「ジミー•ペイジ81歳 ジョン•ポール•ジョーンズ79歳 ロバート•プラント76歳 まずは「ありがとうございました」と言いたい」レッド・ツェッペリン ビカミング Freddie3vさんの映画レビュー(感想・評価)
ジミー•ペイジ81歳 ジョン•ポール•ジョーンズ79歳 ロバート•プラント76歳 まずは「ありがとうございました」と言いたい
ご存知1960年代末から70年代にかけて活躍した伝説のロックバンド “Led Zeppelin” のメンバー4人がバンドを結成して初期のライブやアルバムで成功するに至る1970年頃までの話を、現存する3人のメンバー(ドラムスのボンゾことジョン•ボーナムは1980年32歳の若さで早逝)それぞれのロング•インタビュー(実はボンゾの生前のインタビューも少し入っています)と当時の映像を使って綴ったドキュメンタリー作品です。
私はそれほどのファンでもないのですが、学生時代、周囲に何人かのロックファンがいましたので彼らのススメにより、多少、かじっていました。でも、よく考えてみると、私がメンバーの名前を全員よどみなく言える海外のバンドは The Beatles を除くとこの Led Zep だけです。このあたり、結成から解散まで同一メンバーだったこととと、メンバー各員の個性がはっきりしているのだけれど、それがうまく化学反応を起こしてバンドとしてよく機能していることに起因しているのかもしれません。あと、同時代的に聴き始めたのは中学生の頃にラジオでよくかかっていた『移民の歌』あたりからです。ですから、本ドキュメンタリーで扱っている内容は私としては同時代的に知っている内容ではなく、70年代のどこかで、ある種の「歴史」として学んだものです。
ということで、私は Led Zeppelin に関してはまあ半可通といったところなんですが、このドキュメンタリーはそんな半可通にはもってこいの内容だと思います。すなわち、コアなファンにはたぶん既知で当たり前の内容でつまらないと思われるかもしれないし、Led Zep にあまり興味がない層にはあまり刺さらないかもしれません(いいドキュメンタリーというのはテーマに無関心な人々さえも惹きつけてしまうそうですが、この作品はそこまでいいドキュメンタリーというわけでもないと思われます)。で、半可通にアピールしたポイントとしては、ジミー•ペイジがヤードバーズのメンバーとして演奏してたり、シャーリー•バッシーのバックをつとめていたりしている映像もありますし、ジョン•ボーナムの憧れのドラマーがジャズのジーン•クルーパだったなんていう面白い情報も語られます。あと、Led Zeppelin というバンド名の名付け親がザ•フーのキース•ムーンだったなんて話は「ビカミング」というタイトルにふさわしい裏話だと思いました。
今回のドキュメンタリーでコアなファンにも半可通にもモノ足りないと感じられているのは、「ビカミング」と銘打ってるだけに、彼らの活動の初期の時代しか取り上げていないことだと思われます。彼らが世に問うたアルバムの歴史からすると、Led Zeppelin l と ll の2作分しかカバーしていません。1968年の結成時だと、ギターのジミー•ペイジが24歳、ベース/キーボードのジョン•ポール•ジョーンズが22歳、ドラムスのジョン•ボーナムが20歳、ボーカルのロバート•プラントが19歳ですが、そこから2歳ほど年を重ねるだけの期間を扱ったドキュメンタリーです。
既に一部のファンの間で続篇があるのではないかという噂というか、希望的観測が出てきているみたいなのですが、どうなるのでしょうか。私も続篇があれば、それはもう観てみたいのですが、タイトルに掲げた現在の彼らの年齢から考えると、ここらで一区切りと思って作ったドキュメンタリーだったのではないか、続篇はないのではないか、という気がしています。彼らの歴史をアルバムで振り返ってみると、Led Zeppelin ll とlll の間に何かしらのターニングポイントがあったような気がします。ll まではギンギンのハードロック中心の勢いに乗った若手の登り坂(英語で言うと up and coming かな)のバンドという感じなのですが、lll あたりから、音楽性の方向が広く、かつ、深くなってきて大人の成熟したバンドになってゆきます。まあ年老いてからは若くて勢いのあったときの話は積極的に語りたいものですが、ちょっとばかり大人になった後のことについては、話もそれなりにという感じになります。ましてや彼らは生身のミュージシャンですから、’70年代に入ってからは、スタジオで制作するアルバムはともかくとして、ライブ•パフォーマーとしては聴衆にはわからない悩みを抱えていたかもしれませんし、仲間同士の人間関係も音楽性の違いや何やかやで微妙になってきたなんてこともあるかもしれません。
ということで、’70年代に入ってからの彼らについて彼ら自身が語れば、今回のインタビューにあった、新結成して才能あるメンバー同士が化学反応を起こして、全米をツアーで熱狂させ、英国に凱旋帰国してまたしても熱狂の渦、その間にアルバムを2枚作成、2枚目のアルバムのファースト•チューンはシングルカットされるのが嫌だったから曲内に前衛っぽい要素を取り入れた…… 等の熱っぽく語られた内容とはかなり違ってくるのかもしれません。まあその辺のところはそっとしておいてあげようよ、今回の「ビカミング」で十分じゃないの、まずは今回のドキュメンタリーに「どうもありがとうございました」と感謝の意を表しておこうよ、と私は考えています。
まあでも、もし万が一、続篇が出たら、真っ先に観にゆくんでしょうけど……
共感ありがとうございました。
バンクーバーではそこまでツェッペリンファンを見かけないのですが、渋谷さんの影響で日本の方がこの作品を楽しんでいる気がします。
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