「「Oh I Do Like to Be Beside the Seaside」をつべで聴いたら、理不尽な死が見られるかもしれませんよ」THE MONKEY ザ・モンキー Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
「Oh I Do Like to Be Beside the Seaside」をつべで聴いたら、理不尽な死が見られるかもしれませんよ
2025.9.22 字幕 イオンシネマ京都桂川
2025年のアメリカ映画(98分、R15+)
原作はスティーヴン・キングの短編小説『The Monkey(邦題:猿とシンバル)』
サルのオモチャの起動と共に理不尽な死が訪れる様子を描いたホラー映画
監督&脚本はオズグッド・パーキンス
物語の舞台は、アメリカのどこか(25年後パートはメイン州キャスコ)
パイロットのシェルボーン(アダム・スコット)は、ある骨董品屋に「サルがドラムを叩くオモチャ」を持って訪れた
店主(Shafin Karim)は「返品は不可」とつき返すものの、サルが動いた因果かわからないまま、店内のオブジェなどが動き、商品の矢が店主の腹を貫いてしまった
その後、やむを得ずに家に持ち帰ったシェルボーンは、再び空の旅に戻ることになった
彼には妻のロイス(タチアナ・マスラニー)との間に双子のビル(クリスチャン・コンヴェリー、成人期:テオ・ジェームズ)とハル(クリスチャン・コンヴェリー、成人期:テオ・ジェームズ)を授かっていたが、横暴な兄と気弱な弟という関係は度を越しつつあった
双子の面倒を見るのはシッターのアニー(Danica Dreyer)で、ビルは彼女を慕っていた
ある日、双子は物置部屋から「サルのオモチャ」を見つけ出す
そこには「ネジを巻いたら、あとはお楽しみ」と書かれていて、興味本位でそれを回してしまう
特に何かが起こることもなかったが、その夜にアニーと一緒に訪れた鉄板焼き料理店にて悲劇が起きてしまった
店主(Micheal Anthony Samosa)が見せたパフォーマンスの包丁がアニーの首を一刀両断し、彼女は天に召されてしまったのである
その後、アニーの死に塞ぐビルだったが、クラスメイトたちにハルのことを風聴し、ハルへのいじめがエスカレートしてしまう
我慢の限界を超えたハルはサルのオモチャを取り出して、念を込めてネジを巻いてしまった
だが、死んだのはビルではなく、彼らが愛する母だった
死因は動脈瘤とのことだったが、2人はサルのせいだと思うようになっていた
映画は、その地から伯父チップ(オズグッド・パーキンス)と伯母アイダ(サラ・レヴィ)が住むメイン州キャスコへと移り住むものの、なぜかサルのオモチャは彼らのもとにやってきてしまう
さらに、チップの事故死を経て成人した2人は、別々の道を歩んでいく
そして、25年の月日が過ぎた頃、アイダが事故で亡くなってしまうのである
不動産屋のバーバラ(Tess Degenstein)は遺品を不用品として売り出していて、その中にあったサルのオモチャをリッキー(ローハン・キャンベル)という青年が購入して帰った
そして、そのサルのオモチャは「ミセス・モンキー」を名乗るある人物の元へと届けられるのである
原作は、息子ピーティー(コリン・オブライエン)と一緒に父ハルが「サルのオモチャ」を物置小屋から見つけるという流れからの回想録になっていて、ハルがそのトラウマを思い出すという構成になっている
映画は時系列をそのままなぞっているので、あるアイテムによるトラウマの再発というテーマは描かれていない
また、サルのオモチャが動くと人が死ぬという感じに描かれているが、実際には「ネジを動かしたものに理不尽な死を見せる」という言い方の方が正しいように思う
なので、念を込めてネジを回しても特定の人は死なないし、単に偶然重なった死を間近で見るという感じになっているのだろう
これらのカラクリというものは明かされないが、テーマとしての「人はいつか死ぬ」「綺麗に死ねるとは限らない」というものがあるので、その無惨さを見せつけるような呪いがあるように思えた
いずれにせよ、悪趣味系スラッシャー映画なので、何が起こって人が死ぬのかをワクワクして見るタイプの映画なのだと思う
そこに至る因果とか論理的なものは一切存在せず、テーマの深掘りも大したことはない
成人パートで起こる理不尽な出来事と同時に母の言葉を思い出すというのが物語の骨子だと思うが、映画はそういう構成になっていないのでピンと来ないように思う
そもそもが『ファイナル・ディスティネーション』に端を発する不条理悪趣味スリラーの一環なので、深く考えない方が楽しめるのだろう
ちなみに、サルが演奏する楽曲は「Oh I Do Like to Be Beside the Seaside」という楽曲で、実際には歌詞があったりする
この曲は「海に行くのが大好き」という内容で、その理由は「女の子がたくさんいるから」みたいな感じだったと思う
アニーと母の死によって引きこもったビルも女性には恵まれていないし、ハルも若気の至りで子どもを授かったが女性運が良いとも思えなかったりする
深く考えるものでもないと思うのだが、男2人の運命を変えたのは女性ということを考えると、何らかの意図はあったのかなあ、と勘繰ってしまった
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