「資本主義の矛盾が露呈する共産主義国家」青春 苦 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
資本主義の矛盾が露呈する共産主義国家
「フレデリック・ワイズマンと王兵(ワン・ビン)の映画は全て観る」が我が家訓なので迷うことなく今回も映画館へ。3時間半の長編(と言ってもワンビン映画では普通ですが)だった前作の「青春」に続きがあるとは思いませんでした。今回も、中国の縫製工場で働くミシン工の若者の群像ドキュメンタリーで、やはり3時間半です。
工業用ミシンを操って手早く次々と上着やズボンを縫い上げながら、彼らの話題の殆どは賃金に関する事です。工員同士、或いは社長との交渉で、あからさまに交わされるお金の議論をこんなに自然にカメラに収められる事にいつもながら驚きます。カメラなど意識しないかの様に0.5元(10円)単位の単価の話が大声で語られます。多くが農村出身の彼らは休みも殆どなく一日中ミシンと向き合うのです。
しかし、社長は給料を払わず夜逃げし、アパートからは突然立ち退きを迫られる事になります。一体このどこが共産主義なのでしょう。矛盾が露呈した資本主義に首まで浸かってるいるのでした。
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