「ハードボイルド・アクション? いやこれは西部劇だ。」プロフェッショナル 林艮さんの映画レビュー(感想・評価)
ハードボイルド・アクション? いやこれは西部劇だ。
「アマチュア」と同日公開で邦題が「プロフェッショナル」。
おまけに「殺しの流儀を教えてやる」なんてコピーもついてて。(そんな台詞や場面は、カケラもなかったけど)
配給の仕業だな。
原題は、In the Land of Saints and Sinners
「聖人と罪人の地で」って感じか。
宣伝文句には派手な形容詞が並んでるけど、
話半分に聞いといたほうがいい。
主人公は、たしかに「暗殺者」ではあるものの、どっちかというと「仕掛人」系で地味め。
時は1974年、第2次大戦終戦から29年。
フィンバー・マーフィー(リーアム・ニーソン)は戦後ずっと、
アイルランドの「最僻地」といえる村でひっそり暮らしつつ、
仕掛人稼業で食ってきたのだが、
自分の心の持ちように限界を感じていた。
その村へ、
北アイルランドのベルファストで爆弾による暗殺を決行し、
ターゲットのみならず子供を含む一般人を巻き添えにして6人殺した
IRAの4人組が逃げ込んでくる。
というところから物語は始まるんだが、
この4人組が、共感や同情の余地が全っ然ない全くの悪党で。
だからこれは「社会派」の映画ではない。
かといって、
無双の殺し屋が一分の隙もなく
悪党どもをバッタバッタと倒していくアクション映画でもない。
これは、昔の西部劇。
悪党どもと主人公が最後に「決闘」するやつ。
そう思えば、それなりに面白くはあったと言えましょう。
公式ページには見当違いの宣伝文句の他に間違いもあって、たとえば
>1970年代の北アイルランド。
とあるけれど、
IRAの4人組が爆破テロを起こしたのは北アイルランドのベルファストではあるものの、
その逃亡先でこの映画の舞台となるのはアイルランド北西端の小さな村であって、
北アイルランドではないんだけどなぁ。
ただいずれにせよ、
リーアム兄さんは渋くてハードボイルドで(ここだけは正しい)
よかったのであります。