「王道ながらスッキリまとまった一本」ベスト・キッド レジェンズ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
王道ながらスッキリまとまった一本
■ 作品情報
1984年に1作目が公開されて大ヒットを記録し、続編やリメイク、スピンオフドラマ「コブラ会」も人気を博す「ベスト・キッド」のシリーズ通算6作目。監督はジョナサン・エントウィッスル、脚本はカレン・ローゼンフェルト、主なキャスは、ベン・ウォン、ジャッキー・チェン、ラルフ・マッチオ、ジョシュア・ジャクソン、セイディ・スタンリー、アラミス・ナイト。
■ ストーリー
北京で師匠ハンからカンフーの指導を受けていた高校生リーは、母と共にニューヨークへ移住することになる。慣れない暮らしで、学校に馴染めず、クラスメイトからも不当な嫌がらせを受ける。そんな中、同級生でもある近所のピザ屋の娘ミアと親しくなり、彼女の父が借金を抱えていること知る。リーは、好意を寄せるミアのため、自身を打ちのめしたコナーへのリベンジのため、高額賞金のかかった格闘大会への出場を決意する。
■ 感想
時間がなく、過去作未鑑賞で臨んだのですが、全く問題なく楽しむことができました。リーの成長譚を中心に据えつつ、淡いラブストーリーや家族の絆、そして師弟愛といった要素が、テンポよく、そして淀みなく展開していきます。物語の心地よい流れに、あっという間に引き込まれてしまいます。
特に印象的だったのは、前半に描かれるピザ屋の親父を鍛えるというユニークな展開です。従来の師弟モノの枠を超えた逆転の発想が新鮮で、思わず笑みがこぼれます。また、兄との大切な思い出であるドラゴン・キックが、物語の序盤から丁寧に伏線として張られ、クライマックスのフィニッシュへと繋がっていく様も、予想の範疇とはいえスッキリとまとまっており、非常に爽快な気分を味わえます。
過去のシリーズで一世を風靡した、ジャッキー・チェンとラルフ・マッチオの二人を、師と先生として迎え入れ、カンフーと空手を融合させた修行も、ファンにはたまらないうれしいアイデアだと感じます。短期間で目覚ましい成果を上げるリーの姿は、確かに「できすぎでは?」とも思ってしまいますが、彼にはもともと素質があり、基礎鍛錬も積んでいたということなら、まあ許容の範囲内です。
また、真剣な武道の世界を描きながらも、ユーモアを忘れていないところも、本作の魅力も一つです。やはりジャッキーの出る映画はこうでなくてはいけません。シリアスな展開と笑いのバランスが絶妙で、最後まで飽きさせることがありません。
主演のベン・ウォンは知らない俳優でしたが、彼の童顔と嫌味のない佇まいがリーにぴったりで、まさに青春の輝きを表現しており、物語全体が爽やかな魅力に包まれています。試合前には礼儀を欠いていた対戦相手コナーが、試合後にはわずかですが敬意を示す場面も、人間ドラマとして心に残ります。
本作がヒットすれば、また新たにシリーズ展開される可能性もあり、それも観てみたい気もします。でも、本作がこれだけきれいにスッキリまとまっているので、このままで次回作なしでもいいと思います。
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