劇場公開日 2025年5月30日

「誰もが「私がやりました」とは一言も言わず秘密が共有されていく快感」秋が来るとき あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0誰もが「私がやりました」とは一言も言わず秘密が共有されていく快感

2025年6月5日
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鑑賞方法:映画館

予告編ではキノコ中毒のあたりまでしか紹介されない。ひょっとしたらブルゴーニュのカントリーハウスで静かに余生を過ごす老女の心温まる映画を期待していた人が多かったのではと上映前は思っていた。というのはビックリするぐらい混んでいるのです。しかも年配の女性客ばかり。
でもフランソワ・オゾン監督なんだもの、そんな優しい気持ちの映画じゃないよね。と思っていたらやはりトンデモないサスペンス映画でした。
キノコ中毒は掴みでして、基本的にはミシェルとヴァレリーの母娘のどうしようもなく壊れた関係がベースとなり、そこにミシェルの親友マリー=クロードとその息子ヴァンサンが巻き込まれて話がエスカレートしていくかたち。結局、殺人事件が起きてしまうのですが皆が真相を知りながらもそこを飲み込んで秘密が共有されていく姿が描かれます。
謎解きでもなく、贖罪でもない、この淡々とお互いを受け入れていく感じがかなり新しい感じがします。そしてドラマの中で季節は変わっていっているんだろうけど、画面は常に美しい秋の風景を映し出している印象があり、そこがかえって人々の不安や、人生の皮肉を浮かび上がらせている感じも受けました。
ミシェルの前には亡霊がたびたび現れここは怖い。でもミシェルは怯まない。生者は死者に優先するのです。気持ち良いほど。
パリ警察の殺人課の警部(女性です。最初出てくるところでは妊娠している)が狂言回し的に登場するのですが、オゾン監督の他の作品でも登場するんじゃなかったかな。

あんちゃん
ひろちゃんのカレシさんのコメント
2025年6月7日

コメントありがとうございます。
本当にキノコや幽霊や警官の態度等々に込められた仄めかしや皮肉が隠し味的に効いていて,自分の人生に思い当たる節があってぎくっとしたりニヤニヤしたりしながら楽しみました。

ひろちゃんのカレシ
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