの映画の意味が静かに反転しました。

これはきっと、映画というより“祈り”だったのだと。

愛する人を失っても、生き続けるということ。
再び、誰かと向き合おうとすること。
そしてその姿を、スクリーン越しに見せてくれたオダギリさんの覚悟。

その存在こそが、
この映画の答えだったのだと思います。

ななやお