「なんとなく物足りないのだが、それは敵の凶悪度が中途半端だったからなのかな、と感じた」ベスト・キッド レジェンズ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
なんとなく物足りないのだが、それは敵の凶悪度が中途半端だったからなのかな、と感じた
2025.8.30 字幕 イオンシネマ久御山
2025年のアメリカ映画(94分、G)
『ベスト・キッド』シリーズの5作目にして、ドラマ版「コブラ会」の続編的な立ち位置の映画
兄の死から乗り越えようとするカンフー青年を描いたアクション映画
監督はジョナサン・エントウィッスル
脚本はロブ・ライバー
物語は、1986年の沖縄にて、ダニエル(Aaron Wang、成人期:Ralph Macchio)が空手家のミヤギ(Pat Morita)から、ハン家とミヤギ家の歴史について学ぶところから紡がれる
それから数十年後の現代、ハン家の継承者・ハン師匠(ジャッキー・チェン)は北京でカンフーを教えていた
その教え子であるリー・フォン(ベン・ウォン、幼少期:Marco Zhang)は、母(ミンナ・ウェン)に隠れて続けていたが、母は武道には反対の立場だった
その後、母の転勤を機にニューヨークに移ることになったリーは、空手から完全に縁を切ることになった
ニューヨークの高校に編入したリーは普通の暮らしを始め、引越し先の近くにあったピザ屋に買い物に出かけることになった
その店はボクシングの元王者のヴィクター(ジョシュア・ジャクソン)が経営するお店で、頼んだ商品を揶揄われるリーだったが、彼の娘ミア(セイディ・スタンリー)は父の悪態に呆れながら、リーに好意的な接客をする
そして、その翌日、街角で2人は再会し、中華街の雑貨店で買い物を手伝ったりする中で、ニューヨークを案内してもらう約束を取り付けることになったのである
物語は、ヴィクターが地元のデモリション道場のオーナー・オシェイ(ティム・ロゾン)から借金をしている内情が描かれ、彼が主催する試合に関わる様子が描かれていく
リーの母は戦うことを嫌がるものの、コーチをするのなら大丈夫と考えたリーは、ヴィクターにカンフーを教えることになった
だが、その試合は相手の反則によって負けてしまい、ヴィクターは大怪我を負ってしまう
救急車で病院に駆け込むものの、過去のトラウマがフラッシュバックしてしまい、リーはミアを置いて逃げてしまうのである
その後、2人は絶縁状態になり、そんな中でミアの元カレのコナー(アラミス・ナイト)との因縁が勃発する
リーを心配して駆けつけたハン師匠との交流の中、リーは自分が立ち直るためにコナーと戦うことを決意する
そして、ミヤギ流空手の師範でもあるダニエル(ラルーソ先生)の協力も得ながら、一週間でコナーと戦う準備を始めていくのである
わかりやすい少年漫画のような展開だが、ぶっちゃけると「ヴィクターの試合」はあってもなくても物語が成立してしまうのが難点だった
ヴィクターとオシェイとの因縁が拡大するととしても、コナーがオシェイほど悪人ではないのでモヤっとした感じになってしまう
いっそのこと、金を返せなくなったヴィクターの店をオシェイの部下が無茶苦茶にするみたいな展開があって、ミアのために立ち上がるぐらいの展開があった方が因縁を絡めやすい
また、ミアとコナーの関係も若気の至りで、親が嫌がるから付き合っていたみたいな設定になっていて、それはコナーが可哀想すぎるだろうと思ってしまう
コナーとしては、気がついたら乗り換えられていたみたいな感じになっているし、自分よりも弱い相手に恋人を奪われるなど溜まったものではないだろう
映画最大の原点材料は「コナーに優等生部分を残したこと」であり、もっと悪者に仕立てた方が良かったと思う
嫌がるミアに付き纏っているとか、ヴィクターの店を壊す主犯だったとかで、強さを武器にやりたい放題やっている方が清々しい
リーが過去から立ち直るためにコナーとの戦いがあるのだが、その相手が彼である必要性が薄くなっている
彼が立ち直るきっかけとして、兄(Oscar Ge)とダブって見えたヴィクターの存在があることを考えると、ミアの存在意義もかなり薄い
結局のところラブラブになって終わるのだが、これだと単に「ミアは強い男が好きなアホな子」みたいに見えてしまうので、この恋愛要素は必要だったのかは何とも言えないな、と感じた
いずれにせよ、ドラゴンキックが噛ませ技になっているのが微妙で、ポイント制の試合でポイントを取って終わるというのもナンセンスだと思う
ドラゴンキックを華麗に決めてKOする方が盛り上がるので、それを避けた理由はわからない
当初は基礎だけだったので技にキレがなかったために交わされたが、鍛錬を積んだことで兄に近づいたために炸裂した、という方が綺麗にまとまっていると思う
となると、コナーはボッコボコにやられて終わるみたいな展開になってしまうので、なおのこと最低野郎として描いた方が良かったのだろう
そのあたりも含めて、なんとも締まりのない物語だったなあ、と思ってしまった
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