「ソウルマジックストレート」告白ヒストリー 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
ソウルマジックストレート
理屈っぽくなくて気取ってなくて堂々とばかっぽさをさらけ出しながら突っ走る感じがブックスマート(2019)のようで引き込まれた。
非英語圏の外国人が話す英語のなまりには愛嬌を感じるのに対して、日本人が話す英語の日本語なまりは、ダサく聞こえる、というのがある。
ちなみに日本人なまりをあえて隠そうとしない出川英語のほうがダサさは目立たない。むしろかっこよくしゃべろうとするキムタク英語のほうがダサさは目立つ。にしても、どっちもダサいことには変わりはない。
これは隣の芝生のような現象でもある。他の非英語圏の外国人がしゃべる英語のなまりには愛嬌もしくはユーモラスな響きを感じるのに、なぜか日本人のしゃべる英語だけがダサく聞こえるからだ。
とりわけ韓国人がしゃべる英語の聞こえには愛嬌を感じる。
韓ドラでよくファイティンと言うのを聞くし、アイスアメリカーノとかCCTVとか、意外なところで意外な英語が交じってきて、その発音に趣きがある。
エンジェルアットマイテーブルみたいなきつい天然パーマの少女がヒロイン。彼女はストレートパーマにあこがれ、ソウルマジックストレートという新技術パーマの施術をうけようと画策する。で、彼女が「ソウルマジックストレート」と言うときの発音が、いちいち可愛い。なんなんだ、っていうくらい可愛い聞こえだった。
憧れの男子へ告白しようと奮闘する女子が身近な男子を好きになっていく王道な構造をもったラブコメ。できるだけかわいいという言葉を使わないでレビューしようと思っているレビュアーだが(無論そんなじぶんルールは勝手にしろよという話だが)この映画のふたりはかわいかった。ほかの言いようがない。
序盤から6.5尺辺りまで修羅場もなく、真っ直ぐ純情で、いじめもなく、敵らしい敵もいなくて、取り巻きの雰囲気もいい。
だからフラグが立つと、このささやかなふたりの幸せを壊さないでくれという気分がつのったが、その後の思いがけない展開も見どころだった。
時代設定は1998年。ポケベルがふたりを繋いだ。
検索したらヒロインのシンウンスは実年齢22歳(2025)、隠された時間(2016)というタイムトラベル系ファンタジーでカンドンウォンと共演した、とあり、ああ、あの子か、という感じで明瞭に思い出した。ヘリのようにコミカルさと素の表情が出せる。映画には応答せよみたいな古き良き時代ノリがあった。
一方の男子役のコンミョンの実年齢は31歳(2025)、シュッとしていながらつるつるな幼顔で高校生役でも違和感はなかった。あちこちで見るようになった顔だがノワールには向かないよな。
