「ゆるゆるのミステリーなので、真剣に謎と向き合っても意味はなさそう」6時間後に君は死ぬ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
ゆるゆるのミステリーなので、真剣に謎と向き合っても意味はなさそう
2025.5.19 字幕 アップリンク京都
2024年の韓国&日本合作の映画(90分、 G)
原作は高橋和明の同名小説
日本ではWOWOWでドラマ化済み
死を予告された女が予言者と共に犯人探しをするミステリー映画
監督はイ・ユンソク
脚本はチョンヨン
原題は『6시간 후 너는 죽는다』、英題『You Will Die in 6 Hours』で、「6時間後に君は死ぬ」という意味
物語の舞台は、韓国のソウル
倉庫とコンビニで働いているジョンユン(パク・ジュヒョン)は、ある日街角にて、奇妙な男(チョン・ジェヒョン)から「君は6時間後に死ぬ」と言われてしまう
何かの詐欺かナンパだと思ったジョンユンは男を無視するものの、彼はいくつかの事件を予知したと語り、さらに彼女の祖母が病床に臥していることも言い当てた
ジョンユンは男を信用することにして、どうやって死ぬかを問い詰める
「ナイフで殺されること」がわかっていて、ジョンユンには心あたりがあった
それは、かつてストーカーのように付き纏っていた男(ジョンファン)のことで、彼が自分を殺すのではないかと思い込む
そして、彼のアパートを訪ねることになり、男も一緒に同行することになった
一方その頃、ソウルでは殺人事件が起きていて、班長(キム・ミンサン)を中心とした強行班係が捜査にあたっていた
刑事のギフン(クァク・シヤン)を筆頭に、若手のヨ刑事(イ・スジュン)、ナム刑事(イ・チョル)らが中心となっていて、犯行現場に残されていた奇妙な予言を見つけ出していた
そこには「8時間後に君は死ぬ」と語る男の声が入っていて、警察はその男の行方を追うことになった
映画は、奇妙な男ことキム・ジュヌとジョンユンが未来の殺人犯を追うと言う展開と、警察が現在進行形の犯人を追う様子が同時進行で描かれていく
そのために、どのように捜査と探索が進んでいくかわかるのだが、犯人の具体的な目星がつく前に、ある程度想定がついてしまう
この方法が良いのかはわからないが、もう少し捻ったシナリオにした方が良かったと思うし、ラストの予告時間の展開もグダグダすぎて脱力してしまう
結局のところ、ジュヌの恋人がジョンユンと同じ職場にいて、その店(デートクラブのようなところ)が未成年を雇ってしまったことで閉業に追い込まれていた
その店の利用客の中に警察がいたのだが、それだけの理由で「元従業員を殺す」と言うのは無茶としか言いようがない
そこで何が行われて、どんな因果が起こったのかと言うのは想像にお任せしますレベルで、感覚的には「班長が未成年を買っていたので証拠隠滅」のように思えてくる
実際にどうだったのかはよくわからない部分があり、かなり端折られて作られている
エンドロールには多くの配役があるのだが、出てきたっけ?と言う感じのキャストも多く、警察と店の癒着か脅迫絡みで登場したであろうキャストが載っていたように思う
また、デートクラブの実態と言うのもそこまで詳細に描かれず、ジョンユンはストーカー君と3時間時間を過ごしたくらいで、班長がどこまでの行為に及んでいたのかはわからない
どうやらサラと呼ばれていた女がジュヌの恋人チ・ソヨン(ウンセ)のようで、班長がピンチなのでギフンがソヨンを始末したのだと思う
そのあたりの因果はわかるが、直近で殺されたソヨンの友人ヘジ(キム・ミンヨン)まで殺す必要があるのかはわからず、さらに無縁のジョンユンが狙われる理由も意味不明のままだった
一応は、ギフン自身の正義感と職業貴賤からデートクラブで働くような女はゴミだと思っているところがあって、それが今回の一連の事件を引き起こしている
そして、その価値観と真逆なのがジュヌだった
彼は「3時間幸せにすることに意味がある」と言い、ジョンユンの過去を肯定するのだが、おそらくは彼自身もソヨンとそこで出会って、幸せな3時間を経験したのだろう
だが、そのあたりの因果関係は「想像にお任せしますレベル」なので、それで良いのかは疑問だなあ、と思った
いずれにせよ、過去の殺害シーンも緩いし、緊張感もほとんどないまま進んでいくので、ついウトウトとしてしまう
登場人物を登場させる順番とか方法もスマートではなく、冒頭で告知があったところから、いきなり過去に戻って告知まで描くと言うのは要らなかったように思った
解決編に至っても、時計とスマホが1分ズレていたと言う実にくだらないもので、運命決定論的にその時間に殺そうとする犯人も不思議な行動になっていた
個人的には、ジョンユンがギフンに気があるように描かれていたので、警察だから信用すると言う一歩上の信頼がジュヌの予言を邪魔するのかと思っていた
だが、そう言った恋愛的な要素はそこまでなく、ジョンユンの想いが砕け散ると言うこともない
全体的にすごくゆるゆるな話なので、楽しめるのは主演のファンだけのように思う
彼のドアップは思った以上に多いし、鑑賞後には特典も貰えたので、そう言った層向けのアイドル映画だとすれば及第点なのかもしれません