「ゴッドファーザーのあのメロディ」マンジャーレ! ノンナのレストランへようこそ 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ゴッドファーザーのあのメロディ

2025年5月31日
iPhoneアプリから投稿

ノスタルジーと温かさに満ちた家族の物語だ。

序盤、
主人公ジョーイの幼少期を描くシーンでは、
やや洗練されすぎたカメラワークと、
子役の演技があざとく感じられ、
手作り感はあるが、
作品の粗さが感じ取られ、

全体的にこういう大味の作品かと思いながら観はじめた、

しかし物語は一転、
ジョーイのママとノンナの写真から、
カメラがゆっくりと引いていく瞬間から、

その様相を大きく変える。

まるでギアチェンジしたかのように、
〈大人のジョーイ〉が抱える感情や葛藤を丁寧に追いかけ始める。

「ゴッドファーザー」のコニーの結婚パーティーでママが歌う、

「Luna Mezzo Mare」が、長い尺で流れたことが印象的な事を含め、
この曲が持つ、郷愁を誘うメロディは、
ジョーイの家族への思いと見事にシンクロし、
牧歌的なイタリアという国そのものと、
おおらかなイタリア人と、
レストランという存在を強く結びつけるように作用する。

また、本作はピクサー映画「レミーのおいしいレストラン」との共通点も感じさせる。

単に料理の美味しさを描くだけでなく、

食を通して家族の絆や夢、

そして人生そのものを描くという点で、両作品には通じるものがあった。

実際にこのレストランは現在も絶賛営業中というのが驚きだ。

蛇足軒妖瀬布