劇場公開日 2025年12月26日

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「大衆向けバトルアニメなのに、パレスチナ問題を反映させながら、中国政府批判もしているのが凄い」ナタ 魔童の大暴れ おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 大衆向けバトルアニメなのに、パレスチナ問題を反映させながら、中国政府批判もしているのが凄い

2025年4月8日
iPhoneアプリから投稿

当然の如く、前作は未見。
現時点での前作鑑賞難易度、高すぎ。
冒頭にあらすじ紹介ナレーションが流れるが、字幕が漢字の専門用語だらけで頭が混乱した。

ガザ地区みたいな周囲を敵に包囲されて襲撃を受け続ける村があり(薬が不足しても村の外に出してもらえず、補給しに行くことができない辺りがガザっぽい)、そこの村出身のパレスチナ人青年と、友人のイスラエル人青年が力を合わせて事態を解決するために奔走する、今年公開された『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』みたいな話と認識(『ノー・アザー・ランド』の舞台は正確に言えばガザではないけど)。

ただし、空気感は週刊少年ジャンプ。
主人公チームも敵チームもそれぞれが何かしらの特殊能力を持っていて、お互いの能力を駆使してド派手なバトルを展開。
『ONE PIFCE』などの少年漫画内の格闘バトルシーンを連想。
日本でも『鬼滅の刃』映画版が国内興収を塗り替えるぐらいの超絶大ヒットをしたことを考えると、中国で社会現象を巻き起こし、アニメ映画の世界歴代興収1位を獲得したのも納得かも。

主人公のナタはクソガキではあるが、『クレヨンしんちゃん』みたいな「エロ」ではなく、「汚物」で笑いをとりにくるところは、日本では珍しい気がした。
思いっきり子供向けだが、正直ちょっと笑ってしまった。

終盤に「怒りが頂点に達してスーパーサイヤ人に変身」みたいな展開があり、ベタな気もするがやっぱり観ていてテンションが上がってしまった。
そこの泣かせ演出は個人的には好みではないが、一般客層ならイチコロだと思う。

映像のCGクオリティは、少なく見積もっても日本映画の技術は余裕で超えてるレベル。
終盤の戦争シーンでは、一億人ぐらいの人が戦っていたのではないかと思えるぐらいの、凄まじい物量だった。

敵側の思考が「平民は強い奴の言うことを聞いていればいい」で、主人公たちはそういうことを言っていた奴らをやっつけてしまうわけだが、それって中国政府批判になっているのでは?と思った。

エンドロール中のおまけとして出てくる顔認証ギャグは、シュールなコメディとして機能しながら、悪人への罰にもなっていて、作りとして上手いと思った。

おきらく