劇場公開日 2025年4月4日

「中国で大ヒットしたのも頷ける」ナタ 魔童の大暴れ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5中国で大ヒットしたのも頷ける

2025年4月9日
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第1作を観ていないのと、難しい漢字の固有名詞の羅列のせいで、最初は、登場人物たちの関係性がよく分からず、なかなか物語に入り込むことができなかった。
主人公のナタが、体を失った親友を蘇らせるために、仙人になる試験を受けることになって、ようやく、どんな話なのかが分かってくるのだが、最初の試験で、ザコキャラにコテンパンにやられるナタを見て、「暴れん坊じゃなかったの?」という疑問が湧いてくる。
やがて、この世界には、「魔」と「妖」と「仙」がいて、「妖」は修行すれば「仙」になれるが、「魔」はなれないというルールがあると分かり、「魔」であるナタが、どうして力を発揮しないのかを、ようやくと理解することができた。
あくまでも、親友のために奮闘するナタの物語ではあるのだが、ナタにしても、親友にしても、黒ずくめの仙人にしても、親と子、あるいは兄弟同士といった「家族の絆」が、物語の強力な推進剤になっているところは、東洋的な「情」の深さが感じられて面白い。
思いもよらない人物が黒幕であったことが判明したり、「長いものには巻かれろ」的な裏切りがあったりで、正義と悪とが反転するという展開も存分に楽しめる。
アクロバティックで迫力のある戦闘シーンは見応えがあるし、母の死(?)をきっかけとしたナタの形態の進化には、「超サイヤ人」のようなカタルシスを感じることもできた。
物量に物を言わせたスペクタクルなシーンだけでなく、オナラだとか、小便だとか、吐瀉物だとかを平気で持ち出してくる「お下品さ」や、エンドクレジット後のオマケ映像の容赦のなさ(ここが一番笑えるのだが・・・)も含めて、良くも悪くも「中国らしさ」を堪能することもできる。
アニメーションの技術の高さもさることながら、プロパガンダ色のない純粋な娯楽作品としての完成度も高く、その上、「巨大な権力に立ち向かう」という構図も明確になっていることから、この映画が中国で大ヒットしたという事実には、素直に納得することができた。

tomato